沼
その地に足を踏み入れた私は変な感覚を覚えた。
足が地面に吸い付くような間隔。それはまるで底なし沼の如く。
「消えゆく者たちよ。ようこそ、終わりの地へ」
何処かで誰かがそういった気がした。終わりの地をいう意味を考える最中も、私の体はどんどん地面へ吸い寄せられていく。
「ココで終わり。コレで終わり。終焉の時間はゆっくりと訪れることだろう。確実にね」
また誰かがクツクツと笑いながらも告げてくる。
私は、僕は、此処でこのような最期を迎えたいわけじゃない。
だけど、時間は無常にも私、僕の生命・体・魂・存在を奪っていく。
「足掻いたって無駄さ。どんなにもがいたって結構”終わり”は”終わり”なんだ」
それでも、私は足掻く。いくら体が沈む速度が加速する要因となろうとも。
これで、”終わり”にしたくないから……。
しかし、私の体はどんどん沈みやがて、沼の底へと堕ちていった。
金髪の単眼眼鏡の青年はその光景をずっとみて退屈そうに呟いた。
「足掻いてまで命を捨てるのか、くだらない」と。