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自称魔王

これはいったいどういうことなの? なんでこんなダンジョンの中に女の子が…………。


「もしもーし、生きてますか?」


 返事がない。まあ、当然だろう。ここに自分で結解を張って昼寝ってことはないと思うし…………。どうしよう? この中すごい魔力濃度なんだけど。封印されてるとか? 


 とりあえず、心臓が動いてるか確認して見ようかな。あれ? これ死んでたりしたらもしかして使役できるんじゃ。


「ちょっと失礼しまーす」


 耳を少女の胸にくっつけた。案の条、心臓の鼓動は聞こえない。それよりも私よりも胸が大きい。何気に悔しい。でもこれで少なくとも死んでいることはわかった。封印されて仮死状態になっている可能性もあるが死んでいることには違いないはず。


死者使役(ネクロマンス)】少女の手に触れ、唯一のスキルを行使した


 身動き一つしていなかった少女の体がかすかに動いた。


 よし、成功したかな。後は私の命令に従うはずだから、ちょっと命令してみようかな。


「起きて、名前を教えて」


 私の命令に反応したのか、少女はゆっくりと体を起こした。


「なんだ、ここは? うん? お前は何者だ?」


 あれ? なんで命令が効いてないの? 


「おい、なんで黙っている。早く答えろ」


 逆に命令されてるんですけど…………おかしい、これは絶対におかしい。睨まれててすごい怖いよ。


「メリアだよ。それよりも私のスキルであなたを使役したはずだけど…………なんで? 私の命令は効いてない?」

「なに? 私を使役だと? 笑わせるな、そんなことができるわけがないだろう。それよりここは一体どこだ? なぜ私はこんなところにいるんだ?」


 もう完全に私が手下みたいになってるよ。今までこんなこと一回もなかったのに。それに意志を持っていること自体がおかしい。本来は私の命令にだけ反応する操り人形になるはず。私がこの空間に入ったことで封印がとかれたってこと?


「ここは私の住んでいる街の近くにあるダンジョンだよ。あなたがここにいる理由は知らないや」

「ダンジョンだと、私にはダンジョンに言った記憶なんぞない。いや、思い出せない。ここに来る以前の記憶がすっぽり抜け落ちている」


 なんだか、めんどくさくなってきたな。もう時間も遅いっていうのに。


「くそ、なんだなんなんだ。なにが起きたというのだ? この結解もおかしい、私が張ったものではない」

「あのぉ、一旦ここから出ない? 私そろそろ帰らなくちゃ」


 ここにいたところで何もわからないだろうし。早く帰りたいし。


「先ほどからなぜお前は私にため口を使っているのだ? 私を誰だと思っている」

「別に知らないけど…………」


 いきなりそんなこと言われても…………。どこの誰ですか? どこかの貴族様ですか? それにしては言葉遣いが荒いけど。


「私を知らないとは愚かな、私の名はヘル・ミルアーラル。魔王の一人だ」


 はい? 魔王? この子頭おかしいんじゃないのかな…………。


「はいはい、ヘルちゃんは魔王だったんだ。魔王にそんな名前は聞いたことないなぁ」

「ヘルちゃんだと……。お前よほど死にたいらしいな」


 顔は怖いんだけど、もうただのあほの子にしか見えない。さっきはなぜか命令が効かなかったけど、強めに命令すればいけるよね。とりあえずここから出るように命令しよ。


「いいから、ここから出るよ」

「お前を殺してからゆっくり出るとするさ…………なんだ? 体が勝手に動く?」


 物騒なことを言っているが今度はしっかり効いたようだ。それなりに強いのかなこの子。だから命令が効きにくいのかも。


「なんだ? 私に何をした?」

「だから、私がヘルちゃんを使役してるの。この中で死んでたんだよ、ヘルちゃん」


 すごい驚いた表情をしている。そんなに信じられないのかな?


「私が死んでいただと…………そんなはずはない。私が死ぬなど」

「確かにこんな場所で死んでるのもおかしいから、もしかしたら仮死状態で封印されてたのかもね」

「一体、お前は何者なんだ? なぜ私に命令ができる? ただの人間にこんなことができるはずあるまい」


 これは久々に私のスキルを自慢できる時がやってきたみたいだ。渾身のどや顔でいってやろう。


「それは、私のスキル『ネクロマンサー』の能力だからだよ。死者を使役できるから」

「そんなスキルごときで私が使役されているというのか? 私がスキルの効果を受けるなど本来ありえないはずだ。私は魔王だぞ」


 魔王魔王って、本当に痛い子だな。あれ? やばい、私普通に女の子にスキル使っちゃった。どうしよう…………。人間には使わないって決めてたのに。完全に忘れてた。ああー、もう一回使役しちゃったからほたって帰るわけにもいかないし、何とかばれないように家に連れて帰ろう。もし見つかったりしたら、こんなかわいい子を使役してる人でなし扱いされてしまう。それだけは避けなければ。そうだ、友達になったということにしよう。


「今からヘルちゃんは私の友達ってことで行くからしっかり話を合わせてね」

「わかった。は? おかしい、口が勝手にぃ」


 やはり強く命令すれば普通に効くみたいだ。


「それでヘルちゃんは何歳? 私は今日で一六だよ」

「もう自分の年なんぞ、覚えてない。そのヘルちゃんっていうのやめろ」

「それも設定なの? 案外徹底してるね。私のことも名前で呼んでいいよ」


 そんなこんなで雑談をしながら、私たちはダンジョンを後にした。

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