駅にいる少女2
「?」
カラカサは耳を疑った。
「だから駅に行こうって」
不思議そうにローグが言った。
「ダメだ」
「ええなんでぇ」
「お前リーヴェさんの言う事聞いてなかったのか?」
「聞いてた、行っちゃダメなんだろ?」
「じゃあ行くな」
「でも暇じゃねーか」
「まあな」
「じゃあ行こう」
カラカサは観念したようにため息をついて言った。
「分かった、駅ってのはどこに在るんだ?」
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「あそこが駅じゃ無いか?」
二人が今前に立っているのは駅らしいのだが、駅というには程遠く、どんよりした空気が漂っている。さっきまで活気付いていた市場いたせいか、いきなり静かな場所にくると耳鳴りがする。壁からは鉄骨が剥き出しになっている所も有り、天井が残っている方が奇跡と思える。一歩、一歩と歩くと音の反響が大きくなっていく。中に入ってみると予想通り汚い。埃は舞うし、ふと上を見てみると蜘蛛が巣を張っている。
「おい、あれみてみろよ」
カラカサが言った。指を指した方向には、何か白黒の塊が転がっていた。ゴミだろうか。ローグが目を凝らして良く見てみると、何やら手が有り、足が有り、そこで気づいた。
「人間だ」
駆け寄ると、それは確かに人間だった。13歳ぐらいだろうか。女子だろうか。
「おい大丈夫か!」
ローグが体がユッサユッサと揺らす。目を瞑っている。死んでいるのかもしれない。
「ぁ」
か弱い声をだした。良かった、生きている、とローグは安堵した。
「おいやめろ、それやって状態が悪化したらどうすんだ」
「じゃあどうすりゃ良いんだよ」
「こういう時は何か食べさせりゃ良いんだよ」
そう言って食料を入れていたカバンからゴソゴソとリンゴを出して、ローグに手渡した。ローグの膝で膝枕をして、
「おい、食えるか」
話しかけるとその子は小さくコクっと頷いた。口元に持っていくと小さい一口ながらも、ゆっくりとリンゴ一つ、食べてくれた。
「生きてて良かった」
「だな、所で親は?お父さんとお母さんは近くにいるか?」
何も言わない。
「じゃあ名前は?」
ローグが聞いた。すると目をゆっくりと開き、言った。
「私の名前は、」
と言いかけて、口をつぐんでしまった。
「名前は?」
とローグは聞く。少しの沈黙が流れ、少女は意を決したように言った。
「私の名前はイロハ、親はいない」
綺麗な瞳だな、とローグは思った。
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