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一年後

私が冒険者になってから、どれくらい経っただろうか? そろそろ一年経つくらいかもしれない。こんなはずじゃなかったんだけどなぁ…………。


 冒険者になりたての頃はスキルのレアリティがSSと言うのもあり、いろいろなパーティから勧誘された。しかし、すぐに私のスキルが使えないことが発覚してしまったのだ。ネクロマンサーは死者を使役するというすごい能力があり、一見すると最強にも思えた。それが実際に使ってみたところ、死ぬほどのダメージを負った魔物を使役するだけで戦闘ではほとんど役に立たなかった。使役したときに傷が全回復するという都合のいいことなどは全くなかったのだ。モンスターがだめだからと言って若くして病気で亡くなってしまった人などにこのスキルを使うことは私にはできなかった。その結果、私は初級魔法しか使えない欠陥魔導士でしかなくなってしまった。そんな私を入れてくれるパーティなど存在しるはずもなく、ソロで活動することを余儀なくされた。


 レアリティがSSのネクロマンサーを持っていた人が全く有名になっていなかった理由がわかってしまった。このスキルは人間の心を捨てるかよほどうまくモンスターを殺す技術を持った冒険者しか使いこなすことはできない。せめてもの救いだったのが初級魔法が使えるという点だ。これがなかったら今頃私は冒険者を続けれていないだろう。魔力保有量は段違いに高かったおかげで初級魔法がかなりの威力を発揮してくれた。そうして私はソロで冒険者ランクをFからDまで上げることができた。最近では一人でダンジョンに潜ってせっせとモンスターを狩っている。これが思いのほか効率がいいのだ。モンスターを探して森をさまよう必要もない、歩いているだけでどんどんモンスターのほうからやってきてくれる。モンスターの素材もゲット出来てお金にもなる。ダンジョンの魅力に気が付いてからはクエストなど一回たりとも受けていない。


「はあ、いつまで私はこのダンジョンでモンスターを倒せばいいんだろう?」


 ついつい、独り言を言ってしまう。このダンジョンは街から二十分ほどで着く場所にあり、初心者の冒険者にはかなりの人気だ。私は少し深くまで降りて来ているのでそうそう冒険者と遭遇することは無い。


 祠のようなたいそうな入り口が付いているが、中に入ってしまえば洞窟のようなものだ。ごつごつとしたかべに囲まれた通路、ひらけた大空洞、主にこの二つでダンジョンの説明が終わってしまいそうなほどのシンプルさなのだ。探索は簡単でこれも人気の理由の一つだろう。それに大して強いモンスターは出現しない。まさに初心者向けのダンジョンと言える、と言っても下のほうまで降りると流石に危険なモンスターがうろついている。


「そろそろ切り上げて帰ろうかな」


 手元の時計で時間を見ると、すでに夕方の四時をまわっていた。今私がいるのが十二階層だから、ダンジョンから出るのに一時間はかかるとして、家に帰り着くのは六時過ぎちゃうな。


 帰ろうと上の階層を目指して歩いていると、運悪くメガオークと出くわしてしまった。こいつは普通のオークよりも体が大きく、少し厄介なモンスターだ。幸いまだこちらには気が付いていないようなので魔法で不意打ちすることにした。


「もう、疲れてるのに出てこないでよ」


 私はいつものようにメガオークめがけてファイアを放った。


 ドゴンッ!!


「あれ? 外しちゃった。おかしいな、そんなに疲れてるのかな私」


 メガオークがじろりとこちらを見てくるが、気を取り直してもう一度ファイアを放つ。今度はうまく命中し、メガオークは火だるまになりやがて動かなくなった。


「あれ? さっき私のファイアが当たったところの壁なんか崩れてる?」


 近づいてみると、やはり壁が崩れている。ただ壁が崩れただけならどうでもいいのだが、崩れた壁の奥に隠し通路がある。


「これは行ってみるしかないよね?」


 誰に確認をするわけでもないが、そう呟いて私は通路へと足を踏み入れた。


 少し進むと、ダンジョンの中だと言うのにやたらとまぶしい場所についた。ひらけた空洞と言うのはいつもと同じなのだが、明らかに異質なものが存在している。ドーム状に囲まれた光の壁だ。これのせいでやたらとまぶしいのだ。半年以上このダンジョンに通っていたが、こんなのを見るのは初めてである。光のせいで中の様子は全く分からない。


「なんだろう、これ? すごく気になる」


 折角見つけた隠し部屋なのだ。気になって当然だろう。もし今日このまま帰ったりしたら明日には違う冒険者がここを発見してしまうかもしれない。それは絶対に嫌だ。覚悟を決めて、中に入るしかない。この光の中に入ったら即死なんてことは流石にないだろう…………ないよね? 無駄に考え込んでても仕方ない。行こう。


「えいっ」


 勢いよく光の中へと飛び込んだ。


 ――――すると、中には祭壇のようなものがあり、金髪の異様なほど美しい一人の女の子が祭られていた。

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