20、資金集め終了
20、資金集め終了
ナアマとイブリース、それにトリスタンとアリス。ソロでアークエンジェルと戦っている4人はまったく問題ないね。それぞれ危なげなくアークエンジェルを倒していく。
私はペアで戦っている二組を見ていた。ナガトとクレア、ランスロットにシモンだよ。どちらも中レベルくらいのモンスターならソロでも問題ないだろう。だけど、アークエンジェルはかなりの実力があり、ゲームでは終盤に登場してくるモンスターだ。そもそもパーティーで相手をするのが前提のモンスターであるんだ。ソロで相手をしている奴らが異常なんだよ。
・・・あんなのがいたらゲームバランスを崩すから、本来いてはいけない奴らだよ、まったく ・・・
私は、自分の事は棚に上げてナアマやイブリースたちをチート扱いしていた。まあでも、おかげで資金集めがはかどるのは間違いないないよ。私は、ランスロットたちに目を向けた。
ランスロットとシモンは正攻法だ。シモンがランスロットに多重バフ掛けして、ランスロットの力を底上げしている。
・・・いったいどれだけのバフをかけてるの 攻撃力アップ、防御力アップはもちろん 素早さアップや剣のスキルアップもかけてるよね 体力回復も常にかけてるよ ・・・
ランスロットは、まさに光の勇者に相応しく、その体が光輝いている。ランスロットの持つ剣は聖剣であるため、本来聖属性のアークエンジェルにはダメージを半減や無効化されてしまうのに、今の多重バフで強化されたランスロットは問題なくアークエンジェルにダメージを与えている。もう無茶苦茶、力業だ。超強引だけど、それで勝てるのだから素晴らしいよ。
それで、ナガトとクレアはというと、こちらもまた無茶苦茶だった。ナガトは分身の術でアークエンジェルに斬りかかっている。ナガトの刀も聖属性なので、ほとんどダメージを与えられていないけどナガトは構わず打ち込んでいる。当然無理に斬りつければ刃こぼれしてしまうが、聖刀”蛍丸”は刃こぼれを自動修復するためナガトは一切構わず打ち込んでいる。しかも、ナガトの恐ろしい所は、その斬りつける箇所が寸分の狂いもない同じ場所だ。だけど、さすがにナガト一人ではアークエンジェルの抵抗もあるので同じ場所に打ち込み続けるのは至難の技だろう。そこでクレアだ。クレアが、ナガトが攻撃しやすいようにアークエンジェルの攻撃を防いでいるみたい。クレアは傷だらけになっているが、そのおかげでナガトの攻撃が実り、アークエンジェルの腕が切断され吹き飛んでいた。腕を飛ばされたアークエンジェルの動きが一瞬止まった時、今度はクレアが聖剣の力を発動する。聖剣”ダモクレス”。クレアが窮地に追い込まれる程、力が増す聖剣だ。今のクレアは満身創痍、どれだけの力を聖剣”ダモクレス”が発揮するのか、私もワクワクしながら見ていた。
サクッ
・・・えっ……? ・・・
私は丸い黒い瞳をさらに丸くしていた。同じ聖属性でありながら聖剣”ダモクレス”はアークエンジェルをまるでお豆腐のように軽く一刀両断していた。
・・・なにこの反則級の聖剣は…… なるほど、クレアも勇者と呼ばれるだけの事はあるよ ・・・
私は腕を組んで、うんうんと頷いていたけどアークエンジェルを倒したクレアも倒れていた。
・・・いけない、クレアも怪我していたんだった ・・・
私が慌てて駆けつけようとすると、ナガトがすでにポーションを飲ませクレアは立ち上がっていた。
「その聖剣の威力は凄まじいが、諸刃の剣だな 使いどころを考えないとな 」
「いや私はお前たちに救われた身だ いつでも、この聖剣を使うさ それこそが私の恩返しだ 命が尽きるまで、この聖剣で今度は私がお前たちの力になる 」
「ピイィィィーーーッ! 」
私はクレアに向かって大声で叫んでいた。
・・・簡単に命尽きるまでなんて言わないで、大切な仲間なんだから私が守るから、もっと気を楽にしてね それより早く首都に行って美味しいもの食べたいね ・・・
私はクレアに笑顔を向けていた。そんな私を見てクレアも微笑んでくれた。そうそうそれで良いんだよ。楽しく冒険してこの世界を変えていこうよ。その時、急にクレアが弓を構え矢を放っていた。
キイィィーーン
矢が何かに弾かれて落ちる。私は視覚、聴覚等全ての感覚を集中した。その私の集中した意識の中にある物体が形を作る。
・・・また、ドローンだ ・・・
私は、腕を振りニードルの魔法を無詠唱で連続で打ち出しドローンを撃墜していた。
* * *
「あの小動物は何者だ 遠呂知を倒し、感知不可能な筈のドローンを二度までも撃墜した 」
「あのレンジャーらしき人間も相当なレベルのようですね ドローンを感知しましたからね 人間に時々現れる突然変異種である可能性がかなり高いですね まあ、攻撃力は蚊ほどのもののようですが 」
「いや、しかしアークエンジェルをこうも軽々と倒す者が、これ程いるとは油断ならんな 特にこの小動物だ こいつは我々の存在に気付くかも知れんぞ 」
「いや、もう気付いていると考えるべきではないか ここの場所が悟られないように、すぐにでも警戒を厳重にするべきだ 」
「賛成だな あの漆黒の丸い瞳、何を考えているのか解らん 準備しておくに越した事はない 」
光が煌めく異空間とも呼べるような空間で慌ただしく動き回る者たちがいた。その者たちは複雑な機械を操作し指示を出しているようであった。
「しかし、いくら存在に気付いたとしても、我々には簡単には辿り着けんだろうよ くくく 」
一人の言葉に周囲から笑い声が起こり、それはだんだんと大きくなっていった。




