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検問

「そろそろつくぞ。起きろ、メリア」

「…………え? あれ? 私寝ちゃってたんだ。ごめん」

「まあ、私は魔王だから全然余裕だったぞ。むしろいい運動になったくらいだ」


 魔王って魔王ってそんなに自慢したいのかな? それとも褒めてほしいの?


「ありがと、起こしてくれてもよかったのに」

「気にするな。それよりもあれ」


 ヘルに促され、前方を見ると大きな山がそびえたっていた。あれが鉱山なのかな。あ、山のふもとに街がある。山と一体になっているような感じだ。


「すごい山だね。これ相当高いと思うけどどれくらいか知ってる」

「それくらいは普通知っているものじゃないのか? 世界で四番目の標高を誇る山だぞ。」


 そうなんだ、まったく知らなかったや。私ってもしかして勉強不足? 当然知ってることみたいに言われたけど…………いや、知らない人のほうが多いと信じよう。


「それでこの山の名前は何ていうの? セイリム?」

「よくわかったな。と言っても街と同じ名前だしな。当てずっぽうでも当たるか」


 街と一緒の名前なんだ。なんだか手抜き感がすごい。こんなの自分の子供に自分の名前を付けるようなものじゃないの? 


「せっかくだし、登山しとくか? まあ、相当過酷だろうが」

「やめとくよ、私みたいに体力のない女の子が登って無事に帰ってこれそうな高さじゃないよ。ネクロマンサーだからと言って自分が死んだら使役できたりはしないからね」

「メリアに死なれるのは困るな。よし、やめておこう」


 ヘルのおんぶで山頂まで行けるんなら別に言ってもいいけど。でも、人に見られたらとんでもないやつと思われるだろうな。友達におんぶさせて山を登る鬼畜になってしまう。そんなことで有名にはなりなくないかな。


 そうこう話していると、いつの間にか街の入り口の門までやってきていた。何やら列ができているが、もしかしてセイリムには検問があるのかも。めんどくさいなぁ。街に入るのだけなのになんでこんなことしなくちゃいけないのかなぁ。


 この列が思ったよりも進まない。そんなに厳しく検問してるの? 本当にやめてほしい、最近何か事件でもあったのかな。前に並んでいた何人かは入れてもらえずに連行されていた。身分を証明できるものを持ってなかったのかな、かわいそうに。


「次、そこの二人」


 やっと順番が回ってきた。かれこれ三十分は待った気がするよ。


「まずは身分を証明できるものは持っているか?」

「スキルカードと冒険者カードなら持ってますよ」


 私がそういい、とりあえずカードを渡すと、警備の衛兵は不審そうにヘルのほうを見た。


「そっちのお前はどうした? 何も持ってないのか?」

「あ、こっちの子は私の使役モンスターですので、私の冒険者カードに一緒に記載されてます」

「なに? 人型のモンスターを使役しているのか?」


 出たよ、いつもの反応。もういいです。


「まあいい…………はあ!? なんだこの大量のスキルは?」


 わかったました。そう来るだろうと思ってました。これから先もずっとこのやり取りを繰り返さないといけないのかな? はぁ、考えるだけでも憂鬱だ。


「すごいだろ。私は相当高位の存在だからな。当然それくらいのスキルは保有している」


 ヘルがいつものようにご機嫌だ。いいなぁ、ヘルは単純で。


「このカードは偽造とかではないだろうな? 偽造だとしたら、実刑もあり得るぞ」

「冒険者カードの偽造なんて聞いたことありませんよ。正真正銘本物です。失礼ですよ」

「すまん、こんなものは見たことなくてな。どうしても疑ってしまう」


 いきなりこれを信じるのもどうかと思うが、毎回毎回疑われるのも面倒だな。どんな手を使ってでも見せないことにしようかな。


「ちょっと待っててくれ。俺はこのことを報告しなくちゃいけなくなった」


 そういうと、どこかに門の中に行ってしまった。なんで私たちはこんなところで待たなくちゃいけないの?


「やはり私のスキルはとんでもないようだな。魔王となればこれくらいは余裕だがな」

「もしかしてヘルのことがばれたのかな? そうだとしたらこの場所を離れたほうがよくない?」

「大丈夫だろう。気が付いているのならもっと取り乱しているはずだ。目のまえに魔王だいるんだぞ。平常心でいるなど不可能だ」


 確かに、目の前に本物の魔王がいるとわかってまったく態度に出ないのはありえないかもしれない。


「待たせたな。お前ら二人にはこの街の領主様にあってもらうことになった」


 ヘルと二人で話していると、突然声をかけられた。何を言ってるの? なんで私たちがこの街の領主に合わないといけないの? 一体今の間に何があったのかな。


「急すぎてよくわからないんですが…………私たちは今検問を受けてましたよね? それがなぜ領主様になるんですか? 何かしましたか?」

「それは勘違いだ。今この街はちょっと訳アリでな。検問ついでに強い冒険者を探していたんだ」


 強い冒険者? 何のために? やばい、とてつもなくめんどくさいことになりそうな気が…………。ここはDランク冒険者だという逃げ道を使おう。


「私はDランク冒険者ですよ。強いわけないじゃないですか?」

「ランクなんて関係ない。スキルが強さを物語っているだろ? それほどのスキルの使役モンスターが居てDランクと言うのは謎だが、今はもうどうでもいい。とにかく領主様にあってもらうから俺についてきてくれ」

「あの、私たち急用を思い出したので、故郷に帰ります」


 めんどくさいので、必殺急用を思い出したを使いこの場を離れようとしたら、腕をつかまれてしまった。ヘルに…………。


「困ってるようだぞ。助けてやらねばいけないだろう。用事なんて後でいい」

「お願いだ。俺たちの街を助けてくれ」


 ああ、終わった。今のタイミングを逃した時点でもう私の負けだな。


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