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ワールド・ロジック~黒人の歩み~  作者: 紫煙の作家
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NO1

 投稿は不定期なります。

           No1




 世界は混沌に満ちていると常々思っている。

 人生で一度は考えた事があるだろう。 自分は何故生まれて来たのか? 自分はどう生きてどう死んでいくのだろう? ただ生きる為に働き、ただ死ぬ為に生きるいるのではないか、と。


 義務教育という必要最低限の教養を学んだ後は、社会という名の牢獄へと解き放たれる。そんな世界でただひたすら働き自身の欲望を満たしたあとに訪れるのは、絶対的な"死"だ。


 自分が生まれてきた理由も使命もわからず、先人達が勝手に造り出した"歯車"、あるいは"神"と名乗る者が造り出した"世界"へと組み込まれて廻される。


 俺はそれが嫌で仕方なかった。


 社会に出たのは高校を卒業してからだ。当時は、学校を卒業したら働いて結婚して家族を持ち幸せに暮らす。ただそんな漠然とした考えだけを持っていただけだった。十数年間学んできて"ソレ"しか考えられない自分を今の俺は恥じるしかない。


 最初に働いた仕事は肉体労働系の職だった。仕事は辛いが給料は良かった。稼いだ給料は貯金をしても一般的な生活が出来るぐらいな金額だ。働いて賃金を得て生活する。社会人なら誰もが知る一般的な常識だ。


 もちろん、働けば不平不満は当然あるだろう? 

 俺ばかりが雑用、私ばかりが残業。時には訳も分からず罵声を浴びたり、社内で子供のような虐めを受けたりもする場合も少なからずある。自分より早く社会に出た先人がそのような事をするのは本当に理解に苦しむが、それが人なのだろう。


 社会に数年もいれば知らず知らずに"染まっていく"。

 周りの行いを聞き、見て知って、社会に適応していく。自分の意思より周りの意見を、個人の考えより多数の発言を。

 非常識が常識だと、常識が非常識へと変換させられていくのだと、そう気づいた時にはすでに自分の人生は"世界の歯車"から逃れる事は出来なかった。その歯車から外れれば待っているのは"死"だ。


 人は必ず死ぬ。命ある生物は死ぬ。これは"事実"だ。俺が数十年と生きてきて学んできた中で得た答えだ。


 人は死ぬ生き物だ。"ソレ"は受け入れよう。事故で死のうが病気で死のうが、寿命で死のうが死ぬのは事実なのだから。

 だが、それまでの過程が重要だ。先にも言ったが"死ぬ為に生きる"のは嫌だ。自分が、"今"を生きていると感じていたい。自分の人生は壮大だった。満足だった。やり残した事はなかった。


 そう言って死んで行きたいと・・・・。






△▼

 俺は、都市と都市を結ぶ街道を歩いている。

 街道は"前の世界"とは違い、地均しされた土の街道だ。"この世界"の文化技術は前の世界と比べるとずいぶんと低い。が、それに替わる"魔導技術"は目を見張るものがある。前の世界で当たり前にあった"物"が普通にあったりするし、"無かった物"も存在する。世界が変われば文明も変わる、とは誰かが言った言葉だっただろうか。


 街道は、森を開き作られ村と村をつなぎ、街と街を結ぶ。街道の幅はそれなりに広く馬車と馬車がすれ違えるぐらいは余裕がある。この世界では馬車が主流だ。前の世界のように"車"や"電車"は存在していない・・・と思う。

 というにも、俺が"この世界"に来てからまだ二年ほどしか経っていない。まだまだ俺の知らない土地や国はたくさんある。なので、世界の何処かには"車"や"電車"のような乗り物が存在しているかもしれない。


 "この世界"は、"前の世界"とは別世界だ。

 俺が生きていた世界、いや"生きながらに死んでいた世界"と言い替えても過言ではないかもしれない。そんな世界に俺は二年前にやって来た。


 こうして街道を一人で歩いていると自分勝手な考えかも知れないが、世界は俺を受け入れてくれたように感じる。"この世界"に来て良かった。"あの時"の俺の判断は間違っていなかった。

 そう思ってしまう。思いたくなってしまうのはエゴなのかも知れないが。


 一人でいる時はいつもそんな事を考えている。"あの時"の事を。





 あの時ーー俺が"死んだ時のこと"を。




 独断と偏見で書かれています。

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