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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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22、シャーロット


22、シャーロット



・・・うぴぃーっ ・・・


 私は振り落とされないようにナアマにしがみついていた。ナアマは、あっという間に先行していたナガトとクレアに追い付き追い越す。そして、川岸で女の子の姿を探すが流れが急で女の子の姿が見つからない。


・・・この流れの速さで飲み込まれちゃったの…… ・・・


 私がナアマの肩の上からキョロキョロと川の流れの中を探すけれど発見出来ない。急がないと女の子が溺れて死んじゃう。私が焦っているとナガトが、あそこだと大声で叫び飛び出していた。そして、なんと川の流れの上を走っていく。


「おおぉーっ 」


 ランスロットたちから感嘆の声が漏れていたけど、私は知っている。あれは忍者の”水面歩行の術”というのだ。水の上に乗せた足が沈む前に次の足を乗せる。それを超高速で繰り返す。そうすれば水に沈まず水面を歩けるのだよ。それが現実に出来るかは今ナガトが証明してくれた。私は、子供の頃に読んだ忍者の本は真実だったんだと感激していた。


「あんなギャグみたいな事が出来るとは、あの忍者なかなか芸達者な奴だな 」


 ナアマが褒めているのか馬鹿にしているのかわからない感想をポツリと口にしていたけれど、ナガトは女の子を川の流れから救いあげるとクレアに向かって放り投げた。そう元レンジャーであるクレアも水面に浮かぶ流木等の上を飛び移り近くにいたのだ。ナガトはクレアに女の子を託した瞬間、自分は足が止まった為、川に沈んでいく。クレアは女の子を抱いて今度は川岸に向かって飛び移り戻ってくる。みんなも、それを迎え入れる準備を始めていた。幕を張り火を起こしタオルを用意する。さすが一流の人たちだよ。私が感心しているとナアマがまたポツリと呟いた。


「おい、あの沈んだ奴は放っておいて良いのか? 沈んだまま浮かんでこないぞ 」


 ナアマがナガトの身を案ずるけど心配いらないよ。だってあれは忍者の”水遁の術”。ほら水面に細い竹筒が見えているでしょう。ナガトは竹筒で息をしながら水中を戻って来ているんだよ。私はまた、ナガトが忍者の本の通りの事を実行してくれて無闇に感動していた。これなら、あの修行も本当なのかも……。私はナガトに訊いてみようとワクワクしていた。それは、庭に植えた木の芽の上を毎日飛び越すという修行だ。実は私も小さいときにやっていた。これを続けていると木が成長して大木になっても、その上を一飛びに出来るという修行だ。私は木が大きくなる前に修行を断念してしまったけど、あのまま続けていたら私も忍者のような跳躍力を身につける事が出来たのだろうか。うーん、惜しかった。続けていれば良かったよ。継続は力なりという言葉は本当なんだね。そうすれば私は、魔法を使える忍者という初めてのジョブになれたのかも。そんな妄想を私がしているうちに女の子はクレアが岸まで運び、すぐに体が拭かれ暖められていた。


「川の近くで遊ぶと危ないよ 今度から気をつけようね さあ、送ってあげるから名前教えてくれる 」


 アリスが優しく女の子に言うが、女の子はショックを受けているようで俯いたまま震えていた。川に落ちて死にかけたんだから無理もないよ。私はナアマの肩から降りると女の子の前に出て後ろ足で立って、ぴぃと鳴いてみた。


「リスちゃん…… 」


 それまで反応のなかった女の子が初めて口を開いてくれた。そして、私が女の子の方にちょこちょこと歩いて行くと、女の子は手を伸ばしてきて恐る恐る私を抱っこしていた。


「あったかい…… 」


 女の子は私を抱っこしながら涙をこぼしていた。そして、声を出さずに泣き出す。よほど怖かったんだろう、可哀想に……。


「そのリスちゃん、うっ…… 」


 アリスが途中で言葉を止め、シモンの顔を見ると今度リスちゃんと言ったら殺すといったろうと殺気の籠った視線を向けていた。


「そ、そのリスちゃんは神様の使いのキノコ様というんだよ だから神様にあなたのお名前を教えてあげてね 」


 アリスは上手く誤魔化し、シモンの殺気をかわしていた。やるじゃん、アリス。私は心の中で拍手していた。


「本当に神様なの? 」


 女の子は涙の溜まる目で私を見つめていた。私は前足を上げて返事をする。


「ピ、ピイィッ 」


 私は女神様に力を貰っているから、まるきりの嘘ではないけど、こんな小さな女の子を騙すようで何か心苦しいよ。でも、女の子は私が返事をしたものだから驚いて本物の神様だと思ってしまったようだ。


「私はシャーロット……。シャーロット・ウインザー……。神様、助けてください。誰も……、誰も助けてくれない…… 」


・・・えっ…… ・・・


 私もみんなも一様に驚いて固まっていた。


・・・助けるって何を? ・・・


 シャーロットに事情を話してくれるようシモンに通訳して貰って伝えると、シャーロットは泣きながら話し出した。どうやら彼女は”いじめ”、いやそんな生易しい言葉を使ってはいけないな、はっきりと集団暴力といおう。今日も、そのシン・イーハトーブの人間たちに橋の上から川に放り込まれたと言っていた。私はランスロットたちをギロリと睨み問い詰めていた。


・・・どういう事、あなたたち何か聞いてないの? ・・・


 ランスロットたちも初耳だったらしく、面目ない調べてみますと土下座していたが、イブリースは人間なんてこんなものですよキノコさんと小馬鹿にしていた。


「僕は前にも言いましたが、”いじめ”をするような奴は虫酸が走ります 僕が行って天誅をくだしてきますよ 」


・・・ちょ、ちょっと待ってイブリース まずは人間たちに任せてみようよ ・・・


 私はイブリースを落ち着かせてからランスロットたちに向き直り、早急に解決しなさいと命令していた。


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