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忘却のベンティスカ ~社畜の人間宣言~  作者: 羚羊
第二章 志は贅沢品
7/10

てのひら

今日も私は下を向いて歩く


まぶしく笑う太陽

干からびた毛虫の死骸


整列している建売住宅

ポスティングされたチラシ


他人のまなざしに

怖じ気づかないように

気を付けて下を向いて歩く



「犬の吠える声が聞こえるなあ」



足もとに転がる石は

もはや他人事ではないんだ



人生という大いなる旅の恥を

何でもないようにかき捨てる大人に

のびのびと育てられた子どもを


見るにつけて


ため息を一つ




そして、思い出す


小さなてのひらを

あなたがきゅって握ったのが

とてもあたたかくて

私はギュって握りかえした



きっと、あのときに、歯車は動いた




それはそうなんというか

不本意な勘違いなんだよ


てのひらを繋ぐ行為に

即物的な体温を求めただけであって


もっともっとって


あなたの心を求めたわけじゃない



右足を出してから

左足を出して歩くように


梅干しを思い出したら

唾液が出るように




ただ、それだけのこと


ただ、それだけだったんだ




てのひらで物語を紡がないで


理想を夢見て愛してくれるな

あなたの理想の恋人は死にました



人生という大いなる旅で

天衣無縫で意気揚々と

甘やかされてそだった子どもを


見るにつけて


ため息を一つ



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