だが私は運動ができない
どうもみなさんこんにちわ、選ばれないことに定評のある、女無勇平です。
今日も、毎日欠かさず朝食はコーンフレークです。今日は、春の交流球技大会です。
だが私は運動できない。
といういことで、すでにいいとこがお見せできないので詰んだ気分である。
丁度クラスの委員長である森くんが中学時代は3年間運動部所属とのことで、さすが委員長!と周りからの期待も高まる一方です。
欝でしかない……と、言ってるうちに登校の時間なので、大きなため息をつきながら学校へ行くことにした。
「はぁ………はぁ………はぁあ~~ぁ」
実際に、大きくため息をつきながら登校してみた。
「え?何あいつ、はぁはぁ言ってて気持ち悪いんだけど…」
「ちょっとぉ、絡まれると嫌だから早く行こうよ」
聞こえてんだよくそビ○チどもが、俺は体育が死ぬほど嫌いなんだよ、てか太陽が嫌いなんだよ、と。毒づいてるうちにもうすぐ到着だ。
「あれ?女無さん?おはようございます」
「あ、おはようございます」
校門のところで森くんと偶然鉢合わせ、こいつ、礼儀正しいから余計に勝てる気がしない。性格悪いとか、そういうのだったら徹底的に調べ上げて追い詰めるのに、そんなところがないから余計に参る。
「今日は頑張りましょうね!」
はい気さく~、はいいい笑顔~、もうね、神様って意地悪だよね!
「あ、森くん~早く教室行こうよ~」
「あ、うん、それではまたあとで女無さん」
といった具合に女子に声かけられて俺の下から去っていく。神様は俺からすべてを奪うのか!もうすぐ友達になれそうだった人すら奪うのか!
とか考えてるのも時間の無駄なので、俺も教室に向かうことにした。
予告。(でぇん)
ついに、交流球技大会の火蓋は切って落とされた!
男たちは、女たちにいい格好を見せようと張り切る。
そして、ひと組の男女にわかりやすい異変が……!
次回、だが女子は私を選ばない激闘編。
交流開催
これは、交流会と、開催をかけた言葉遊びなのだ。
それはさて置き、早速グラウンドでは球技大会の開催宣言が行われている。
種目は、バスケ、バレー、ドッヂボールの三つであらかじめクラスから参加したい種目に人員を振り分けて行われる。ちなみに俺はドッヂボールに振り分けられている、なぜなら個人の単体戦力はそこまで重視されないからだ。
そんなこんなで、早速1回戦の試合が始まった。
「おぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!」
すごい雄叫びを上げているのは堀くんだ。顔は高校3年生くらいの顔だが、身長は160くらいで、頭頂部が薄く、ドヤ顔がうざ…濃いクラスメイトだ。
運動神経はいいみたいで、ひとりで相手チームを全滅に追いやった…。
「え?全滅?」
気づいたら堀くんがストレートに相手チームを全員外野に追いやっていた。
「堀くんかっこいい!」
たまたま隣にいた俺にしか聞こえないような声で言ったのは、同じクラスの板田さんだ。同世代の子と比べると、かなり大人びている。も、もちろんいい意味でね!!
え?まさか…と思った。思ったことが45分後くらいに現実になるとは思わなかった。
試合も進んで、3回戦。
「ここから出て行けぇ!」
相手チームの男子が投げたボールが板田さんにあたりアウトになった、そのとき、ボールが当たった勢いでその場に尻餅を付いた。その瞬間。
「板田さん!!」
と、ものすごい勢いで駆け寄ってきたのが堀くんだった。
「大丈夫、板田さん」
「う、うん。ありがとう堀くん」
「敵は打つから、外野で休んでて」
「うん、ありがとうい///」
おぇ。
ってのが今の俺の気持ち。
なんだよ、こういうイベントでうまい具合に目立ちやがって!ちょっといい雰囲気に流されやがって!俺見たんだだぞ!クラスでトップ3くらいの美少女、西川さんと、クラス1のチャラ男の近藤くんが仲良さそうにしてるのを、呪い殺しそうな視線で睨んでたのを!普段堀くんめっちゃ西川さんに絡んでるところを!そうか!お前は都合が良ければ女なんて誰でもいいんだな!(確信)
だが俺は、妥協しない…たとえ世界を滅ぼすまで一人でいようとも、俺は彼女作ることに妥協はせんぞおおおおおお!!
って、内心で気高く燃え上がっていると。
「ぶへっ!!?」
俺の顔面にボールがヒットした。そうだ、まだ試合中だった。
「おっと、悪く思うなよ、そこに突っ立てるお前が悪いんだからな!」
「いや、気にしてないさ(キリッ」
「きも」
顔面にボールぶつけたことに、俺は何も腹をたてはしないさ、これはスポーツなんだから。
スポーツなんだから……。
俺は自分の陣地に転がってるボールをゆっくり拾い上げ
「おらあぁっ!!」
雄叫びを上げながらボールを俺にぶつけた敵チームの男子Aに投げ返した。
ひゅるる~~
「お、サンキュ、じゃあ次はそこのかわいこちゃんをアウトに取るぜ!」
と、普通に俺の投げたボールはキャッチされ、敵チームの男子Aが次は我がクラストップ3の美少女西川さんめがけてボールをなげた。
「きゃ?!」
その可愛らしい悲鳴を聞いたとき、俺は体がとっさに動いてた。
「ぶへ?!」
また俺の顔面にヒット!しかし、美少女西川さんをアウトにさせずに済んだ…が、特別ルールで二回目の顔面ヒットはアウトに取られる…俺の命もここまでか、とか思ってたら
「ありがとう!仕返しよ!」
と、西川さんが軽快に飛んで浮いてるボールをキャッチ、そして投げ返そうとした、が。
「うわ、ボール濡れてる!キモ!!なんでボールによだれなんかつけんのよ、死ね!!」
西川さんがボールを投げ捨てた。これじゃあ事実上のダブルアウトじゃないか…しかも
じーーーっと、周りの目線が俺に突き刺さる。え?俺悪いの?となりの試合してるとこでは今と同じことやって、男女のペアがすごいいい雰囲気になってるんだけど。
やはり女子は私を選ばない、てか今の不可抗力だろ…。
「俺はこの手を汚しても、板田さんにボールを当てたお前をゆるさん!」
と、つぶやいたのは堀くん、俺のよだれ付きボールをなんのためらいもなく拾い上げ、しっかりつかみ全力で投げた。
「うおぉお?!」
敵チームの男子Aはここでどうするのだろう、勢いは先程までではないが、俺のよだれ付き、多分確実に彼は回避行動にでるだろう。ここでしゃがむのは運動神経がよくない人、運動神経がいい人は。
「ほっ!…?!」
ジャンプする、でも、コースは彼の胸元に行っていたので、かなりジャンプした彼の股間にヒットした、ちーん。
「お…ごお…」
激痛だろう、しかも、加えて俺のよだれのおかげ(?)で股間に恥ずかしいシミもできた。きっと彼は明日から学校にこないだろう、周りは許しても、自分が許せないだろうからだ。
「敵は…とったよ…」
とつぶやきながら堀くんは内野陣地からでて、手洗い場に行ってしまった。これで堀くんも、内野からでたらアウトというルールによりアウトになった。
その後、チームの決定打をなくした俺たちのチームは、ジリ貧になって負けて、今日の交流球技大会は幕を閉じたのだった。
「きりーつ、礼」
そして帰りのHR、挨拶をして解散となった、教室を出るときに西川さんと鉢あった。
「お疲れ様です…」
そう挨拶しようとしたら
「さよならよだれくん」
と、一言残して西川さんは帰っていった。
その日、帰宅してから引きこもったのは、致し方ないことなのである。
翌日。
今日は早起きした(単純に前日早く寝たからなのだが)ので、今日は朝1番に教室にきて机に突っ伏していた。いやー、寝たふりしてるとクラスメイトのいろーんな情報が耳に入ってきますなぁ、と思っていると
「昨日見たんだよ、放課後に堀くんと板田さんが二人で帰ってるの」
「うそー、やだー、もしかして付き合ってのかな?」
「まさかー、あはははー」
ほんとに「まさかー」だな、そんなことあると、思っていたら噂をすればなんとやら、堀くんが登校してきた。
「はよー」
「おはよう」
そしてその後ろには板田さん。
二人付き合ってる説、確定!!
俺は、机に突っ伏しながら涙を流しながら引き笑った。
イベントで、目立つと、彼女ができる。(らしい)
それが、この日自分の辞書に刻み込んだ言葉だった……続く!