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猛焔滅斬の碧刃龍  作者: GHOST
1章【巨人の湖編】
7/214

第6話・得る物、失う物。




──ギャアンンッ!!!!



互いの刃がぶつかり合う。

踏み込みはほぼ同時。鍔迫り合いで感じた奴のパワーは上がっていたが、それでも俺と互角程度で余程苦戦を強いられるというレベルでは無かった。


ただ、さっきのハイル⋯⋯ナントカっていう魔法は厄介だ。

確かに致命傷になる程の傷は与えていなかったが、それでもダメージは蓄積していた。勿論、俺も同じ様にダメージを受けていた。


俺は傷も残ったまま、自分だけ回復して卑怯とか考え無いのか。

まぁ相手は自然界に生きる者だし、そんな思考は一切ないのが当たり前っちゃあ当たり前か。何方にせよ、傷の量だけなら俺の方が不利だ。

傷が塞がった分、激痛に対する身体の緊張は解れるし、集中力も元に戻る。


相手の威圧感が増し『殺意』という感情が息遣いや視線に現れ始める。


『それ』を感じ取った俺は、ドンッと脚で地面を踏み付ける。





「嘗めるな、雑魚がッッ!!」


「ヌッ!?グ⋯ッオオオオオオオォォオ⋯⋯!!」



競り合った状態のまま、俺は更に強く踏み込んだ。

ジリジリと相手の巨躯が退いていく。俺の一歩一歩が地面を抉り、血飛沫を上げて進んでゆく。


だが、不意に刀を掴んでいた右手から圧が消える。

背が岩壁まで迫っていたのに気付いたシャルフ・ガムナマールが、鉤爪で俺の刀を受け流して左に飛び退いたのだ。


俺は奴の後脚が地面に着くより早く肉薄し、刀を喉に据える。

正に間一髪。シャルフ・ガムナマールは頭を上へ逸らし、俺が横に振り抜いた刀をギリギリで躱した。


しかし、俺は刀を振った勢いで身体を捻る。

そのまま空中で回転を行い、その勢いを尻尾を乗せて奴の顔面に叩き付けた。


面白い程強く吹き飛ぶシャルフ・ガムナマールの巨体。

林へ突っ込み、木々をその巨体で薙ぎ倒していく。運がいい事に、折れた木の幹が奴の身体に傷を付けていった。



追撃のため、俺は吹き飛ぶ巨体の目の前に急接近する。

危険を感じた身体が反射したのか、奴は鉤爪を乱雑に振ったが、俺はそれを首を軽く下げる事で躱した。


未だ空中にある巨躯。

姿勢を保つ様に腕が広げている為、腹部の防御が薄くなっていた。俺はそこに容赦ない一撃をお見舞いする。


下げていた頭を一気に振り上げ、角を突き立てる。

直撃の勢いで林から飛び出し、シャルフ・ガムナマールは上空へと吹き飛んだ。だが、吐血しながらも姿勢を整え、迎撃の為に鉤爪を振る。



しかし、そこには何も無い。

一瞬、シャルフ・ガムナマールの判断が遅れた。気配は背後へと移動していたのだ。彼が、背に激しい痛みと衝撃を感じた頃には、既に身体が地面に叩き付けられていた。



「ガッ⋯⋯フ⋯ッ!!」



上空から、奴の口元が僅かに動いたのを察知した俺は無空間を蹴っ飛ばして落下を加速させる。黒刀を鞘に納め、右手を広げる。


着地の衝撃で大量の砂埃が立ち、辺りを覆う。

視界が悪い中、俺は奴の首根っこを鷲掴みにして問い掛ける。



「おい、さっきお前が使った魔法⋯⋯なんて言った?」


「⋯⋯⋯。」



成程、そりゃあ敵の利益になる様な事は教えたく無いだろうな。

無理矢理聞き出すか。



右手に力を込めて首を絞める。

メキメキと首の骨が悲鳴をあげ、巨躯が波打つ様に跳ね上がる。抵抗するにも背中の傷が深すぎて動けない。⋯⋯いや、傷が無かったにせよ首の骨を折られるタイミングが分からない為、下手に動けやしないだろうが。



「ッ⋯⋯ガァッ⋯!!」


「おい、答えれば命は取らないで置いてやる。早く答えろ。」



会話が出来る程まで、首の締め付けを弱める。

暫く此方を睨んだが、観念したのか口を開く。


回復に使ったのが 【ハイルング】と言って初歩的な回復魔法らしい。

急激に力が上昇したのは【クラフト・ラオプ】。直接触れている相手の能力を奪う魔法。今回奪った力は体力だった為に俺の力が抜けた⋯と言う訳か。



「⋯☾治療回復(ハイルング)☽」



小声でそう唱えると俺の身体が緑色の光に包まれはじめる。

数秒の間、光は俺の周囲を囲う様に現れ続けてからゆっくりと消えていった。



「⋯⋯⋯おい、いい加減手を離」



言葉を言い終わる前に首の骨を握り潰す。

手を振り、付着した血液を払う。奴の首から大量に吹き出る血を浴びながら、俺は今まで来た道を戻る。



『魔力の操作は気持ちが大事』



成程、こういう事か。

第一歩が踏み出せた気がするな。悪くない気分だ。あの少女がこうなる事まで読んでいたんだとしたら⋯⋯愈々怖くなってきたな。


少なくとも、俺は手紙の内容を誤解していた様だ。

⋯どうせなら、もう1つの魔法も試しておくべきだったか。死体から能力は奪えないだろうし⋯少し残念だな。





俺は歩きながら、考え続けた。

この時から、心の中に芽生え始めた恐怖心を紛らわす様に──⋯






NOW LOADING⋯






『銀色の竜・経過観察』


12月31日〜現在まで、資料にあるグレイドラゴンの姿が確認されたという情報が極端に減っている。


目撃者は、震えていた、水面に映る自分を見て飛び退いていた等、妙な様子である行動していたと発言している。


確認情報が減り始めた12月31日、同日に近くで壊滅したガムナマールの群れとその群れを統率していたシャルフ・ガムナマールの惨殺死体が発見された。


銀色の竜の生息地域からそれ程離れていない事から、特殊個体観察チームの一団が念の為だが関連性を調査している。


万が一の事態に備え、ギルドランクが50以上の戦闘経験のある冒険者に護衛を頼みたい。



尚、以後この個体名に点いてグレイドラゴンから【銀灰竜】と短縮して表記する事にする。誤解の無い様、認知しておく事──⋯













⋯──「なぁ、聞いたか?例の【銀灰竜】の話。」


「あ〜ガムナマールの群れとその長を一匹で蹴散らしたヤバイ魔物が居るって噂だろ?」


「そうそう、普通にヤバくね?しかも、まだ幼体らしいぜ?」


「ヤバいよな、マジで。第一、グレイドラゴンって普通その地域に生息してない種族らしいし、もしかしたら魔王と関連してるとか⋯」


「いやそれは無いだろ⋯⋯魔王が管轄としている地域から大分離れてる様だし⋯」


「そうか〜────⋯⋯」



ここはギルドの集会所、基本的に鉄と汗と酒の匂いに包まれている。

そして匂いと共に様々な人々の会話や時折噂話も流れてくるのだ。


長いテーブルの上で肘を着き、片手で酒の入った小さな樽を持ち、気になる会話に耳を傾ける。そんな事をしているのは一部の暇人か変わった人物だけだろう。


今、そうしている人物は前者の場合である。



「【銀灰竜】ねぇ⋯これまた、変わった名前を付けられた事だな。どこの輩かも知らない奴らに勝手名前を付けられて⋯⋯魔物も不憫なモンだ。」



彼⋯ヴィルジールは久し振りの休暇にも関わらず、この集会所に来て酒を飲んでいた。理由は1つ。『やる事が無いから』である。⋯⋯いや、そう言うと人聞きが悪いか。正確には『今やる事がないから』である。


本日、1月5日は相棒であるグレイスの誕生日であり、彼女が志望した『キャロットケーキ』を受け取る為にこの集会所で待ち合わせているという次第だ。別に自宅でも良かったのだが、人間嫌いな彼女に配慮しての行動だろう。


そんな成行きでこの場に居た彼は滅多にした事の無い、他人の会話に耳を傾けてみる事で時間を潰していた。



そして、以前見た資料に載っていた魔物に関する内容の会話が聞こえてきたので気になって耳を傾けている状況である。しかし、いつもと違って頭にも防具を着けているが。


何故かと聞かれると、彼は世間では結構有名な人間であり下手に顔を露出して出歩くとワーキャーされてしまうので極力休暇の際にはこうしてバレない様にしている⋯⋯⋯の、だが⋯



「ねぇ⋯あれってもしかして⋯」


「絶対そうだよ⋯声掛けにいってみようよ!」



既に周囲に人集りが出来ている。

と言うか噂されている。第一にバレている。


絶対に移動した方がいい。

⋯いや、下手に動くと逆に怪しまれるか?もうバレてるし、いっその事無理やり突っ切るとかも考えておかないとな⋯⋯



「ジール!!待たせたね!!」



観衆(観衆?)が一斉に振り向く。

集会所の入口で此方に向かって手を振る1人の女性。そう、彼の母親である。ジール、と言うのは俗にいうあだ名的なアレである。幼少の頃から両親や親しい友人からはそう呼ばれている。


そう呼んでくれるのは親しみがあっていいのだが⋯今に至っては不味い。今ので周囲の疑問が確信に変わった。


それをいち早く察知したヴィルジールは母親の手を掴んで足早に集会所を出た。追ってくる一般人を巻くために街中を動き回ってから、落ち着いた場所に移動する事に決めた。



「い、痛いよジール!どうしたんだい!?」



取り敢えず無視して歩く。

予想どうり大勢の人が付いてきた。早速裏路地に入って十数人を巻く事に成功する。それを街中を歩き回り、何度も繰り返す。


ここでやってはいけないのは、同じ道に戻ってしまう事である。

何故なら、1度来た場所に再度来てしまった場合、折角巻いた人達にまた見つかってしまうからである。


何処かでバランスが崩れれば振り出しに戻ってしまう。

街の構造を暗記し、距離を計算して移動し、人の動きを予測する⋯⋯逃げる事は簡単だが、逃げ切るという事は実はかなり難しい事なのだ。


しかも現状で面倒なのは彼がプライベートで外出しているという事。

普段外出する際、特にギルドで発注したクエストに向かう時は街を出るまでギルドが護衛を付けて人混みを割いてくれる。理由としては迅速に任務を遂行できる様に。引いて言えば依頼主、所謂『スポンサー』の要望に素早く対応し、より一層の信頼を得てギルドの利益に繋げる為である。


まぁこう言った『特殊』な対応をギルドに取られる時は基本的に『太客』からの依頼が来た時や、国事に影響する様な余程の大事である時、その他色々あるが、それでも申請すればギルドに関連した事案であれば処置を取ってくれる。


だが、個人の事情でギルドが動く程あちらにも余裕がある訳ではない。



此方の世界の様に『Hey タクシー!』の一声で安全地帯に移動できる手段も無い。お陰で今のヴィルジールと同じ様な日々大勢の人々に追われている状態の者は、彼の様に人を巻く為のスキルが自然と身に付いてしまうのだ。



「ちょ⋯っ、一旦止まって!私疲れた!手が痛い!グレイスちゃんは元気にしてる!?あなたはしっかりご飯食べてるの!?」


「今その話しなきゃ駄目かぁ!?少し我慢して着いて来てくれよ!!」



彼女⋯⋯ヴィルジールの母親は一般の女性と比べると、やや背が小さい。

太っている、というレベルでは無いが健康的な肉付きで息子とよく似た瞳と髪の色をしている。今朝は少し寒かったのか、今で言うガウン的な薄い布を服の上から羽織っている。結構な速度で動いている為、音を立てて靡いているが。


既に顔には小ジワがあるが、それでも同年代の女性よりは若い様に見える。

少なくとも彼女の現在の年齢、59歳とは思えない程の見た目と運動神経を持ち合わせている。


疲れた、と言っている割には息も切れていないし汗も対して流していない。

まだまだ元気そうな母親を見て心の底で湧く若干の嬉しさを表情に滲ませながら、それでも尚、速度を落とさない鬼畜な息子であった。






△△△△△△△

〜数十分後⋯〜

▽▽▽▽▽▽▽






「ハッ⋯ハッ⋯ハァッ⋯⋯全く、もう少し私の身体を労わって欲しいものだよ⋯」


「ヌ"ァ゛ァ゛ァ゛⋯疲れた〜⋯⋯」



母親は体力的に、息子は精神的に極めて疲労していた。

結果的に行き着いたのはヴィルジール宅の前だった。本来なら人間嫌いのグレイスに気を使うのだが、どうしても身体がこっちに向かってしまうのだ。

家に入れば完全に巻けるし、落ち着ける。荷物も手っ取り早く受け取れる。条件が良い、というよりは他の場所が条件が悪いから結局此処になってしまった訳だ。



「おや⋯ヴィルジール様お帰りに⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


「⋯あ、あ〜久し振りグレイスちゃん⋯?」



家の扉が開き、グレイスが出てくる。

何時もなら素っ気なく言葉を交わして、彼女は自分の用事で外出をしに行く為に、ヴィルジールは家に入る為にすれ違って終わるのだが、今日は違う。自分の主人の隣に『何か』いる。


真っ白になった彼女の頭の中。

それを察して、母親が軽く会釈だけする。



「お、おおおお久し振りですっ⋯⋯どどっどうぞ家の中へ⋯私は出掛けるのでお二人でどうぞごゆっくり⋯」



足早にその場を去ろうとするグレイス。

しかし、それは叶わなかった。後ろからヴィルジールの手が伸びてきて首の後ろを掴まれたからである。


ヒョイと持ち上げられ、無理矢理面と向かい合わさせられる。

ぶら下がる様な形で、目の前の主人に睨まれる。緊張が隠せ切れず、思わず顔を背けるグレイス。



「出掛けるねぇ⋯ホウキと枝切り鋏を持って何処に外出するってんだ?」


「ニワノテイレヲシヨウカト⋯」



超がつく程の棒読み。

ヴィルジールの睨みが更にキツくなる。母親が止めに入ろうとするが、逆効果になってしまうのではないかと考えが頭を過り迂闊に近付けない。


庭は家の裏手にある。

手入れをするには裏口から出ればいい。だが、道具を持った状態で家から出てきたという事は、表の道具の収納倉庫に手に持っている物を仕舞いに来たという事だ。家を周回して来るより、家の中を通った方が移動距離が短く済むのでそうしているらしい。


⋯で、道具を持って表口から出てきたという事は、既に手入れが終わって片付けにきた⋯⋯こういう事になる。



「⋯言い訳は?」


「くっ⋯⋯ありません⋯」


「よろしい。案内してやってくれ、茶は俺が淹れる。」


「ゑ!?ちょちょっ⋯ちょっと待って下さい!!」


「⋯何だ。」


「え〜⋯と⋯⋯え〜⋯⋯⋯⋯その〜⋯⋯⋯あ〜⋯」



物凄く伸ばすじゃん。

どんだけ母さんと2人きりが嫌なんだよ。全く。


取り敢えずグレースを降ろして、両手に持っていた手入れ道具を剥ぎ取る。

小さく『ぁ⋯』と声を発したが振り返らずに立ち去る。



遠退く背中を見て1歩足を前に出すが、途中で止まってしまう。

完全に逃げ場を失ったグレイス。だが、それは母親の方も同じだった。出来るだけ彼女を刺激しない様に声は掛けないでおきたいのだが、息子の家に来たのはまだ数回程なので構造をよく知らない。


案内というのは必要な存在だった。


兎に角、刺激しない様に出来うる限り会話は最小限に控える事に努めよう。そう考え、声の音量を抑えて話しかける。



「あの⋯⋯⋯」


「ハイッ!!何でしょうか!!」


「あ〜⋯キッチンは何処にあるの?」


「ハイッ!!家に入って右側の廊下を真っ直ぐ行って突き当たりを左に曲がった所です!!」



あら〜⋯これは重症ね。

場所は分かったし、私は大丈夫なんだけど⋯⋯彼女、直立不動で固まったまま、私の方を全く見ないで喋るから怖いのよ。


どうしよう、取り敢えず家の中に入るとして⋯ちっとも動かない彼女が心配になってきたわ⋯⋯大丈夫かしら⋯



「あ、お母様!!右に曲がってから扉が3つ並んでいますが、3番目の扉は決して開けないで下さい!!何が何でも!!」



⋯これはアレね、変に掘り下げない方がいいタイプのやつね。

うん、開けない⋯開けない⋯



「分かったわ。貴女も家に入らないと身体が冷えちゃうから早く入んなさいね。」



──バタン⋯⋯⋯



おじゃまします。

さて、先ずは右側⋯⋯⋯あぁ、この長い廊下の事ね。



向きを変えてゆっくり歩き始める。

床に敷かれた赤い絨毯を踏む度に、足先に柔らかい感触が伝わってくる。窓から差し込んでくる光が壁の影を作る。



家中、よく掃除されてる事⋯本当、チリひとつ無いわ。

窓の掃除も怠ってないわね⋯逆に汚れが無さすぎて本当にガラスが張ってあるのか分からなくなるわ⋯



更に歩き進め、1番目の扉を通り過ぎる。



壁に飾ってあるこの絵、素敵ね。

3匹の青い鳥が1つの巣で身を寄せあっている様な⋯きっと家族なんでしょう。真ん中の子が両端の一回り大きな鳥の羽に包まれて⋯安らかに眠っているのね。きっと。


意外ねぇ⋯昔は荒っぽくて、毎日仲のいい友達と山や川に遊びに行って⋯泥だらけ傷だらけになって帰って来てたあの子が、こんなに落ち着いた家に住んで、素敵な絵を飾って⋯⋯時の流れというものは不思議なものね⋯



不意に目元が熱くなり、思わず服の裾を当てる。



「あ〜あ⋯⋯歳、かしらねぇ。」



上を向き天井を見つめる。

深呼吸をして止めていた足を再び前へと進ませる。歳を取るとどうしてもこういった事に弱くなってしまう。昔から感情の起伏は激しい方だったが、特に『悲』の感情には弱かった。


⋯こう⋯家族の思い出や、過去を振り返ってしみじみと時の流れを感じる系のやつは直ぐに泣いてしまう。それが童話とか物語ならまだマシなのだが、自分自身の事となると胸がキュッとしてしまうのだ。


だが、それも悪い事では無いと思っている。

懐かしいと思えるのはどれも良い思い出だし、良い思い出を思い返して『そんな頃もあった』と自分や自分の子の成長を感じられるのだから。



「ヴィルジール様は⋯普段からお母様との思い出を私に話してくれます。」



声がした方に振り返ると、先程までとは雰囲気が変わったグレイスの姿が。変わった、と言うよりはさっきまで混乱していて、いつも通りの状態でいられなかっただけだが。



「私との思い出話⋯?」


「はい⋯」



手にはハンカチが握られていた。

スッと前に出して渡してくる。花の刺繍がされたハンカチだった。最初は涙を拭いて欲しい、という意図だと思って受け取ったが手に取って感触が伝わってきた途端、私はハッとした。


このハンカチは、まだあの子が小さい頃に縫った物だ。

昔からの趣味で暇な時間を見つけてはよく刺繍や縫い物をやっていた。そしてこれ。これはあの子が森で手に怪我をして帰ってきた時に巻いてあげたのだが、花の柄だった事もあり恥ずかしがって遊びに行く時は手から外して行っていた。勿論、私には内緒で。


すぐに気付いて問い詰めたけど、最後の最後まで恥ずかしいからとは言わなかった。きっと私の気持ちを考えてくれていたんだろう。内緒にしていたのも、気付かれたら心配をかけるとでも思っていたから、布団の枕の下に隠しておいたんだろう。



「こっぴどく叱られたと話されていました。としても良い笑顔で。」


「⋯⋯でもなんでこのハンカチが⋯」


「⋯聞きました。山に捨てられたのですよね。そのハンカチ。」



そう、あれは説教をした翌日。

本人は『無くした』と言っていたが、私は捨てて来たんだと見抜いた。私はあえて怒らなかった。ただ、何処で無くしたかと聞くと『山で』と答えた。正直な所、私は心から悲しんだ。


これは私が母から貰った物に私が刺繍を施したものだった。

物凄く大切な物だったし、大切なものだったからこそ自分の子供にも使ってあげたかった。



「ヴィルジール様は山でそのハンカチを捨てた後、家でお母様には捨てた事を隠して話したと⋯⋯」


「本当の事よ。⋯でもあの子、本気で私がそれを信じていたと思っていたのね⋯」



母親の陰る顔を見てグレイスは少し困った顔をしたが、何かを決意したかの様に顔を上げて話し始めた。



「僭越ながら⋯⋯確かにヴィルジール様はお母様の気持ちを裏切ってそのハンカチを捨てましたが⋯彼はその後もう2回貴女に嘘をついているのですよ?」


「え?」


「家に帰った後、お母様に聞かれて嘘をついて誤魔化しました。ですが彼は貴女の悲しむ顔を見逃してはいませんでした。」



私は驚いた。

あの時、私は話し終わって直ぐに自分の部屋に戻った。振り向く時に既に涙が零れていたが、正直バレてはいないと思った。見えていたとしてもごく一瞬だし、見間違い程度に捉えるだろうと思ったから。


でも⋯あの子には⋯



「⋯その後、彼は貴女に外出をしたいと⋯」


「えぇ、外の空気を吸いたいって⋯。まだ子供なのに大人みたい事言うのねって思ったわ。」


「そして、貴女は彼が家を出てから間も無く布団に入り眠った。」


「すぐに帰って来ると思ったし、家の外には魔物除けの魔法がかけてあるから大丈夫と⋯」



グレイスは首を横に振った。



「彼は貴女が眠りに着くのを確認してから、1人で山に向かいました。」


「え!?」



思わず詰め寄る。

人嫌いな彼女は1歩引いたが、話はやめることなく続けた。



「理由はお分かりですね。そのハンカチを探しに行くためです。」


「そんな⋯⋯っ」


「これが1つ目の嘘です。そしてもう1つ。向かったのは夜の森です、人間の子どもが魔物に狙われない筈がありません。ハンカチは無事に見つけましたが、一晩中逃げ回って明け方にやっと帰ってきた、と仰っていました。」



今、やっと気が付いた。

あの日の翌朝、寒くて起きた。理由は寝室の窓が空いていたから。玄関の扉には誰か来た時に分かるように鈴が付けてある。あの子が私が寝ている隙に山に向かったという事は私にバレない様にしたかったという事。私を起こさないためには玄関からは入って来れない。


だから窓から入った。

窓を閉めずにすぐに布団に入ったのは、それほど身体が冷えて疲れていたから。怯えていたからあんなに私に抱きついて寝ていたのね。



「お母様、その日、彼の体調などに異変はありませんでしたか?」


「⋯そう言えば、ぐったりしていて顔色が悪かったわ。私も冷えていたし単なる風邪かと思って安静にしていたけど。」


「⋯⋯実は⋯」



彼女は言葉を濁らせた。

しかし私が真っ直ぐ彼女を見つめると、驚いた様な表情をしてから再び元の表情に戻り、改めて落ち着いた声で話した。



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯先に断っておきます。この話を聞いても、決して彼を責めないで欲しいです。約束してくれますか?」


「⋯⋯分かったわ。約束する。」



彼女は頷いて、歩き始めた。

私もそれに着いていく。案内をしながら話してくれる様だ。



「あの日の晩、彼は様々な魔物に襲われました。そのうちに虫の魔物に出会した時です。走って逃げていましたが疲労して速度が出なかったのか、背中に魔物の針を食らってしまいます。最悪の場合、人間を死に至らしめる毒を含んでいるものです。」


「だから⋯⋯⋯様子がおかしかったの⋯?」


「はい、幸運な事にすぐ目の前に家が見えたので力を振り絞って駆け込んだそうですが⋯⋯」



顔を手で覆う。

そんなに辛い目にあったのに、私は何もしてあげられなかった。よく考えればそれぐらい予想出来たかもしれない。第一あの子が家を出た時点で一緒について行くとか帰ってくるまで起きている事は出来たのに⋯⋯!!



母親の様子をみたグレイスはそれでも尚、話を続けた。



「彼は貴女にハンカチを返さなかったのでは無く、返せなかったからなんです。毒のせいで動けずにいたうちにその事をすっかり忘れてしまっていたようで⋯」


「いいわよ⋯ハンカチなんて、私の思い出なんてあの子の命に比べたら。」






「いや、そんな事はねぇと俺は思うけど。」



何処からか聞こえて来たのはヴィルジールの声。

母親とグレイスは窓の外に家の壁に寄り掛かる影を見つけた。



「つーかグレイス。その話母さんだけにはしないでくれってあれだけ⋯」


「もっ申し訳ございません!!つい⋯⋯」


「ついってなぁ⋯⋯」



決してイラついた声では無かった。

どちらかと言うと呆れた様な感じで、若干の恥ずかしさを滲ませている雰囲気だった。



「ジールちょっと来なさい。」



母親は一言、落ち着いて言った。

グレイス急いで母親の方を見たが、止めようとは思わなかった。何故なら、母親は手を握って必死に涙を堪えていたのだから。



「⋯もう、説教を食らう歳じゃないぜ?俺は。」


「馬鹿。」



本当に、聞こえるか聞こえないか分からない様な程の小声で母さんは俺にいった。俺は母さんが腕を動かした瞬間から何をするかすぐに察した。本来なら避けられる速度だし、受け止められる勢いだが、あえてなにもせずに無抵抗のままでいる。



──パシンッ!!!!



高い音が鳴った。

強烈なビンタだった。そして、その後母さんは思いっきり俺の事を抱き締めた。



「馬鹿!!大馬鹿!!どうして言ってくれなかったの!?私⋯⋯私にも出来ることがあったのに⋯⋯どうして⋯ッ⋯」


「⋯⋯なぁ、母さん?これに感じたは『おあいこ』だと俺は思うんだけど。だって母さんも本当は物凄く悲しかったのに、俺に嘘ついて1人で悲しんでたよな?」



母さんは埋めていた顔を上げて、俺を見上げた。

何か言おうとした様子だったが、途中でまた顔を下げてだまってしまった。


非常に気まずい。


取り敢えず、グレイスにアイコンタクトを送る。

俺が出した指示を察してグレイスが慌てて母さんに話しかける。



「さ、お母様。ここでは何ですから、向こうへ行きましょう。」


「おぉ、そうだなグレース。ほら母さん?先ずは座って、温かい飲みものでも飲みながら思い出話はしようぜ?」



軽く頷き、無言で歩き出す。

母さんが落ち着くまで、俺とグレイスは適当な話で空気感を誤魔化した。


俺の『グレース』と呼ぶ癖や、最近の様子とか、母さんが作ってきたケーキを見て大袈裟に喜んでみたり。⋯⋯いや、グレイスは恐らく素の反応で喜んでいた感じだったが。


兎に角、出来るだけ明るい話題を持ってきて話し続けた。



居間に着いてから、母さんをテーブル脇の椅子に座らせた。

俺は淹れ方も知らないコーヒーを母さんとグレイスと俺の3人分作った。


今日、母さんが作ってきたキャロットケーキは実家で採れた野菜を使っているもので、砂糖は使わず蜂蜜と素材そのものの甘さを活かして作られている。


母さんは良い事があった時にはお祝いとして、悪い事があった時には慰める為に、俺が頑張った時にはご褒美として小さい頃によく作ってくれた。





⋯⋯まぁ本来は鮮やかなオレンジ色の綺麗な円状のケーキなんだが⋯俺が切り分けたのがいけなかったのか、1切れが非常に不格好な形になってしまった。


後になって笑いのネタになったので、良かったんだが⋯⋯

何と言うか、グレイスという存在が何時も傍に居てくれる事のありがたみが身に染みて分かった気がする。


不揃いな形のケーキ(だっだもの)がテーブルに並べられた時、母さんは呆れた様に笑ってくれた。目の下が腫れていたから、相当泣いていたんだろう。ただ、これ以降母さんが俺に何か言ってくる事はなかった。



「⋯これは一体なんなのですか?」


「ケーキだ。見れば分かるだろ?」



いや、自分でも原型がなんだったかは分からない程、歪な形だったが。

普段ならグレイスに任せて、俺はのんびり本でも読んでいるんだが⋯今日の主役はそのグレイスだ。流石に、そんな特別な日に仕事を負わせる訳にはいかない。


これでも、木っ端微塵にならなかっただけマシだと心の中で思っているのは言わないでおくが。


⋯⋯なんだグレイスのあの『どうせ自己満足してるんだろう』って言いたげな視線は。1番大きな破片⋯⋯じゃないケーキ、取り分けてやんねぇぞコノヤロー。





「⋯⋯ありがとう。」


「「?」」



俺とグレイス、顔を見合わせた。

不意に母さんから発せられた感謝の言葉。さっまで俺とグレイスのやり取りを穏やかな目で眺めていたのに、急に『ありがとう』⋯?


2人とも理由も聞けずに黙っていると、母さんが俺が淹れたコーヒーに手を伸ばした。『苦っ』と小声で言い、顔をしかめる。


ハッとした様子で俺の方を見てから、悟れない様に砂糖を2個カップに落として軽く混ぜる。⋯⋯いや、しらけてるけど息子、しっかり母親の発言聞こえとるわ。



「さっ!グレイスちゃん、誕生日おめでとう!ケーキ、一生懸命作ったから感想聞かせて欲しいな!」



あ、急に仕切りだすのね。

不味いなら無理してコーヒー飲まなくていいのに。何か見てて悲しくなる。


そしてグレイスも、俺が取り分ける前に自分で1番デカいケーキの1切れ皿に移してるのね。そんなに好きなのね、ケーキ。そうか、そうか。俺は嬉しいよ。前に自分で俺の事を『主人』だのなんだの言ってたくせに、その俺を差し置いてケーキをそんなに美味そうに食うんだからな。⋯⋯ちくしょう。



「美味しい⋯!!美味しいです、お母様!!⋯⋯でも、いつもとは何か味が違う気が⋯?」


「フフ、気付いた?実はね、蜂蜜の量と焼き加減に変化を付けてみたんだけど⋯⋯どうかしら?」



すんごい首を縦に振るじゃん。

そこまで美味しいって事か。そんじゃあ俺も頂くとしようかね⋯


一口、木製のフォークに刺したケーキの欠片を口に運ぶ。



⋯うん、表現しにくいが、味の雰囲気は変わっているが懐かしい味がして心が落ち着く。これこそ母さんの味って感じだ。


ほのかな甘み、非常に軽い口当たりと食感、口にふわっと広がる香り⋯

あ〜俺本当にバディスト家に生まれて良かったな⋯



「⋯⋯⋯。」



無意識に上がる口角。

それを眺めて、母親の方も優しく微笑む。そしてコーヒーを飲んでから、小さく言った。


















「苦い⋯⋯もう少し砂糖いれよ。」






NOW LOADING⋯






食器の片付けをして、今度はグレイスが母さんが淹れたコーヒーを3人で飲んでいた。さっき母さんが小声で何か呟いていた気がするが、特に気にしなくてもいいだろ。何故か、気にしたら駄目な気がする。



「⋯お母様が淹れるコーヒーは上品な味がして美味しいですね。」


「何だその言い方は。俺の方には品がねぇとでも言いてぇのか?」


「お心が窮屈な方ですね。いつ私がそんな事を申しまして?」



⋯のヤロー、遠回しに中々刺さる言葉言いやがって⋯


まぁいいさ。⋯さて、すっかり母さんは帰る支度を済ませて準備万端って感じだな。どうせなら1日ぐらい泊まっていけばいいのに。


そんな事を思いながら一息着いた後、母さんを街の大門まで見送る事にした。他愛の無い話を交わしながら歩く。母さんが妙に家に飾ってある絵画に注目しているので、気付かれない様に絵を外して、ケーキを入れていた紙袋に忍ばせた。


多分、口で言っても母さんの性格上断るだろうからそうした。



家を出てからは出来るだけ裏路地を使いながら進む。

雨が降り始めていたので、グレイスが母さんの頭上に魔法で小さな結界を作った。これで濡れる事はない。


母さんが礼を言うと、グレイスはすこし照れた様子で会釈して返した。


魔物は基本時に、火を吐く、体を硬質化させるといった魔法を無意識に行っている。恐らくだが、本能的に身に付くものなのだろう。だから知性の高くない魔物は、自分が魔法を使っているという自覚すらない。


逆にこいつ(グレイス)の様に知性が極めて高い魔物は、ある程度学習すれば人間と同等か、本来魔物の中に眠っている人間より大きな魔力を消費して人間より強い魔法が使える様になるのだ。


更に、彼女の様に魔法の形状や大きさ等を意図的に変えられる事が出来る魔物はかなり珍しい。褒められたり、誰かの役に立っていると思うと嬉しくなるらしい。



「それじゃ、2人共元気で『仲良く』するのよ?分かった?」


「分かってるさ、そんくらい。⋯母さんも元気でな。」



笑みで返して、定期的に街に来る魔動式の列車に乗り込む。

目一杯に手を振り、最後まで笑顔を絶やさずこちらへ明るい表情を見せながら遠くへ消えていく列車と母。


列車が見えなくなった後も暫く遠くを眺め続けてから、振り返る。

グレイスを頭の上へ乗せて、家へ帰る。頭に乗せる理由は、こいつが人混みで俺を見失う可能性があるのと、単純に人間が嫌いだから。


俺の頭の上は安心するらしい。

⋯なんとなく褒められている気はしないが。



「⋯そういえば、どうして今日は母さんに自分から話掛けたんだ?人を嫌うお前が。」



そう、俺は今日ずっとこれが気になっていた。

前までは母さんにさえ、警戒して心を開かなかったのに。


グレイスは俺の頭の上で少し考えた後に『なんででしょう?』と言ってきた。自分でも分からないのに話し掛けたんかい。この、可愛いヤツめ。



頭を掻く様に、手を頭上のグレイスに重ねてワシャワシャする。

最初は嫌がっていたが、家に着いてからは人目を気にしなくなったのか、完全に無抵抗でされるがままといった感じだった。


珍しく甘えた様子だったので、今日は一緒に寝る事にしよう。

こいつを抱きながらする睡眠は格別に心地いいんだよな。これが。



⋯⋯ちょっと変な想像をした奴前に出ろ。

切り刻んで家畜の餌にしてやらぁ。



「ヴィルジール様?(ワシャ)一体(ワシャ)どうしたのですか?体調でも優れないの(ワシャシャッ!)ぅ〜⋯⋯ですか?」


「いや、ちょっとな。」



顔にはてなマークを浮かべて首を傾げるグレイス。

⋯そう言えばコイツ、母さんと思い出話をする時、俺の事を『彼』って言ってたよな?


盗み聞きしてた俺が言うのも何だが⋯⋯悪くねぇ気がするな。

また今度からかってやろう。



未だ不思議な物を見るような表情のグレイスを、抱き上げて微笑む。


縁、とは本当に奇妙な物だ。

生まれた時間、場所、歩んで来た人生⋯⋯全てが違う筈なのに、今こうして同じ屋根の下で暮らして、同じ食事をして、互いの感情を正直にぶつけたあう。




きっと俺はこれからもこいつと長い時間を過ごすだろう。

愛し合っている、とは違うが『信じ合っている』からこそ俺はこいつと過ごして来て嫌だと思った事はただの1度もない。


お前は俺の相棒であり、家族でもある大切な存在だ。

なんか⋯照れくさいが、これからもよろしくな⋯⋯⋯なんっつて。



もう一度グレイスに触れる。

今度は撫でるように優しく手を毛並みに沿って滑らせていく。


薄く笑い、目を細めるグレイス。



「今日は少し疲れた、早めに夕食を済ませて寝ようぜ。」



そう言ってからグレイスを降ろして、俺は足早に風呂場に向かう。

気恥ずかしさと、嬉しさが入り交じっていてよく分からない気分だった。




ただ、今はこの日常が過ぎていくだけで良かった。

不吉な事だが、平和な時間は決して永遠では無いのだから──⋯




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