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運命の分かれ道

作者: はやまなつお

1


ユカリは高校1年生。

5月、学校から駅までの帰り道。

同級生のタカシが「付き合わないか?」と言ってきた。


タカシは笑顔で誰にでも話しかける社交的なムードメーカー。

これまで友好的に当たり障りのない会話をして、浅い友人関係だった。


特に恋愛感情は無いが、試しに付き合うのは有りだろうか、という微妙な所。

「考えさせて」と答えた。



その日の夜、どうしようかと自室で考えていると。

バサ、と本棚から何かが落ちる。


昔の日記帳。小学校2年。簡単な文字で書いてある。

思わず読みふけっていると。


次のページを開くと。「えっ?何これ?」

1ページ全体に「タカシ ダメ」と大きく書いてある。


次のページは普通の日記。

「タカシ ダメ」は今日の月日と同じ日付・・・・。



翌日の学校からの帰り道。

「やっぱりやめとく。恋愛感情無いのに付き合うって変だし」


「え~、何でだよ、いいだろ、俺ら気が合ってるし、ぜって~楽しいって!」

ひつこくグダグダと絡んでくる。


ユカリは走って逃げた。



次の日の学校。休み時間。

タカシ「いーじゃんか、付き合おうぜ~」


ユカリ「断ってるでしょう、いい加減にして!」


タカシはカッターナイフをポケットから出すと

ユカリの文房具を切り始めた。


「何してるの!キチガイ!」バン、と顔を叩いた。

「てめー!」睨みつけてくる。


「ちっ、後悔すんじゃねーぞ、俺の顔潰しやがって!」

周りの生徒の目を気にしてタカシは出て行く。


その日から陰湿なイジメが始まった。

靴に画鋲、スリッパが盗まれ、筆箱にゴキブリの死骸が入れられ、

メガネが切り刻まれ、ロッカーがボコボコにされた。


教師に訴えたが証拠がない、と言われるだけ。

タカシは地元の有力者の息子らしく子分が大勢いた。


「あんた、タカシを振ったって。生意気な事してんじゃねーよ!」

スケバン女にからまれ、殴り合いを行った。



結局、ユカリは、その高校を自主退学した。

遠くで住み込みで働くことにして自宅を出た。


正社員で貯めたお金で、女性専用千円カット屋を起業、チェーン店を全国展開して

事業を軌道に乗せた。


15年後、知り合いにその後の事を聞いた。

タカシはスケバン女と、高校生で子供が出来て結婚した。


カッとすると暴れる癖があり、スケバン女を切り刻んで惨殺、

逮捕されて刑務所へ。出所後は酔っ払って暴れては警察に捕まる事の繰り返し。


中途半端に付き合って、もしそんな立場になっていたら、とゾッとする。



ある日の夜。

夢の中。小学校2年の自分が日記を書いている。


あの月日のページ。「あ、ちょっと待って、そこのページは!」

声を出すと。「あれ、だれ?」子供が驚いている。


「そこのページだけ私に書かせてくれない?」

「・・・いいけど」


子供の手を動かして例の文を書く。「何これ?」

「今はわからなくても将来きっと役に立つから」


「あなた誰?」

「あなたの味方」そこで夢が途切れる。



別の場面へ。

高校1年生の自分が自室で机に向かっている。


「あ、そうか、ここで」

本棚を見て日記を探して、床に落とす。


もう一人の若い自分が驚いた表情で振り返る。

また意識が途切れて・・・。


目を覚ますとベッドの上。

隣のベッドには夫が寝ている。


十分に吟味して、信頼できて尊敬できる男を、夫として選んで結婚、

事業は売却して、すでに経済的自由を獲得、現在は幸せな生活を実現できていた。


手本は本「怪談学校2 本当にあったコワイ話」の「さとり」。

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