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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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23、カースト制


23、カースト制



 ランスロットたちは一足先に馬で首都シン・イーハトーブに向かって行った。険しい顔をしていたから事の重大さは分かっているのだろう。あんな急な川の流れの中に橋から投げ込むなんて遊びでは済まないからね。そんな事がわからない人間が育っているとすれば、それは人間の未来の崩壊に繋がるから看過出来ない大変な問題だよ。シャーロットは私たちが預かっておくことにして、私たちも馬車に乗り首都へ向かう。


・・・ねえ、ナガト 子供が乗ってるから、ゆっくりお願いね それとゴモラの街でも”いじめ”なんてあったの? ・・・


「いや、すいませんキノコさん 私はあまり人付き合いが多くなくて、そういう話はまるで分からなくて…… 」


 うん、確かにこいつはクエストとか冒険とか、そういう事しか関心がなさそうだよ。でも、そういう大人の無関心にも問題がありそうだけど……。


・・・カレンはいじめられてはなさそうだったけど、シャーロットは…… ・・・


 私は馭者台のイブリースの肩の上から馬車の中を見てみた。シャーロットはナアマとクレアと話している。良かった、もう大丈夫だからね。みんな、話しちゃいな。私は先行しているランスロットたちに期待していた。少なくとも彼らなら、きちんと対応してくれるだろう。


「ピイィッ 」


 私はナアマたちに声をかけると馭者台から馬車の中に移っていった。



 * * *



「おい、シモン さっきから黙りこくっているけどどうしたんだ? 」


 ランスロットがシモンの隣に馬を並べ、並走しながら声をかけるがシモンは強張った表情で黙ったままだった。


「シモン、あんたさぁ国王の側近でしょう 何か聞いているんじゃないの? 」


 アリスも馬を並べてシモンの顔を覗き込む。シモンはビクッとした様に顔をそらしていた。


「どうやら図星のようであるな 何を知っているのか我らに話してみてくれないか 」


 トリスタンも馬を並べシモンに声をかける。


「……私が……みんな、揉み消してた……王は何も知らない……」


「なにっ…… 」


 ランスロットは馬をシモンの前に割り込ませ止める。他のみんなも馬を止めていた。


「今、なんと言ったシモン 」


 ランスロットの唇が怒りで震えている。


「私が……報告を止めていた……王は多忙だ……そんな事で煩わせたくなかった…… 」


「そんな事だとっ 貴様それでも勇者パーティーの一員かっ シャーロットの顔を見たかっ 見ることが出来たのかっ シャーロットはキノコさんたちが気付かなければ溺れて死んでいたんだぞっ あの悪魔イブリースは”いじめ”など虫酸が走ると言っていた、貴様は悪魔以下だっ 」


 ランスロットは聖剣エクスカリバーに手をかけていたが、その横で巨大な多重魔方陣が展開されていた。


「シモン、見損なったわよ あんたのその行為でどれだけの人が辛い思いをしたと思っているの 勇者パーティーは人を幸せにするのが使命、その為に私たちは命をはっているの あんたはそれを汚した キノコちゃんがこれを知ったら、あんたは神の怒りで消されるわよ でも、その前に私が消してあげるわ 」


 アリスの怒りも凄まじかったが、シモンは落ち着いていた。


「アリス…… キノコ様は全てお見通しですよ あの丸い黒い瞳を見れば分かります キノコ様は私を断罪するために降臨なさったのです、それは間違いないです それでも、キノコ様は私に自分の犯した罪を少しでも償わせる為にこうして先に行くよう命令されたのです 」


「キノコさんがっ 」


「キノコちゃんがっ 」


 ランスロットとアリスが声を揃えて驚き、なぜシモンがキノコを最初に見た時、あれほど怯えていたのかようやくわかった。そして、トリスタンが間に入る。


「ランスロットにアリス 怒りは分かるが、ここはキノコ殿のお考え通り、シモンに罪を償わせる機会を与えてあげたらどうだろうか 」


「キノコさんは全て分かっていたのか…… 」


「さすがキノコちゃんね キノコちゃんには敵わないわ 」


 ランスロットもアリスも、キノコに脱帽してキノコの命令通り、シモンを連れて首都へ向かうことにした。シモンの処分は、それが終わった後にキノコに任せる事で意見が一致していた。



 * * *



「私もお姉ちゃんたちみたいに強くなれる? 」


 シャーロットはナアマとクレアに、強くなりたいと訴えていた。


「なんで強くなりたいんだ? 強くなどならなくても十分に楽しく生きていけるだろう 」


「だって強くなれば、いじめられないで済むから 」


「強くなりたい理由がそれでは破綻しているな、シャーロット 強くなるという事は、弱いものを守るという責務を負う事だ カースト制度というものを知っているか? 」


「知ってるよ 一番下に奴隷があって一般人、富裕層、権力者、支配者とピラミッド状になっている制度でしょう 学校で習ったよ 」


「頂点が支配者? おい、クレア 人間の世界ではこれがカースト制度の認識なのか こんなふざけた理解で教育されているのか なるほどイブリースが人間を馬鹿にするのもわかるな いいか、シャーロット カースト制度の頂点は支配者ではない守護者だ カースト制度の上に立つ者は、下の者のおかげて生活が出来る だから、上の者は下の者を守る 頂点に立つ者は、全ての者を守るんだ 私は、その頂点に立っているつもりだったが、どうやら頂点ではなかったようだがな 」


 ナアマは、チラリと私の方に目を向ける。そして、またシャーロットに話しかけていた。


「シャーロット、お前はもう”いじめ”など恐れる必要はない これからはお前より上の存在の私が守ってやろう そして、あり得ない話だが、もし私がお前を守れなくても私の上にはキノコがいる 頂点に立つ最強の神様キノコがいるんだ、何も心配する事はない 」


 私は驚いていた。ナアマは、シャーロットを元気付けている。ナアマは、この世界の人間より遥かに人間らしいと私は感じていた。


「ピイィッ 」


 私もシャーロットに向かって心配しないで大丈夫と声を上げていた。


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