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「いじめ」

「はぁ、はぁ!!ヒメちゃん・・・っ!?」


 とある日常、この日はお日様がサンサンして絶好のお散歩日和、そんな中私のスマホに一本の訃報が入った。


 私はいじめを受けた生徒達を助ける活動を個人的に行い、手遅れになる前に処置を施す事で学校の汚名でもある【自殺学校】を拭いたかった。


 でも今回は駄目だった。私一人だけでも駄目な時は本当にどうしょうもなく、トラウマと傷は癒えること無い痛みは人を死に直結させる。


 笹山陽菜ちゃん、背が小さくて気弱な女の子。


 今年で三年生なのに私が気づかぬうちにいじめを受けて自暴自棄になっていた。


 彼女は髪が長くておしゃれさんだった。でもそれを馬鹿にされお気に入りの前髪を勝手に切られて心が遂に壊れてしまった。


 優しい笑顔は薄ら笑いになり私が声を掛けた時はもう笑顔すら無かった。


 私と出会いずっと励まし痛みを共有してくれた。


 彼女の笑顔が戻ってきた、そしたら私が知ってる施設に案内して助けられると高を括っていた。


 ソレが仇になった。


 私の信用してる施設には色んな人間がいる。


 だからかな・・・虐める被害者から加害者になる人も少なくない。


 前髪を馬鹿にされたヒメちゃんは・・・あのトラウマが蘇り・・・自宅で亡くなった。


 死因なんか聞きたくない、あの娘の笑顔は優しく包みこんでくれた。


 私は・・・何も出来なかったんだ。


「ごめんなさい・・・私・・・!本当にごめんなさい!!」


 知り合いの入間さんなのか誰か分からないけど肩を優しく叩かれた。


「桜さん、あまり気に病まないでください・・・何度も経験してる貴女なら仕方無いと割り切るしかありません」


「分かってます・・・でも・・・救えると思ったのに・・・また元気に学校に来れると約束したのに・・・!」


 私って本当に駄目なんだ、助けたいと思って自殺を目の当たりにするといつも泣いて、慣れないよ。


 私は心を落ち着かせ、入間さんから遺書が見つかったと内容を私にだけ公開してくれた。


 そこには私の事を【優しくて慈愛の友達】と慕ってくれた。


 泣きそうになるのを抑えて夕焼け空、帰り道公園のブランコで黄昏ているとお嬢様が声を掛けてきた。


「何かあったの?」


 優しいあの顔を見るとついいつものクセが出る。


「あはは、ちょっと疲れちゃって」


 また危険なことでもしたの?とお嬢様は冗談混じりに言う。


「えへ!」


「もう、無理しないでね?ユカリちゃんが凄いのは知ってるけど危険な橋は渡らない方が良いのよ?」


 お嬢様からしたら私は優しくて凄い女の子に見えるのかな?本当はそんなこと無いのに、お嬢様が思う程私、強くないんだ。


「ユカリちゃんって人気者だから関係無いと思うけど、いじめられたら誰かに相談してよ?」


「あれ、何か話変わってない!?」


 少し顔に出た?


「なんかいつものユカリちゃんじゃないから・・・」


 そっか、お嬢様は洞察力が鋭いのかな?


「お嬢様、ごめん・・・少し一人にして」


「えっ?私・・・悪い事言った?」


 気落ちしてるから、いつもの返しが下手だ。でもごめんなさい、少しお嬢様は疎いな。


 上辺だけでしか知らないから、お嬢様は私が人気者でチヤホヤされてる人間だと見えるんだろうな。


 そんなことないって冷たく言い放ってしまいそうなるのを抑えた。


「お嬢様、本当にごめん・・・ちょっとだけ厳しいかもしれないけど・・・決めつけるのは良くないと思う、お嬢様の事少しだけ嫌いになった」


 私の無作為な発言にお嬢様は酷くショックを受けてしまった。それでもお嬢様は笑顔を作った。


「また明日・・・ね?」


「うん、本当にごめんなさい・・・お嬢様に酷い事言っちゃった」


「ううん、慣れてるからいいよ」


(・・・慣れてる?)


 私達は初めて“友達”の距離感が違う事に気付いた。


 お嬢様もきっと暗い一面があり、私にも傷があることを知られたかもしれない。


 仲良くなるのって難しいや。 

  

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