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日常「ちょっとした怖い話?」

「ねぇ、サナエちゃん」


「んー?」


「今から怖い話ししても良い?」


 私の発言に荷物を纏めて帰ろうとするのを遮った。


「こら、逃げないでよ」


 腕を引っ張り抱き締めるように腕をお腹に手繰り寄せた。


「離しなさいよバカ!」


 高飛車でサバサバした性格だけど実は怖い話が超絶苦手で聞いたその夜が寝付けないらしい。


「これはこの前キリちゃんと廃墟探索に出掛けたんだけどさ」


「話するな〜!!ぐぐぐ!!ぜ、全然逃げれないじゃない!?」


 がっちり締めてるから逃げられないと悟り怯えた子犬のように目を瞑る。


「すぐ終わる話だから!ね!」


「そもそも廃墟なんて行くなバカ!」


 話を聞いてもらおうと無理矢理ソファーに座らせる、怖い目つきと膨れた頬で聞きたくなさそうにそっぽ向く。


「ヤバい!ってSNSで話題になってたから行ったのに何もなかったんだよ〜」


「そ、残念だったわね」


 また帰ろうとすると私はまた肩を掴んで座らせる。


「でもその後家に帰るとねサナエちゃんから通話してきたんだよ」


「通話?」


 ちょっと興味があるの耳を傾けてくれた。


「また怒ってるかなーって面倒くさい女の子って思ってたら・・・サナエちゃんがドーナツ屋にいたの!」


「は?何でよ?」


「私びっくりしたよ!通話してるのも目の前にいたのもサナエちゃんなの!どっちがドッテルゲンガーかなって!」


「ドッペルゲンガーよ!・・・ちょっと待ちなさい」


 サナエちゃんは何かを思い出したかのように腕を組む。


「ん?」


「私・・・最近・・・ドーナツ屋に行ってないわよ?」


「・・・・え?」


「・・・・・・・・?」


「冗談だよね?」


「いえ、最近ダイエットしてるから・・・ドーナツ屋に行けないのよ」


「・・・・じゃああの時のサナエちゃんは・・・・」


 二人共・・・・・


「またね」


「か、帰らないで頂戴!い、一緒に帰りましょう!!」


「さっきは帰りたがってたじゃん!?」


「いいから帰るわよ!!もう〜!!!バカ!!」


 サナエちゃんは泣きそうになりながらも必死な顔が可愛くて弄ったらぶっ飛ばされた。

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