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【夏デートストーリー】「前編」その2

「あ、お嬢様!」


 前よりは酷い顔をしてないソコソコ良い状態の私はラフな格好で向かうとそこには大人数が集まっていた。


「おはよう」


 私を見つけるなりトコトコ歩きながら何処かの店の袋を渡された。


「これは?」


「えへへ、水着だよ♪」


「自分のあるよ?」


 水着なら一年前の物があったはず、でもユカリちゃんは首を振る。


「お嬢様が持ってるものじゃ苦しいでしょ?」


 ユカリちゃんは私の胸元を指しながら指摘され言葉が詰まってしまう。


「そ、そんなことないよ!?」


 ゆっさ、ゆっさと揺れる私の胸に説得力が無いのと同じだ。


「お嬢様のボリューミーでたわわで柔らかそうなお胸はちゃんと合った物を使おうね♪」


 そう言って私にそれを押し付けられ、有無も言わず何処かに向かい、今度はサナエ先輩の指示で集まる。


 その話は内容とはほぼ一週間皆で過ごすと言う夢のような話を持ち掛けられた。


「バカな奴にも分かりやすい用に資料も作ったし、説明したから後は現地に行くだけよ」


 一緒に過ごす場所は私の知る、大嫌いな両親が持つ土地とペンションだった。


 どうやってこの場所を嗅ぎ付けたのか質問しようとしたけど東君と柊ちゃんがにこやかな顔をしたから確信した。


「万が一のこともあるから大人の人達にも付き添う形で来てくれるからこれで安全面は強固となるわ」


 万が一不審者がいたら大人が対処する、当然と言えばそうかも。


「ところで・・・そちらのお二人方は?」


 私は大柄で筋肉質の黒人風の男性と肉質の良い女性について目を向ける。


 それに関してはユカリちゃんが割って入る。


「こっちのおじさんは真桜高校の料理人だよ!お嬢様は行ったことないと思うから面識無かったね」


 食堂にいるおじさんらしい、その割には片腕が義手だった。肌に所々傷が入っててとても健全とは言い難い生き方を刻んできたのかも。


「なっはっは!そんな警戒すんじゃねぇよ?普段はオレっち様に任せりゃ安心さ」


は大体は厨房に居座る、提案したい事があるなら俺経由でもいい」


 李おじさんは思ってるより砕けた人柄で、黒崎先生の指示に従うらしい。


「んで、アタシが片寄、元は軍人だったが今は食い物に飢えているアルバイト人間さ!護衛ないつでも任せろ♪」


 見た所、黒崎先生と親睦がありそうな二人に疑問を持つけど守ってくれるならいいかな。


「この二人共にユカリちゃんは仲良いの?」


 その問いにユカリちゃんは当然ながら頷いた、やっぱり凄いな。


「後は現地に行ってから仔細を話すから、行きはバス、帰りは電車よ」


「私の力なら旅客機とか、ヘリとかあるけど使用は・・・」


「アンタの両親に説得すんのに金掛かったからこれ以上の経費は学校から出るわよ?」


「・・・皆のお金を・・・っ!」


 両親を益々嫌いになる、憎悪だけが膨れ上がり、坊主憎けりゃ袈裟までなんて可愛いもの・・・私の大切な人から奪った代償は大きいわ。


「ほら、早くしなさい!予定時間は五分しか余暇がないのよ!」


 今回のメンバーについては後で確認することにして親にはもっと嫌味を綴り、今はその牙を隠す事にした。


 

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