弱虫
急に時間が飛ぶのでよく図らないかもしれません。これからしばらくは昔のバアル視点で書いていきます。学園編はまたあるので安心してください。
食堂の客の最後の一人が帰った後、皆は片づけをして席に着いた。この店はおじいさんが肉の調達と味付けをしおばあさんんが調理盛り付けを担当していた。そう考えるとおじいさんの料理だと考えるが、おじいさんが焼くと火力が高すぎてうまく焼けないらしい。
バアル達の席に料理が運ばれてくる。それはこの店の一番の料理と言われている『ドラゴンステーキ』である。料理を前にしたバアルは
「これだよこれ。食わなきゃやってられない。」
とよだれを拭いながら言った。そんなバアルを見てアリスが、
「汚いですね。まあ分からなくもないですが。」
と言いながら肉にかぶりついた。それに続き皆かぶりつく。特にバアルはとてもうまそうにかぶりつく。そんなバアルにおばあさんが
「なんでそんなにそれが好きなんだい?最初に店に来たときはもうそれがあることを知っていたじゃない?」
とバアルに質問した。おばあさんにバアルはこう告げる。
「俺がまだただの魔人っだった時、腹が減って死にかけてた時人間の姉ちゃんが作ってくれた肉にそっくりなんだよ。」
と言った。
そう昔の話・・・。あの時から全部が始まったと思う。
今から何千年も昔、まだバアルが人だった時代。
とある村に珍しい髪色の兄妹がいました。兄の髪は黒く皆から気味悪がられていました。反対に妹の髪は白く、神に最も近い色ということで、その村で巫女をやっていました。巫女の兄だった為兄は殺されることはなく、まだ幼い巫女の心のよりどころとして村に住まわしてもらっていた。
「ただいまお兄ちゃん!」
「お帰りシロ。」
元気よく帰ってきたのはシロ。この村で祀っている神クサナギの巫女として毎日祈りを捧げている。
そんな巫女を笑顔で迎えたのはクロ。村では嫌われ者だった。皆がやらない様な仕事をさせられいつもいじめられていた。だが妹の前では笑顔を絶やさなかった。
「今日もお疲れ様シロ。」
「うん!私頑張ったよほめてほめて!」
妹の頭をなでてあげる兄の姿からは優しさが溢れていた。親もいない二人にとって唯一の血のつながっている家族である為二人は固い絆で結ばれていた。
「お兄ちゃんも頑張ってね。今日は狩りをしてくるんでしょ。」
「・・・。ああ。頑張るよ。」
実は行きたくなかった。どうせ今日も狩りが終わったらいじめられるんだ。そして僕は何もしていない、全部自分たちがやったといって手柄を横取りする。いつもいつも・・・。
だが妹のために行かないといけない。剣をとって僕は出かけた。
この村は剣伸クサナギを祀っているため、剣はクサナギの加護が宿った物を使うため刃こぼれせず切れ味も凄い。素人が使っても簡単に首をはねられる。加護が宿っていれば・・・。
当然僕のには加護が宿っていない。何年も使っているから刃こぼれもひどい。本来なら切れたものではないがそこはコツがあった。骨は切らず血管を切るのである。そんなことを考えながら歩いていると、狩場についていた。
「おい、おせえぞ。ごみのくせに。」
そう言ってこいつは殴ってきた。いつものことだ、今日も親と喧嘩でもしたんだろう。その腹いせに毎回僕を殴る。
「あー、スッキリした。おいもういいからさっさと行ってこい。」
「はい・・・。」
僕は従うしかなかった。何時も通り何匹か狩って持っていく。
「狩ってきました・・・。」
「ああ?おせえんだよ!」
また殴られる。今度は容赦なく。しばらく起きられないほど。
痛い・・・。何で僕がこんな目に合わなくちゃいけないんだ・・・。髪が黒いだけで。
気が付くと辺りはもうすっかり暗くなっていた。長い時間気を失っていたようだ。帰ろうと思い起き上がると村の方の空が真っ赤に染まっている。
村に何があったと思い急いで向かう。頼む無事でいてくれ・・・・。
村に着くと家が燃えている。だが何故か僕たちの家だけ燃えていない。しかも他の村人の姿も見えない。みんな逃げたんだと思い、僕も逃げようと思ったが、何故か家が気になり中に入る。
中には妹がいた。なぜ逃げていないんだと思い声をかけた。
「おいシロ!何してるんだ早く逃げるぞ!」
返事がない。妹の体をゆすってみる。が妹の体には力が入っていない。死んで・・・る?
「おい・・・、何寝てるんだ・・?返事してよ・・・。」
分かってるもう妹が返事をすることはないと・・・。だが認めたくない。だってたった一人の家族なのに・・・。
『ねえ君。その子の兄かい?』
どこからか声がする。これは、真後ろにいる?外は燃えているはずなのに。
「誰だ!」
そこには誰もいない。だが確かに声がする。
『ははは。君には見えないよ。まだ・・・ね』
何を言っているんだ。だが確かに声はするのに見えない。
『まあ見るからに、血縁なのは間違いないだろうね。その子はね、君を待っていたんだ。帰ってこない君を心配して。だが一度は逃げようとしたんだ帝国の人間たちからね。だが村人たちはこの子をおとりにしたんだよだからこの子は死んでいるんだ。』
おとり?あいつらはいつもお前たちのためを思って神に祈った妹を見殺しにしたのか?
許せない・・・。だが僕には力がないひ弱な腕。脆弱な力。何もできない。
『それでね。村人たちは王国に逃れたよ。今頃美味しいご飯を食べているだろうね。』
なんて奴らだ幼い娘を置いて行ってうまい飯?ふざけるな。
「俺が強ければ。」
『そうだね君は弱い。君のせいで妹は死んだんだよ。』
「俺は・・・。」
ただ叫ぶしかなかった。現実から目を背けたかった。村を焼く炎の音に交じって声が辺りに響いた。
一気に投稿します。




