第五幕 スイートピー
それは、ただ静かにソファのうえに腰掛けていた。つくろうこともなく堂々と、しかしどこか悲しげに。
「ねえ、あなたひとり? 」
赤いリボンをつけた女の子はそう呼びかけました。その声はふたり以外誰もいない、古びた茶色が印象的な図書館に響きます。
「そう」
少女もどこか悲しげでした。
「あなた、こんなところで何をしているの?いつもあなたを見かけるけど、ずっとひとりね」
少女はつい何分か前の調子で、それに話しかけます。そして、急にうつむいてスカートの端をぎゅっと握り締めると、
「わたしと同じね……」
そういって泣き始めてしまいました。誰もいない図書館にすすり泣く声が雨音のように響きます。
女の子はやがて泣くのをやめて、それに向かって言いました。唇は震えていましたが、はっきりと__
「ねえ、友達になってくれない? 」
花言葉
リコリス(悲しい思い出、ひとりぼっち)
デイジー 、ひなぎく(むじゃき)
リリー、ゆり(あなたはわたしをだませない)
ヴィォレット、すみれ(忠実)
ピンク、かすみそう(こころからのよろこび)
スイートピー(門出)
A lily of the valley、谷間のゆり、すずらん(こうふくのやくそく)
第一部はここでおわります。引き続き、第二部を読んでいただけたら嬉しいです。