ドラゴン退治
嫌だ、絶対面倒なことに巻き込まれる。時折、ヘルの手から脱出を試みているのだが、異様に力が強いせいかびくともせず、失敗に終わっている。
「ねぇ、ヘル。今回はやめとかない。めんどくさそうな気しかしないよ」
「私は魔王だ。下々の民が困っているといってるのだ。見過ごすわけにはいかない。それに話を聞いてみるまではわからないだろう?」
「それはそうだけどさぁ…………」
もうだめだ。ヘルは無駄に意識高いよね。私なんて今すぐ帰りたいよ。大体、Dランク冒険者の私に頼む普通? 私たちよりも前にAランク冒険者くらいなら訪れてるんじゃないの?
「すいません、検問で強い冒険者を探していたんですよね? それならもっといい冒険者もいたんじゃないですか?」
「そうだな、実は君たちで領主様にあってもらうのは五組目だ。前の四組の冒険者は全員失敗したよ。中にはAランク冒険者もいたんだがな」
やばいやつだ。私たちの前に四組も失敗してるって。そんなことをDランク冒険者に押し付けてくるなんて…………。
「やっぱり私たちじゃ無理ですよ。やめときませんか?」
「そういうわけにはいかない。もうこっちもかなり切羽詰まっているんだ。一刻も早苦問題を解決しないと…………まあ、詳しい話は領主様がしてくれるはずだ」
それから衛兵について歩くこと数分。大きなお屋敷が見えてきた。きっとあれが領主様の家なのだろう。ついに来てしまった。あれからも脱出は不可能だった、ヘルの力が強すぎる!! 魔力だけじゃなくてこんなとこまで強いとか本当に何でもありになってきたよ。
「ここだ、もう領主様のほうに話が言ってると思うから後は自分達で行ってくれ。俺は検問に戻る。君たちが失敗したときのために冒険者を探さないといけないからな」
そういうと、サッサと来た方向へ走っていった。なんか私たちが失敗するかもと思われてるのは癪だな。私たちの前でそんなこと言うかな? 煽って、やる気を上げさせる作戦なの?
「あいつ私が失敗するとでも思っているのか? 失礼な」
ほら、さっきまでご機嫌だったヘルも少し機嫌悪くなってるよ。
「お、君たちが今回の冒険者かい?」
「そうです、この街に入ろうとしたら無理やりここに連れてこられました」
「すまないな。俺たちのほうも色々事情があってな。それよりも屋敷で領主様が待っている」
ここで文句言いまくってなかったことにしようとしたがあえなく失敗した。もう待ってるって……それほどのことが起きてるの?
「案内するから俺についてきてくれ」
初めて入るほどの豪邸で少し興奮してしまったが、中へ入るといい気に冷めてしまった。一面にショーケースがあり、中には世界各地から集められて珍しい石が入っている。何この家? 家の中の半分以上石のスペースになってるんじゃ。もうここを博物館とかにしたほうがいいと思うレベルだ。
「お連れしました」
扉に綺麗な石がいくつもはめ込まれている。自分の部屋はより一層力が入ってる。
「おう、入っていいぞ」
「失礼します」
そういうと、ガチャっと扉を開け、中へ入っていった。もちろん私たちも後に続く。
中へ入ると、長いひげを蓄えた白髪のおじいさんが一人椅子に座っていた。勝手な想像で申し訳ないが、もっと若い人が領主だと思ってました。ごめんなさい。
「よく来てくれたの。私が領主のケリー・ムルブじゃ」
「私はメリア・フェリルです。こっちの子は使役モンスターのヘルです」
「おお、メリアちゃんにヘルちゃんか。二人とも可愛いのう」
いきなりちゃん付けで呼ばれて、かわいいとか言われました。このおじいさんは孫に接する感じで私たちに接しているのかも。
「か弱い女の子にきついことを頼むのは少々心苦しいが、二人とも見た目に似合わず強いようじゃからのう。ここはこの街を救うと思って力を貸してほしい」
心苦しいのなら頼まないでほしかったな。もう今更遅いけど。
「それで、この街に一体何が起きているんですか?」
「この街と鉱山が一体になっているのは知っているのぉ? 長年我がセイリムは鉱山からとれる数々の鉱石を使い発展してきたのじゃ。それが最近になって鉱山にモンスターが住み着いてしまってから鉱石を取りに行けなくなってしまったのじゃ。このままモンスターに住み着かれていてはこの街の財政は破綻してしまう」
鉱山にモンスターか。よく割るような展開だなぁ。そんな強いモンぬたーが住み着いてるの? Aランク冒険者で討伐できないとなると、相当のモンスターだよね?
「それでどんなモンスターなんですか?」
「それがじゃの、ドラゴンなんじゃ。一体どこからやってきたのやら」
ドラゴンと来たか。ドラゴンと言えば危険度がSランクの超有名なモンスターじゃないですか? 人型モンスターに匹敵する強さも持ってるっていわれてるし。
「私たちDランク冒険者ですよ、ドラゴンの討伐なんて無理です。速攻死んじゃいます」
「人型、モンスターを使役しているメリアちゃんならきっと大丈夫じゃ。それに聞いたぞ、ヘルちゃんはとんでもない数のスキルを保有しているらしいのぉ」
もうあきらめよう。大体領主様にあっている時点で断れない。
「わかりました。やれるだけやってみます。それよりも報酬のほうはもらえるんですよね?」
「当然じゃ。この街の超一流の鍛冶師たちに武器と防具を作らせよう。オーダーメイドなどとてつもない価値のはずじゃ」
オーダーメイドの武器と防具だって? 何それ、すごいほしい。なんかやる気出てきた。よし、ドラゴンをサクッと倒してきちゃおうかな。主に戦うのはヘルだけど。




