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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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29、転生者


29、転生者



「なんだ、貴様 」


 自分の結界内に侵入されてヴァンパイアレディーは信じられないという顔で男に詰め寄る。


「ヴァンパイアなんかに用はないんだよ 雑魚は引っ込んでいな 」


 男は軽く腕を振った。すると天空から稲妻が落ちてくる。その稲妻はヴァンパイアレディーを直撃した。


「あぎゃあぁぁぁーーーーっ 」


 ヴァンパイアレディーは黒焦げになり地面に崩れ落ちた。これは、ヤバいよ。私は、爪楊枝の剣に魔力とイメージをエンチャントしながらヴァンパイアレディーの前に飛び出していた。


「慌てるなよ、小動物 先に邪魔な物を消しておくからさ 」


 男は、今度はシャーロットに狙いをつけているようだ。ふざけるなよ、シャーロットには指一本触れさせないよ。私はシャーロットの周りに多重シールドを展開した。全属性対応の物理魔法防御のシールドだ。稲妻が落ちてきたけどシャーロットは無事だった。


「ピイィィィーッ 」


 私はシャーロットに動かないでと言ったけど伝わっただろうか。そして、すぐにヴァンパイアレディーに回復の魔法をかける。元々再生能力の高いヴァンパイアレディーはむっくりと起き上がっていた。そして、よほど頭にきたのか男に向かって全力の力を解放する。これ、よほど上級の冒険者でなければ、これだけで気絶するよ。そして、ヴァンパイアレディーは飛び出していた。


・・・はやいっ ・・・


 ヴァンパイアレディーは瞬時に男の間合いに入ると攻撃を繰り出していた。ヴァンパイアレディーの鋭い爪が男の体を抉る。ポイズン、パラライズ、エナジードレインの複合状態異常攻撃だよ。あれをまともにくらったらたまらない。私は、男が崩れ落ちるものと思っていた。しかし、男はそんな素振りをみせず、ヴァンパイアレディーに反撃していた。いつの間に抜いたのか男の剣がヴァンパイアレディーの胸を貫いている。


・・・いけない、このままじゃヴァンパイアレディーが殺られる ナアマの大切な肩揉みさんを助けなきゃ ・・・


 私は魔力とイメージをエンチャントした爪楊枝の剣を男に向かって投げていた。


・・・聖剣フラガラッハ、その男は敵だよ ・・・


 フラガラッハは私が敵と認識した者を攻撃し続ける。フラガラッハは、ヴァンパイアレディーの首をはねようとしていた男に斬りかかっていった。しかし、男は平然とヴァンパイアレディーの首をはねようとする。どうやら、自分にダメージを与える事など出来ないと思っているようだ。


・・・確かに強いようだけど、随分思い上がった男だよ 私の嫌いなタイプだ 自分の思い通りにいくと思ってるクズ男だね ・・・


 男がヴァンパイアレディーの首に刃を当てた瞬間、フラガラッハが男を斬り裂いた。


ズバァァァッ


 男の体から血が噴き出し、男はよろめいて後退していた。私は急いでヴァンパイアレディーを回復させる。


「なんだ、小動物 お前は本当に何者だ 俺を傷つけるなど誰にも出来ない筈なのに 」


 男は私に斬られ、それまでの余裕がなくなっていた。そして、今度は呪文を詠唱し始める。馬鹿なの、コイツ。パーティーを組んでいるならともかく、呪文の詠唱が終わるまで待ってる人なんているわけないじゃない。普通は前衛の戦士が攻撃してくれているから後衛の魔法使いは呪文を唱えていられるんだよ。


ズバァァァッ


 フラガラッハは、また男に斬りかかり、男は血を噴き出していた。


「あががががっ 」


 男は傷を押さえ治癒の魔法を唱えるため、今まで唱えていた呪文を途中で変える。


・・・だから、魔法なんて使わせないよ ・・・


 フラガラッハは休みなく連続で男を斬り裂いていく。男は血を噴き出しながら踊るようにヨロヨロと倒れる事も出来ず立っていた。


「くそっ、油断したようだ ここは一旦引かせて貰うぞ それにしても神に力を貰った転生者の俺に傷をつけるとは 」


 男は腰のポーチから出した玉のようなアイテムを地面に投げつけた。


パンッ


 玉が爆発し辺り一面白くなり、再び視界が戻ってきた時には男の姿は消えていた。


・・・転移のアイテムなのか 転生者? 色々訊きたかったけど仕方ないか ・・・


 私がフラガラッハを戻した時、キノコと呼ぶ声が聞こえた。振り返るとナアマたちが走ってきていた。


「巨大な力を感じたから急いで来てみたら、キノコだったのか 」


 そして、ヴァンパイアレディーに目を向ける。


「なんだ、来てたのか それにしてもボロボロだな キノコに無礼を働いてボコられたのか 」


「ピイィィィーッ 」


 失礼だよ、ナアマ。私がそんな事するわけないでしょ。私が憤慨しているとヴァンパイアレディーが説明してくれていた。


「笛が吹かれたので急いでやって来て肩をお揉みしていました 」


「肩? 誰の? 」


 ヴァンパイアレディーはシャーロットを指差していた。


「それで、あのお方の命令で人間を生き埋めにしようとしていたら変な男が現れて戦闘になりました かなり手強い相手で痛手を受けたのですが、そこでこの小動物に助けて貰ったのです 」


 ヴァンパイアレディーが答えた瞬間、ナアマのパンチが飛んでいた。


「貴様、キノコを小動物だと キノコは私の上に君臨する神だぞ それにシャーロットは私の配下だ 指差すなどけしからん 」


 ナアマに怒られヴァンパイアレディーは土下座していたけど、ヴァンパイアレディーが可哀想だよ。せっかく肩揉みに来てくれたのに、こんな目にあって……。もっと大事にしてあげなきゃ……。そう思った時、私は子供たちを思い出した。


・・・そうだっ、子供たちは…… ・・・


 私は急いで生き埋めにされかけた子供を見たけど、これなら自力で出られるでしょう。これで少しは反省しなさい。私は、いい薬だと思い放っておく事にした。


・・・改めて思うと、あの男 神様から力を貰った転生者と言っていた という事は私と同等の力を持っていると考えられるよ 馬鹿な男で助かったけど、なんであんな男が転生させて貰えたんだろう ・・・


 私は考えたけど分からなかった。


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