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冒険者カード

いきなりAランク冒険者になっちゃったりしないだろうか? いろんなパーティから引っ張りだこになったりもあり得るかも。そんな期待に心躍らせながら私は冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドはこの街の中心に位置し、教会と並ぶ建物の大きさを誇る。それも当然で冒険者と言えば男女問わず誰もが憧れる職業なのだ。現在では世界中に冒険者ギルドの支部があり、延べ十万人を超える冒険者たちが活躍している。百年ほど前までは冒険者と言えば男性ばかりだったが、当時では珍しかった女性の冒険者が魔王の一人を討伐するという偉業を成し遂げたことにより急激に増えたらしい。確か名前は…………忘れちゃった。まあ、すごい英雄だってことだね。


 見慣れた建物なのだが、実際にギルドの中に入るのは初めてなので緊張してしまう。今日から私もここで冒険者として過ごして行くことになるのだ。最初はしっかり好印象をもってもらえるように頑張らないとね。


 いざギルドの中へ入ると、大勢の冒険者たちでにぎわっていた。中には豪華な装備を身に着けているものもいる。私もいつかあんな装備で冒険してみないなぁ。いやいや、今は他人の装備に見とれてる場合じゃない。


 まずは、受付カウンターの順番待ちの列に並んだ。ここ以外にカウンターはないので、おそらくここで冒険者登録ができるはず。私服の私が装備を纏った冒険者たちの列に並ぶのはかなり浮いていて少々恥ずかしかった。


「お嬢ちゃん、もしかして登録に来たのかい?」


 無心で並んでいると、後ろにいたおじさんの冒険者が話しかけてきた。これはもしかしてナンパされてる?


「はい、実は今日が十五歳の誕生日でさっきスキルを授かったばかりなんですよ。いいスキル授かっちゃったんでつい来ちゃいました」

「まさか啓示を受けたその日に冒険者登録に来るなんてな。気合入ってるじゃねーか。気に入ったぜ、俺様が冒険者についてレクチャーしてやろう」


 若干怪しいような気もするが、見たところ優しそうなおじさんにしか見えない。ここは好意に甘えておくべきなのかな? 


「ありがとうございます。それで登録はここであってますか?」

「おうよ、クエストの受付、クリア報告、冒険者登録まですべてそこのカウンターでやってるぞ。まずは冒険者登録をしないと始まらないからな」


 どうやら並ぶところはあっていたみたいだ。それにしてもここですべての作業をこなしてるって普通にすごいや。


「おじさんはAランク冒険者くらいですか? かなりのベテランに見えますけど」

「そこについてはあんまり触れてくれるな。そんなことよりもお嬢ちゃんはどんなスキルを授かったんだ? それなりにすごいんだろ?」


 ランクについて触れてほしくないということは年齢の割に低いということかな? やっぱり人のスキルは気になるものなんだ。私もこのおじさんのスキル少し気になるし。


「おじさんが教えてくれたら教えてあげますよ。こういう時はやっぱり聞いてきたほうから言うのが礼儀ですよね?」

「案外しっかりしてるじゃねーか。俺のはありふれてて大したことないぞ。冒険者向きではあるが…………『剣士』ってスキルだ。軽い身体能力補正と剣を持った時の補正だけだ」

 

 普通のスキルだ。確かに冒険者には向いていると思うけど、いまいちパッとしない。


「私は『ネクロマンサー』です。初級魔法と死者の使役ができます。私を入れて過去に三人しか獲得したことないみたいですよ」

「なんじゃそりゃ、お嬢ちゃんちょっとずるくねーか? 俺にもそんなスキルがあればこの年でこんなランクじゃなかったかもな」


 おじさんと話しているうちに私の順番が回ってきた。


「登録ですか?」


 私が要件を言う前から冒険者登録をしに来たことを見抜くなんてこのお姉さんなかなかのつわものなのでは?


「そうです、でもよくわかりましたね」

「あなたの顔を見たのは初めてですし、その服装でクエストを受けに来る冒険者なんていませんから」


 言われてみれば、今の私の服装はただの私服だ。これじゃとても冒険者には見えないだろう。


「それでは登録に必要なのでスキルカードを見せてもらってもよろしいですか?」

「わかりました」


 私はさっきもらったばかりのスキルカードをお姉さんに差し出した。


「えーと、メリア・フェリルさんですね。スキルは『ネクロマンサー』…………え? レアリティがSS?」


 お姉さんが驚いてフリーズしてしまっている。レアリティって何だろう?


「レアリティSSってどういうことですか? どこかにそんなこと書いてましたか?」


 私が話しかけると、ようやく正気を取り戻したお姉さんが、


「知らなかったんですか!? スキルにはレアリティと言うものがあってSSと言えば最上位のレアリティですよ! 一般的には百万人に一人程度の確率と言われています」


 それで二人しかこのスキルを持ってる人がいなかったんだ。百万分の一か、我ながらすごい確率をひいてしまった。


「強いとは思ってたけど、そんなにすごいスキルとは思ってませんでした。それで試験はいつですか?」

「試験なんて受けなくていいですよ、レアリティA以上のスキルをもっている方は免除されるようになってますから。それにこんな貴重なスキルを持ってるメリアさんが万が一試験を落ちてしまったりしたらギルドとしてもとてつもない損失になりますから」


 まさか試験が免除されちゃうなんて…………本当にスキル様様だ。


「これが冒険者カードです。いろいろな機能があってとても便利なのでうまく活用してください。それと再発行するとランクが一つ下がるのでなくさないようにしてください」

「すいません、ありがとうございました」


 なんかあっさり終わっちゃった。でもこれで私は冒険者になれたんだ。今日はもう疲れたし、かえって寝ようっと。

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