神罰
あの後貴族から聞き出した情報によると、その公爵とやらはこの街からすぐのところの王城にいるらしい。公爵は実験をする前からも人をいたぶっても平民であれば構わないといった偏った考えを持っていたらしい。
「飛んできてみたがこれは酷いな。」
先程の貴族の家の数倍はある大きさと豪華さの家は周りの家と比べるとギラギラしていた。さっきと同様門を壊し、集まった兵の対処。そのまま家の中まで進む。
「貴様、何者だ!?儂の家に土足で入り込みよって!」
家に入るとすぐに公爵らしき男が出てきた。その体はうまいものを食ってきたのか太っていて、宝石などの豪華な装飾品を身に着けている。
『豚みたいだね。』
その通り。まさに豚だ。こんな見た目なら平気で人も殺すだろう。なにより・・・
「汚い心だな。濁り切っている・・。」
「な、なんだと!?この儂を汚いじゃと!?許さん。衛兵、こ奴らを捕らえよ!」
豚が喚き散らすと奥から十人兵士が走ってきた。こいつらも先程同様対処し豚公爵の首を掴む。
「おい豚、今までの実験・・こいつら二人についてはお前が全部命令したのか?正直に言えよ、じゃないと・・・。」
「わ、分かった!話すから!」
そう言って豚公爵は話し出した。
「実験は戦の女神を崇めてる隣の国の聖王が言い出したことじゃ・・成功すればたんまりと金が入ってくる約束だったんじゃ。」
「だいぶ話が大きくなりましたね。」
確かにいきなり話の規模が膨れ上がった。しかもアリスを崇めているやっつらがやったらしい。それはつまり・・・。
『アリスちゃんの名に泥を塗ってるね、間違いなく。』
ほう・・?舐めた奴らがいたもんだな、今すぐ全員・・・
『んー、それはちょっと良くないね。そもそも君は一応は神、あまり下界には干渉しちゃいけないんだ。何が起きるか分かったもんじゃないからね。』
なら仕方ない、ここはいったん我慢して家に帰ろう。とにかくいったん落ち着いてから行動しろと妹、クサナギが言っていたからな。
「クレナイ手を出せ。」
俺はクレナイの手を掴んで転移する。家に一瞬で帰り着いたが、クサナギやオウガ、雨龍がドタバタとせわしなく動いていた。俺の顔を見るなり驚いたがクレナイが肩を貸していたアオを見るなり横に寝かせて治療した。
「なんでそんなに慌ててるんだ?」
「え!?な、何でもないよ?何も無いない。」
怪しい・・・。明らかに目が泳いでいるしかもクサナギは何時も嘘をつくとき、首の後ろを触る。
「嘘をついてるのはバレバレだぞ、何か隠してるだろ。」
「嘘なんかついてないよ?」
そう言って部屋のドアの方をチラ見した。どうやらあそこに何かあるらしい。俺がドアを開けに行くと、
「あ!ダメだよ入っちゃ!」
妹の制止を無視し扉を開ける。そこには雨龍が汗だくで、泣き目になりながら誰かを看病していた。ベットに寝ていたのは・・・アリスだった。顔には黒い痣のようなものが浮かび苦しそうにしていた。
「バアル、ですか?みっともない姿を・・見せてしまいましたね。」
「おい・・・。どういう事だ?何があった。」
「実は・・・。」
雨龍の話によると、さっき豚公爵の言っていた聖王の国にあるアリスの神像に邪悪な願いが集まってその願いがアリスに瘴気の痣として浮かんだらしい。神界に居ては危ないのでフラフラになりながらここまで来たそうだ。顔だけでなく体中に痣があるらしい。
『我慢しなよって言っても無駄そうだねえ。』
「当たり前だ、人間にもなり切れないようなクズが誰の怒りに触れたか思い知らせてやる。」
一瞬で転移した兄を見てクサナギはため息をついて呟いた。
「だから見せたくなかったのに。」
場所は変わり聖王国上空
夜の闇に月の光だけがさす中、国中に怒号が響く。
「アリスを崇める人間どもよ、聞け!我が名はバアル!慈雨と雷雨の神である!戦の女神アリスに邪悪な願いをする人間どもに神罰を与えに来た!」
『君、慈雨のかけらもないじゃん。』
白バアルの皮肉が聞こえた気がするが今はどうでもい。
「ここまでは建前である。本音は・・誰の女にキツイ思いさせてるか思い知らせてやる。」
俺が聖王の城と思われる場所に攻撃しようとすると城の窓から男が顔を出し俺に話しかけてきた。
「ま、待たれよ神よ。誤解である。私は国の発展のために価値のない人間を活用しただけである!決して女神様を害そうとは思ってはおりません!」
『クズだね、今すぐ口を閉じてほしいな。そもそもアリスちゃんに邪気を送ったやつらの場所は分かってるからもう遅いんだよね。しかもその一つは真っすぐに君を刺してるんだ。』
白バアルが思念体で出てきた聖王に向かって言った。白バアルが場所がわかる、つまり俺のもそいつらの場所は分かるわけだ。
「ま、待たれよ。話を!」
聖王の言葉は一切聞かず手を天に掲げる。真っ暗な夜に金色の雷が走る。それは国の空を覆っていく。
『今日の雷は僕バージョンだよ。どうだい綺麗だろ?これが今から君たちを焼く雷さ。』
「ひい!?なぜだ?余は王だぞ?そこらの平民とは価値が違う!」
「もうその口を閉じてくれ、そろそろ限界だ。」
俺は指を鳴らし雷を落とした。
その夜国中に数百本もの金色の雷が落ちた。
感想待ってます(ノ・ω・)ノ




