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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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39、神獣ノヅチ


39、神獣ノヅチ



 ノヅチは巨大な体でイブリースに襲いかかっていく。イブリースは、ノヅチの攻撃をシールドで防いでいるが、そのシールドも、もうノヅチに割られそうだった。


「ノヅチか…… 厄介な神獣を召喚してくれたな あれは命を999999人分吸い込まないと帰ってくれないぞ 」


「ピイィィーーッ 」


・・・なにそれっ、そんなふざけた化け物、早々にお帰り願うよっ ・・・


 私は、イブリースたちを助けるため、爪楊枝の剣に魔力をエンチャントしようとしたけど、駄目だ間に合わない、ノヅチの攻撃の方が早いよ。魔方陣を描くのも間に合わない。


「だぁぁぁーーっ! 」


 私は飛び出していた。あまり、なりたくないけど魔法少女に変身だ。


「うおぅぅぅーーーっ!! 」


 私は瞬時にノヅチとの間合いに入り、思い切り拳を叩き込んだ。1発、2発、3発、4発。どうだっ。私の魔力を乗せた全力の拳を叩き込まれて、ノヅチは硬直したように動きを止めていた。


「ウゴウゥゥゥーッ 」


 ノヅチは大きな鳴き声を上げると地面にずしーんと倒れていた。


「う、嘘だろっ 」


 ユダは、あんぐりと口を開け固まっている。


「はははっ、お前よくあんな攻撃受けて生きてたな。たいしたもんだ 」


 ナアマは、ユダの肩を叩いて大笑いしていた。そして、イブリースに向かって歩いていく。私もイブリースに回復魔法をかけるため歩いていった。


「馬鹿っ 油断するな 奴はまだ消えてないぞっ 」


 ユダの叫びで後ろを振り返るとノヅチがゆっくりと起き上がっていた。そして、グルグルと頭部を振ってダメージを確認するような素振りをすると、また襲いかかってきた。神獣と云われるだけあって、かなりタフなようだよ。あの”遠呂知”と同じなら、確かにこれくらいでは倒せない。でも、急がないとイブリースもナガトも相当なダメージを負ってるよ。


・・・ここは、一時撤退だ イブリースとナガトを安全な場所に転移させないと ・・・


 私が、二人に向かって駆け出した時……。


ポンッ


 また、元のジリスの体に戻っちゃった。


「ピイィィィィィーーーーーッ!!! 」


 私はナアマに通訳を頼んでいた。


「おい、ユダ 私たちが戻ってくるまで、お前一人でここに残ってノヅチを食い止めておけ それが出来たら一応お前を信用してやろう お前の話にも乗ってやる 」


 ナアマの言葉に最初は、はぁという顔だったユダはニヤリと笑うと、スラリと剣を抜いた。そして、ノヅチの前に立つ。


「次元斬っ!! 」


 ユダが剣を振ると、ノヅチの太い胴体が周囲の空間毎断ち斬られる。あーっ、私これ知ってる。よくゲームやアニメの後半の盛り上がる時に出てくる必殺技だよ。次元、つまり空間毎斬ってしまう回避も防御も不可能な必殺の技だよ。実際にこの技が発動されたところは初めて見たよ。なんだよ、こいつ。やれば出来るんじゃん。その調子でノヅチを足止めしておいてよ。私は、爪楊枝の剣に魔力をエンチャントさせ、みんなを城に転移させ、最後に自分も転移させた。



 * * *



「レイブンッ レイブンはどこだっ!! 」


 ナアマにレイブンを探して貰う間に私は、城の兵士にイブリースとナガトを寝かせられる部屋に運んで貰った。そこへ、シモンがやって来た。


「キノコ様、この度の私の不始末、言い訳する言葉もございません…… 」


・・・待った、シモン 話は後で聞く こっちも聞きたい事があるから…… それより、私の言葉の通訳をして…… ・・・


 私はシモンに告げると、スタタッと私たちが歓迎されていた貴賓室に向かって走っていた。


・・・まだ、みんなここにいる筈だよ ・・・


 私がドアの前で止まっていると、シモンがドアを開けてくれた。私は、すぐに中に入りシモンに私の言葉を伝えて貰う。シモンは私を抱っこして話し出した。


「これから話す私の言葉はキノコ様のお言葉です 皆さん、心して聴きなさい この国の氷室の付近に神獣ノヅチが現れました…… 」


 ここでシモンの言葉が詰まって、顔がまさかと驚いていた。


・・・やっぱり、シモンはノヅチを知っているんだ ・・・


 私は、想像通りシモンもゴルゴダの十二使徒の一人なのだと確信した。でも、現在この世界を支配している十二使徒だからといって悪い人間とは限らないよ。私の世界の使徒は良い人間なのだから……。


「ヴァイオレット王、すぐに鳩を飛ばして氷室付近の街に避難するよう伝えて下さい 万が一の場合に備えて人命が第一です 急いで下さい 」


 シモンに急かされてヴァイオレットは慌てて通信官を呼ぶと指示を出していた。


「クレアとアリスは私と来て下さい ランスロットとトリスタンは、ここで不測の事態に備えて待機 レディーはシャーロットを守っていて下さい それでは、クレア、アリス、早く私の元へ 」


「分かった、キノコさん ありがとう 私に汚名返上の機会を与えてくれたんだな 」


「キノコちゃま、任せて 私の本気を見せて上げるから 」


 クレアとアリスが走り寄ってくるが、シモンも私を抱っこしたまま放そうとしない。


・・・シモン、ごめん 話したい事は一杯あるけど、今は急いでいるの ・・・


「キノコ様、私も連れていって下さい 回復出来るのがキノコ様一人では、キノコ様はそれに忙殺されてしまいます 神獣ノヅチは簡単に倒せる相手ではありません 必ずキノコ様の力が必要になります ですから、回復出来る者がもう一人必要になります なので、お願いいたします 」


 シモンは私の目を見て必死にお願いしてくる。そんなシモンを見ていると私も断れなくなっていた。


・・・分かった、シモン 一緒に行こう 私に力を貸して下さい ・・・


「はい、キノコ様 」


 シモンは涙ぐんでいた。私も、その気持ちは分かるよ。新規事業のチームに入りたくて、社長に自分を売り込んでいた時、それで社長がOKをくれた時は天にも昇る嬉しさだったから……。私が元の世界を思い出していると、レイブンを探していたナアマが戻って来た。レイブンに、イブリースとナガトの回復を依頼してきたので、もう心配はいらないという事だった。


・・・じゃあ、みんな行くよ ・・・


 私は描いていた転移の魔方陣を発動させる。大人数の場合はこちらの方が早い。私たちは一瞬で氷室の前に移動していた。


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