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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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17、暗黒騎士トリスタン


17、暗黒騎士トリスタン



・・ああ、もうどうしたらいいの・・


私は、誰を連れて行けば良いのか頭を悩ましていた。誰を選んでも後で軋轢が生じそうで決められないよ。だから、一人で行こうと思ったのに。私は自分の優柔不断を棚に上げて、他のみんなに八つ当たりしていた。


・・それなら全員連れて行くから、アークエンジェルをきちんと倒して下さいよ・・


私はもう投げやりな態度で言ったが、逆にみんなはオーッと歓声を上げていた。


・・一応言うと、状態異常の攻撃もしてくるかなりの強敵だからね。私に頼らないようにしてね・・


私の言葉で、この面々は怖れるどころか、寧ろ気持ちに火が点いたようだった。いや、頼もしいというか、恐れ知らずというか、私は戸惑いながら爪楊枝の剣に転移の魔法をエンチャントする。そして、問題ないだろうと思われるナアマとイブリースから転移させていった。彼らなら、いきなり襲われても不覚をとる事はないだろうからね。次にナガトとクレアだ。


「キノコさん”憤怒の石仏”を大量に手に入れるつもりですか。このメンバーならそれも可能でしょう。私も遅れをとらないように気合いを入れますよ」


ナガトには私の考えが分かっていたようだ。ナガトは大きく頷いて転移していった。


「”憤怒の石仏”は高額で取引される。それは私の貰った金を返す為か。すまない、何から何まで恩にきる」


クレアにも私の意図が分かっているみたいだけど、私は違うよと答えていた。


・・これは私自身の為の資金集め。メンバーも増えたし、色々お金がかかるでしょう。だから後々困らないようにお金を集めておくの。もちろん、その中にはクレアの借金も入っているけどね。仲間なんだから当たり前でしょう。だから、あまり無理しないでね・・


クレアも私に親指をグッと付き出して転移していった。そして、ランスロットたちも転移させた私は最後に自分を”白桃の眠り”のあの隠し部屋まで転移させる。アークエンジェルを倒しまくりアイテムを手に入れ資金集めをするのだ。


・・よーし、もうアークエンジェルの弱点は分かっている。アイテム手に入れてお金集めしないとね・・


私は爪楊枝の剣に、魔剣のイメージをエンチャントし周囲を見回す。ダンジョン内に、私が確認しただけで6体のアークエンジェルがいた。ナアマたちはもう、それぞれアークエンジェルと対峙している。ナアマとイブリースはそれぞれ1体ずつ。それに、トリスタンとアリスも1体ずつ対峙していた。残りはランスロットとシモン、ナガトとクレアで対応している。


・・ナアマとイブリースはともかく、トリスタンとアリスは大丈夫なの・・


私は、心配になっていた。A級冒険者の”ポラリス”のメンバーが5人がかりで勝てなかった相手だよ。いくら勇者パーティーとはいっても、一人で大丈夫なの。私は、トリスタンとアリスが心配になった為、彼らの近くで何かあったらすぐに救援に駆けつけられるようにしていた。


「暗黒剣”シュバルツバルト”」


トリスタンが剣を抜き構える。その構えた大剣を見て私は背筋がゾッとしていた。


・・なに、あの剣。無茶苦茶嫌な気配を撒き散らしている。あんな禍々しい剣、絶対に普通の人では扱うどころか触るのも無理だよ。トリスタンが暗黒騎士というのは本当なんだ・・


私は暗黒騎士というジョブを初めて見ていた。ゲームで知ってはいたけど、あまり一般的ではないジョブだよ。暗黒騎士は呪われた武具を装備できる。そういう武具は強力なものが多い。それを装備できるのだから、もっと成り手がいても良いと思うだろうが、暗黒騎士は呪われた武具を装備できるが、その呪いを解除出来る訳ではない。強力な攻撃力と引き換えに、その呪いを受ける事となるのだ。トリスタンも呪いのペナルティを受けているのは間違いない。それがどんな呪いなのか分からないが、その呪いに呑み込まれてしまうと発狂して自爆してしまうと言われている。なので暗黒騎士を目指す者は少ないのだ。そんな、突然最後を迎えるようなジョブには誰もつきたがらないだろう。それを回避する為に暗黒騎士には、精神力、体力共に強靭な力が必要になる。トリスタンは、その両方を備えているのだろう。そして、その覚悟も持っているはずだ。


・・カッコいい……・・


私は、そのトリスタンの姿を見て素直に格好良いと思っていた。仕事もそうだけど最後に必要なのは覚悟だ。お客様からの厳しいご意見やご要望を受けている時、適当に流してしまえば楽だろう。でも、それはお客様にも伝わってしまう。私は、この会社の社員なんだという覚悟を持ってお客様に対応していた。そして、その気持ちはお客様にも伝わるのだ。社長が、気持ちを入れなくては駄目と言っていたけど私もそう思う。何をやるにしてもその気持ち、覚悟があるかで決まる。精神論と言われてしまうけど私は技術とならんで必要なものだと思うよ。


ズバァァァッ!


そのトリスタンは暗黒剣でアークエンジェルに斬激を与えていく。その姿は危なげなかった。本当にソロでアークエンジェルを倒せそうだ。

トリスタンはポーションを飲むと、そこから怒涛の勢いでアークエンジェルに攻撃を仕掛け、そして、本当に一人でアークエンジェルを倒していた。


・・凄い、私なんか必要なかったよ・・


私の見ている前で、トリスタンに倒されたアークエンジェルが塵となって消えていった。


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