真夏とラジオ⑥-2(下行きます)
私は、先生が死体に噛まれるのを見た!
あの死体は拘束具を引き裂き、先生と助手である私に襲いかかり追ってきた!私たちは、必死で廊下を走った。そして、私は地上への抜け道がある地下へ急ぐため、エレベーターに乗り込んだ。
すると、先生は、急に何かを思いついたようにエレベーターの前で立ち止まり、ほくそ笑んで考え事を始めた。私は、先生に早くエレベーターに乗るように叫んだんだ!
それなのに先生ったら。
私のせいじゃない。私のせいじゃない!
あの死体が!先生があんなところで立ち止まるから。
扉を閉めなかったら、私があの死体に噛まれていた!
私は涙を拭い、頭を振り乱した。
点灯しているB1ボタンを見つめた。
扉が閉まったエレベーターの中で、私は必死に呼吸と精神を整えようとした。
B1へ。
地下1階の抜け道から地上へ逃げるのよ。
でも、大丈夫かしら?
映画みたいに、地上にあんなのがウロウロなんてこと。