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閑話休題

 


 コーヒーを啜りながら半年前の仕事の事を話していた私はペンを走らせるクリスを見ながら、そこで話を一旦区切る。



「てな感じで、別荘作りが始まった訳なんだけど」

「えっと……何から突っ込んだ良いですか?」



 私のさも当然みたいな話し方に顔を引きつらせるクリスちゃん。


 うん? 私の記憶が正しければ別段突っ込むところはなかったような気がするんだけども、何かおかしな事でも言っただろうか。


 そんなに記事にしにくい事言ったかな?


 しばらくして、バンッと机を叩くとクリスちゃんは私にこう告げる



「家をお一人で作るなんてあり得ないですよ! 何人もいて三ヶ月とか普通かかるんですよ!

 というかナーガって! なんで家建てるのに生物兵器と戦ってるんですか!?」

「うん、私もそう思う」



 何にもおかしなことは言っていない概ねその通りである。


 私だって好きであんなものとやり合いたいなんて思うものか、仕方ない事だって世の中にはたくさんある。


 軍隊で現役の時だって、軍の為に戦場のど真ん中に砦なんてものを作ったものだ。銃弾飛び交う中、あれは本当に死ぬかと思ったよ。



「家作るのも楽じゃないのよ、だって素材も集めなきゃいけないでしょ? 私一人でしょ? 割りに合わないよ普通にね」

「だったら……」

「なんでって質問は愚問だよ? 食っていく為、お金がなきゃ生活できないでしょ」



 生活する為には仕方ない事だってある。不本意だけどね。


 心配してくれるクリスちゃんは確かに大天使なんだけども、うん、これは仕方ないかな、デカいヘビくらいでびびってたら生活できないもの私。


 それに、アルバスさんのことを考えたら全然、苦にはならないそれよりも良い家にして、満足させてあげたいと思うんだよね。


 ビジネスではあれど、そこには人のためにっていう大切な前提がある。


 その人達が喜んでくれるなら、私の苦労も報われるというものだ。



「だから、今は人を集めてるわけなのよね、しばらくは人が入るまではインテリア販売に専念するつもりだし」

「…はぁ…」



 クリスちゃんは苦笑いを浮かべそう答える。


 頼むよ、クリスちゃん、全ては貴女の手にかかってるんだからね、アットホームでクリーンな職場って書いておいて、大丈夫、ウチはホワイトだから。


 それから、クリスちゃんは切り替えて、別の質問を投げかける。



「では、小休止って事で、キネスさんの手がけるインテリアの話を伺ってもよろしいですか」

「うん、別に構わないよ」



 私はそう言って、コーヒーを片手持ちながら笑みを浮かべる。


 クリスちゃんの言う通り、半年前の話を一旦切り上げて、ここいらで小休止ということでインテリアについて語るのも悪くはない。


 むしろ、興味を持ってさえくれれば全然、割とウチのインテリアは人気があるし、常連さんもよく買っていってくれるから感謝している。



「では、インテリアデザインなんですけども、どうなさってるんですか?」

「インテリアのデザインか…そうだなー、何というべきだろう。……ジャンルとか、色とかによって作り方を考えるかな?」

「……と言いますと?」



 聞き返してくるクリスちゃん。


 うん、やっぱりピンとこないか、そりゃそうだよね、感覚的な感じだから上手く説明するのは難しいんだけども。



「そうだねー、まずはターゲットによるんだけども、女性ならピンクとか赤とか、やっぱり明るい色が魅力的に写るんだよね」

「なるほど」

「それに可愛いモッピーみたいなキャラクターとかそういうのを入れてあげると大体、貴女みたいな女性が可愛いって思って買ってくれるのよ。

 これも感覚っていうか経験なんだけどね」



 私の言葉に納得したように頷くクリスちゃん。


 うん、仕事ってようは慣れだからさ、どんな人がどんな物を求めてるのかって、やっぱり話したりするとわかって来ちゃうんだよね。


 もちろん、イメージカラーもある。


 海をイメージするなら、当然青だし、目に優しく、落ち着いた色合いを求めてる人には緑を中心としたデザインがやっぱりウケがいいのだ。



「まあ、こんな感じかな? 納得?」

「えぇ、とりあえずは……」

「それは良かった。なら、話を戻そうかしらね、えっとそれからなんだけども」



 小休止を終えた私は再びクリスちゃんに話をし始める。


 確か、アルバスさんの別荘の基礎が出来上がった話までしたと思うんだけども、そう、私はそれから別荘に飾り付けるインテリアを作ることにしたのだ。



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