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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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13、勇者との邂逅


13、勇者との邂逅



「私が、お前たちの仲間? 何を言っている、私は処刑される身だぞ。早く私を引き渡して謝罪すれば、お前たちは、あの魔物を倒した勇者だ。罪に問われる事はないだろう」


「貴様、キノコの言葉に従わないというのか。それなら、私がこの場で処刑してやる」


「ピイィィィーーーッ」


私は、ナアマとクレアに向かって、止めなさいと怒鳴っていた。まったくもう二人共、もう少し心を広く持とうよ。私は、二人の顔を睨み付けていた。


・・私はクレアを助けた事を後悔していないよ。クレアが処刑されるのは、おかしいと思ったから助けたの。それが罪だと云うなら罪人だって構わないよ。だから、クレアはそんな事気にしないでいい。それに私には時間がないの。私は人間より寿命が短いから……。だから、私に力を貸して欲しい。そして、世界を平和にして私がクレアを助けたのは間違っていなかったと証明してみせてよ・・


「私はキノコがそう言うなら異存はないな」


ナアマはすぐに返事を返してきたが、クレアは驚いたように口を開き固まっていた。


「わ、私なんかを助けて罪人になっても良いというのか……。私が必要だと……」


小さく呟いていたクレアは、しばらくすると顔を上げて私を見つめた。そして、腰に差していた聖剣ダモクレスを私に捧げるように持つ。


「私、クレア=グルントの命、これより、キノコ殿に捧げる。思うままにお使い下さい。後悔はさせません」


今まで暗く光のなかったクレアの瞳に輝きが戻っていた。


「ピイィィィーーーッ」


これだよ、やっぱり人間はこういう目をしていなくちゃ、駄目だよね。何でもいいから自分にとって精神の支えになるもの。それを持っている事が大事なんだ。私ごときがクレアの支えになれるのか。それはクレアが決めてくれる事、私もクレアの期待を裏切らないようにしなくてはと気合いが入っていた。すると、馬車が止まっていた。


「どうした?」


ナアマが私を肩に乗せて馭者台を覗くと、イブリースとナガトが困ったように肩を竦めていた。馬車道をとうせんぼするように、軽装の甲冑を身につけた街道警備隊と思われる人たちが塞いでいるのだ。


「罪人を奪って逃げた者がいるとの連絡があったのでな。馬車の中を改めさせて貰うぞ」


肩に鳩を乗せた警備隊員が、私たちに向かって言ってきた。鳩の足に小さな筒が装着されている所を見ると、あの鳩は”伝書鳩”なのだろう。ソドムの街から、この街道警備隊まで放たれたのであると思われた。


「この馬車に乗っているのは、みんな私たちのパーティー仲間だ。罪人など一人もいない」


ナアマが私の気持ちを代弁して警備隊に言うが、警備隊も良いから馬車の中を早く見せろと言い寄ってくる。おそらく、似顔絵や肖像画等も手紙と一緒に送られているだろうからクレアの顔を見られれば、一発でバレてしまうのは間違いない。馬車の中で隠れる場所などないし、これは強行突破しかないかも知れない。私は、チラッと外の様子を見る。街道上に5人の警備隊が陣取り、馬車の脇にも数名の警備隊がいるようだった。この位の人数であればナアマ一人でも蹴散らす事は簡単だけれど、出来れば争い事はしたくないよ。その時、警備隊の後ろから4人の男女が歩いて来ていた。


・・不味いっ、ナアマ、中へ・・


馭者台にいたイブリースが慌ててナアマの手を引き、馬車の中に隠れていた。


・・どうしたの?・・


私が、イブリースに訊くと、それより早くナガトの呟きが聞こえてきた。


「勇者ランスロット、なぜあなたがここに……?」


ランスロット?、私は馬車の外を覗いて見る。4人の中の一人は確かに大きな力を秘めていると感じる剣を腰に差している。


・・あれが聖剣エクスカリバー……・・


聖剣の中の聖剣だ。私がイメージしても、この聖剣は顕現してくれない。凄い威圧感だよ。ここで争いになったら大変な事になってしまうよ。おそらく、双方全力でぶつかる事になるだろう。そうなれば、どちらも無事では済まない。警備隊の面々は全滅してしまうだろう。


「キノコさん、キノコさんもあまり出ない方が良い。ランスロットのパーティーにいる僧侶シモンは破顔の瞳を持っています。私やナアマの擬態はもちろん、キノコさんの正体も見破ってしまうでしょう」


・・なにそれ、そんな凄い能力を持っているんだ。でも、それなら私が行ってくるよ。私が行って話せば、きっと分かってくれる。だって勇者ランスロットは良い人なんでしょ・・


「それはそうですが、奴は魔王は敵としか見ていませんよ。ここに魔王が二人もいると分かれば全力で排除しにくるでしょう。キノコさんが負ける筈がありませんが、おそらくこの辺り一帯は焼け野原になるでしょうね。それは、キノコさんの望む所ではないでしょう」


・・うーん、確かに争いになるのは不味いよね。話し合いで解決しないと……・・


「とにかく、私とナアマが見つかるのは不味いです」


「めんどくさいなぁ。邪魔するなら皆殺しにしてしまえば良いだろう。一番手っ取り早くないか」


ナアマが怖いことを平気で言う。


・・ダメだよ、ナアマ。そうすると、人間と仲良くするのが難しくなるよ。戦いは必要最低限にしないと……。そうだ、ナアマ。コーヒー淹れてくれる」


私は、仕事で煮詰まった時の事を思い出していた。なかなか良いアイデアが浮かばず、時間ばかりが過ぎていく時、給湯室で淹れたコーヒーで突然アイデアが浮かぶ事もあった。


・・コーヒーの香りは私にとって、気持ちを切り替える良いスイッチになるんだよ・・


私は、ナアマの淹れてくれたキリマンジャロの香りを思い切り吸い込んでいた。


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