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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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31、十戒


31、十戒



 私たちの目の前でシモンは自ら呼び出した鎖で締め上げられていく。


・・・なにこれっ、アリス 十戒って何? ・・・


 私はナアマにアリスに訊いて貰うと、アリスは悲しい顔で答えてくれた。その瞳には涙が溜まっている。


「これは、レベルの高いプリーストが自然に覚えると云われている自壊魔法です。プリーストが自分の犯した罪を償う為に、自らを滅ぼす魔法。シモンは自分が”いじめ”の報告を握り潰していた罪を償う為に使ったのでしょう 」


・・・シモンが…… それであんな怯えた態度をとっていたのか ・・・


 私がようやくシモンのおかしな態度の意味に気がついた時、天空から頭の中に声が鳴り響いた。


「汝、嘘をつくなかれ 」


 その途端、シモンが絶叫し腕に巻き付いた鎖で骨がバキバキと砕かれていく。私はイブリースを振り向いていた。


・・・イブリース、あなたも知ってるの この魔法 ・・・


「ええ、僕は賢者ですからね、知っていますよ もっとも、僕はこんな魔法使いませんがね 僕は罪など犯しませんし、もし罪を犯しても死んで逃げようなどと思いません 」


・・・それなら、この魔法の止め方教えて ・・・


「十戒は発動してしまったら止まりませんよ あのプリーストはもう手遅れですね すでに一つの戒律が読み上げられました もう最後の戒律まで止まりません 最後の戒律が読まれた時、脳と心臓が破壊されて完全に魂ごと消滅します 」


・・・そんな…… ・・・


 私が絶句した時、アリスがシャーロットの前で土下座していた。


「シャーロット、ごめんなさい あなたがいじめられていたのは、あのシモンがきちんと報告していなかったせい 本当にシモンは許されない事をしました 苦しんで死ぬのは当然と思うでしょう ですが、シモンは根っからの悪人ではないと私は信じています 今まで勇者パーティーとして一緒に戦ってきたから分かります シャーロット、私からのお願いです シモンを許してやってくれませんか 」


 アリスは額に地面を擦り付けてシャーロットにお願いしていた。その時……。


「汝、盗むなかれ 」


 また頭の中に声が響く。そして、今度はシモンの足の骨が粉々に砕かれていった。シモンの口から凄まじい絶叫が迸る。ランスロットやトリスタンは口を真一文字に引き締めてシモンを見ているが、その表情からアリスと同じ気持ちであるのは私には分かった。そして、シャーロットにもみんなの気持ちが伝わったようだ。


「私はシモンさんを恨んでないよ だって、みんな私を助けてくれたもの だから、こんな苦しむ事なんてないよ 」


 アリスは、今度は私には顔を向けてきた。


「キノコ様、神の使いであるあなたなら十戒を止められるのではないですか どうか、シモンをお助け下さい お慈悲をお願いします 」


 涙が滲む目でアリスは私を見つめる。私だってシモンを助けたい。シモンには私の力になって貰いたいもの。でも、イブリースが発動したら止められないといっている魔法をどうすれば止められるのか、私にも分からないんだよ。


「アリス、キノコが出るまでもない 私があんな魔法、斬り裂いてやるよ こいつはビビりだから止められないなんて言っているが、所詮は魔法、魔力の塊だ 私のレーヴァテインで斬れぬものなどない 」


 ナアマはヴァンパイアレディーにシャーロットの目を押さえておくように命令する。ビビり呼ばわりされたイブリースは苦い顔をしているが、子供の前なので大人しくしていた。


「シャーロット、悪いな 少しだけ目を瞑っていてくれるか シャーロットには、見せたくない姿だからな 」


「平気だよ、ナアマさん 私、ナアマさんが悪魔だって知っているから ヴァンパイアレディーさんが教えてくれたの 」


「なにっ…… 」


 ナアマの眉がピクッと動いてヴァンパイアレディーを睨み付けていた。ありゃーっ、またヴァンパイアレディー怒られるよ。でも、今回はヴァンパイアレディーが悪いね。そう思いながら私は、そんなヴァンパイアレディーが少し可愛く思えてきた。そして、ナアマは人間の擬態を解く。青白い肌に角の生えた頭、そしてコウモリの羽。久しぶりに見る本物のナアマだ。その体から発する力も人間に擬態していた時とは桁違いだ。


・・・ナアマがここまでするって事は、この魔法も規格外の凄さなんだね ・・・


「魔王ナアマ、頼みます シモンを助けてやって下さい 」


 アリスがナアマにまた土下座して頼みこんでいるが、驚いた事にランスロットとトリスタンも土下座していた。勇者ランスロットが魔王であるナアマに土下座するなんてあり得ない事だよ。私は、このパーティーの絆の強さに感動してしまった。


・・・やっぱり、コイツら良い奴じゃん ・・・


 私がうるうるしていると、力を解放したナアマがレーヴァテインを構え飛び出していく。そして、シモンの周りを包むシールドに斬りかかる。


パリーンッ


 シモンのシールドはナアマの一撃で砕け散っていた。あとは本体の十戒だけだ。


「レディー、シャーロットを衝撃から守っていろ 」


 ナアマの命令でヴァンパイアレディーはシャーロットの前に防壁のように立つ。シャーロットはヴァンパイアレディーの陰から少し頭を覗かせて様子を見ていた。


「他の奴も衝撃に備えていろよ 」


 相当な衝撃が予想されるんだ。私は長い爪を地面に食い込ませて踏ん張ろうとしていたけど、イブリースに持ち上げられローブにくるまれ抱っこされていた。


「キノコさんは、ここからご覧になっていて下さい いくらキノコさんでも、その小さな体では飛ばされてしまいます 」


 他のみんなも顔の前で腕を交差させ腰を落とし衝撃に備えている。アリスの前にはランスロットとトリスタンが壁のようにどっしりと立っている。ナガトはクレアの手をしっかり握っていた。ナアマは、みんなの様子を確認し、再びシモンを包む十戒に斬りかかっていった。その身体が赤く燃え上がり、焔の剣レーヴァテインが太陽のように白く輝いていく。あの遠呂知との戦いの時にも見せなかった本当に本気のナアマだ。


・・・凄い、これが魔王ナアマ ・・・


 私は、拳を握りしめてナアマの一挙一動を見逃さないように瞳を開いていた。


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