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啓示

「貴方にはスキル『ネクロマンサー』を授けます」

 機械音のような無機質な一言でこれからの私の人生が全て狂ってしまった……。






「メリア!! 早く起きないと啓示に間に合わないわよ!」

「……ふぇ?」


 私はお母さんの大きな声で目を覚ました。すっかり毎朝の恒例になってしまっている。どうにも朝には弱い。この歳になっても自分で起きることができた試しがない。お母さんには本当に感謝だ。今日だけは絶対に寝坊するわけにはいかない。なんといっても、私の今後の人生に関わる大事な日なのだ。


「起きたのー? 起きてるんなら返事しなさーい」

「起きたよぉ…」


 私の声が小さかったのだろうか、その後も何度かお母さんの大声は家中に響き渡った。いい起きたということを報告する手段はないものだろうか?


「朝から勘弁してくれよ。メリアだけじゃなくて、俺やミルまで起きちまうじゃないか」


 私が二階の部屋から降りてくると、どうやらさっきので起きてしまったであろうお父さんが眠そうに目をこすりながら立っていた。


 大体二回に一回は、こうしてお父さんも道連れになり、起こされてしまっている。本当に申し訳ないと思っております。まあ、私の朝の弱さは今に始まったことでもないのでお父さんも諦めているのだろう。


「おはよう。お母さん、起こしてくれてありがとう」

「本当よ、メリアも今年で15歳なのよ。そろそろ一人で起きれるようになってもいいんじゃない?」


 このやり取りは今年になって何度したことだろうか? 私の朝の弱さはそう簡単に改善できるほどやわなのではないのだ。


「無理だよぉ、私が一人で起きれるようになる日なんて一生来ないと思うかな」

「ふう……全く、困ったものね」


 お母さんもああは言っているがもう諦めているのだろう、しつこく追求してきたりはしないので有り難い。


「おはよぉ」


 私とお母さんが話を終えるのとほぼ同時にお父さん同様、眠たそうに目をこすりながら妹のミルがリビングに入ってきた。ああ、今日は起きちゃったか。お父さんとは違い、ミルの部屋は私と同じ二階。なので、ミルが私の道連れになる確率は5回に1回ほどと、お父さんと比べるとかなり低い。そのミルでさえ起きてしまうということは今日のお母さんは一際気合が入っていたのだろう。


「お母さん、うるさい。お姉ちゃんを起こすだけなら部屋まで行けばいいのに」

「ごめんね。でも、悪いのはお母さんじゃなくてメリアだと思うんだけど…」


 あ、お母さんが私に責任をなすりつけてきた。……はい、完全に私のせいです。私が一人で起きれたら全て解決なのは分かっています。


「それより、早くご飯食べて準備しないと遅れちゃうわよ」

「あ、そうか。今日はお姉ちゃんの啓示の日だったっけ」

「そうだよ、こんなことしてる場合じゃない」


 お母さんが準備してくれていた朝食を急いで食べた私は身支度を整えて家をで出た。


「行ってきまーす!!」

「しょぼいスキルじゃないことを祈ってるわよ。朝起きれるようになれるスキルなんてのまいいかもね。まあ、私たちの娘なんだから心配しなくても大丈夫よ」

「とんでもないスキル授かってびっくりさせてあげるから」


 これで本当に朝に強くなるスキルだったりしたらどうするんだろうか? 流石にないか、そんなスキル聞いたこともないし。




 道なりに歩いていると、周囲の建物に比べ一際目を惹く大きな教会が見えてきた。今日の目的地はここだ。三年前の誕生日に買ってもらった懐中時計で時間を確認してみると、なんとか五分前に着くことができたみたいだ。


「おはようございます! メリアです。啓示を受けに来ました」

「あ、メリアちゃん。ちゃんと起きてこれたんだ。もしかしたら寝坊するかなって思ってたんだけどなぁ」


 全く、失礼なシスターさんだ。私がこんな大事な日に遅刻するわけないのに。私にはお母さんという絶対無敵の目覚ましがあるのだ。


「いくらなんでも今日は寝坊したりしませんよ、セリーナさん」

「はいはい、どうせ起こしてもらったんでしょう? そんなにドヤ顔しないの」


 なんでバレてるの? セリーナさんって心を読むスキルだったかな? 


「何をそんなに驚いてるの? メリアちゃんが朝弱いのくらい知ってるよ。いいから早く済ませましょう」


 セリーナさんは、小さい頃からの知り合いだから、知ってて当たり前のことだったかな。でも私が朝弱いのどこまで広まっているんだろう?


「女神像の前で祈ればいいんですよね?」

「よく知ってるね。いや、普通は知ってるか。そうだよ、いいスキルだといいね」


 私は教会の奥に神々しいオーラを放つ、女神像に両膝をついて祈りを捧げた。


 すごい強いスキルお願いします。どんなモンスターでも倒せる無敵のスキルをお願いします。勇者とかいいなぁ、賢者とかでもいいです。


 そんな私の祈りが届いたのか女神像がキラキラと光り始めた。


 あ、これはすごいスキル確定の演出だ、きっと。


「貴方にはスキル『ネクロマンサー』を授けます」


 え? 何ですかそのスキル? 






 

毎日投稿していく予定です。

頑張ります!!


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