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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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21、川の畔で


21、川の畔で



 私たちは、ダンジョン”白桃の眠り”から帰還してお茶を飲んでいた。首都へ向かう途中で見つけた川の畔の広場。そこで、一時の休憩で寛いでいるのだ。働いてばかりでは駄目だからね。休むときにはきちんと休む。社会人ならオンとオフをきちんと分けないとね。ダンジョンで手に入れたアイテム”憤怒の石仏”はイブリースの空間倉庫に収納してある。一仕事終えた後のコーヒーは本当に美味しいよ。みんなもコーヒーや紅茶などそれぞれゆったりと楽しんでいる。

 なんと、驚いた事にナガトとトリスタンが馬が合うようで同じテーブルで日本茶を啜っているかと思えば、かつて敵として戦ったイブリースとランスロットが一緒に紅茶を飲み、アップルティーの香りが素晴らしいという二人にアリスがシナモンティーの方が好きだと異を唱えていた。私のテーブルにはナアマ、クレアと私の一挙一動を見逃さないようにとジッと私を見つめているシモンがいた。


・・・ちょっと怖いよ、シモン…… ・・・


 私が、そう思っているとナアマがクレアに問いかけていた。


「おい、クレア お前のその聖剣、あの時逃げなくても”遠呂知”に勝てたのではないか 」


 私もアークエンジェルを一刀両断した聖剣”ダモクレス”の威力に驚いていたから、本当に”遠呂知”勝てたのではと思ってしまうよ。


「いや、それはないです あの蒼い大蛇は私が命を捨てても勝つ事は出来ないでしょう あれは戦った皆さんなら分かるでしょうが次元が違う その次元が違うモンスターにも勝ってしまうキノコさんとお仲間には心から尊敬します 」


「ふん、私はなにもしていない キノコの指示に従っただけだ キノコがいなければ勝てなかったさ 」


・・・な、なに言ってるの、ナアマ みんなが時間を作ってくれたから勝てたんだよ みんなの力の勝利だよ ・・・


 私が照れながら言うとクレアは良いパーティーですねと微笑んでいた。


・・・クレア、あなたももうそのパーティーの仲間なのだから、無理しないように頑張ってね ・・・


「勿論です 」


 クレアは嬉しそうに微笑んでいた。私も、その笑顔を見て嬉しくなったが、シモンは一言も発せず私を見たままだ。


・・ううっほんと怖いよ、シモン ・・


 私がブルッと体を震わせていると、イブリースたちと紅茶を飲んでいたランスロットがやって来た。


「キノコさん、今回手に入れたアイテム”憤怒の石仏”ですが、一度に売却するのは避けた方が良いでしょう 滅多に市場に出ないので、その希少価値から高額な値がついていますが、これだけ大量に出回ると価値が下がり、価格も下がってしまうと思います 」


「ピ、ピイ…… 」


 確かに言われてみればその通りだよ。今まではその希少価値から高額な値段がついていたけれど、それが市場に溢れたら価値が下がってしまうのは当然の事だよ。需要と供給。供給過多になってしまってはいけない。何事もバランスが大事。どうしよう。


「なので今回はクレアの受け取った1億グルト分だけ売却して残りは取っておきましょう 資金なら僕らの貯えもありますから心配いりませんよ 良いよね、シモン」


 いきなりふられてシモンは驚いていたが、はい勿論ですと即答していた。


「それでは、首都シン・イーハトーブへ行って換金所でアイテムを売ってから王のもとに行きますか お金は手をつけずに持っているので返金しますと言えば、王も咎める事はないでしょう 実際、街は無事だったわけだし 」


・・・えっ、王様ってそんなに簡単に会えるの? それに、そんなに簡単に許して貰えるの? ・・・


「私はこれでも勇者ですからね 私の言葉には王も耳を傾けてくれますよ 」


 ランスロットが胸を張って言うが、アリスが割り込んできた。


「なーにが偉そうに…… こいつは確かに勇者だけどね、リスちゃん 私たちもただの勇者パーティーの仲間じゃないんだよ 私は王宮魔術師筆頭だし、あの暗いのはああ見えて王国騎士団長 そして、こっちジッと見てる気味悪い奴は王の腹心ともいえる側近なの だから、私たちが口を揃えて陳情すれば王も納得するのは間違いないのよ 」


 ランスロットは苦笑いしているが、私は驚いていた。ただの勇者パーティーじゃなかったんだ。国の重鎮たちじゃん。すると、恐ろしい殺気が感じられる。シモンだった。


「アリス、貴様…… リスちゃんではない ”キノコ”様だ 今度間違えたら殺す…… 」


「ひゃ…… は、はい分かりました 」


 アリスはビクッと震え即答していたけど、私もアリスと一緒になって震えていた。


・・・本当に怖いよ、シモン ・・・


 と、その時急にナガトとクレアが立ち上がっていた。さすがは忍者マスターと元レンジャーだよ。私の耳にも聞こえた。女の子の助けてという小さな叫び声。ナガトとクレアは川に向かって飛び出して行く。私も飛び出したけれど体格の差で遅れていた。その私をナアマがすくい上げ駆けていく。他のみんなも何事かと川に向かって駆け出していた。


「何が起こったんだ、キノコ 」


・・・女の子が川で流されているみたい 助けなきゃ ・・・


 私が言った瞬間、ナアマは更に加速していた。


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