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忘却のベンティスカ
Hello, World!
次から次から次へと
無垢な雪は空へ舞い上がり
頬に叩きつけられていく
痛みを感じる暇はなく
とにかく前が見えない
そんな話は聞いていない
強者の楽園へようこそ
己をもて余しているような敗者は
とうてい居られないような
純粋な電波が飛び交っている
前も後ろも斜めも見たくない
この私が!そんな日々を送るのか!
以前の私という存在は
徐々に雪に埋もれていって
ささやかな記憶も記録も
あのころのメモリーとして
いずれは忘れ去られてしまうのだ
さあ、大忙しだ!
ここで生きていくからには
悲しみという贅沢品を
可愛らしい飴玉のように
口の中で転がしている暇はない
仕方のないことなのだろうよ
良いも悪いも与えられるがまま
ちっぽけな雇われものは
あるがままを受け入れるだけさ