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召喚士の錬金術  作者: 鵺庵
1/1

現状

 錬金術。 これを聞いて何を想像するだろうか? あの有名すぎる作品? 賢者の石に等価交換。 はたまたニコラ・フラメルだろうか?

 それとも……

 この世界において錬金術は、ペテンだのイカサマだの気の触れた奴らの戯言だのと、迫害や風評絶えないモノだ。

 可笑しいものだな、魔術。 魔法の類は生活に馴染み深いのに錬金術は否定されるなんて。

 だが、その研究を生涯かけてする者を少なからずいるのだから最近では真っ向から否定される事が少なくなってきたのは確かだ。


 おっと前置きが長くなりすぎたか?

 俺はこの物語の語り部だ、 同時にこの物語の被害者兼主人公という立ち位置でもある。

 まぁ名前とか生い立ちだとか、転生モノなのかチート能力が何なのか、ヒロイン等etc……そこら辺の疑問は捨て置いておこうじゃないか。

 どうせ後々嫌でも分かることなんだしな。


 それよりも今最も重要な事。 そっちの方が知りたくないか?

 うんうん、知りたいよな。

 よし、なら周りを見回してみろ? そして耳をすませるんだ。

 見えたか、聞こえたか?

 そう正解だ。


 周りには獰猛そうな獣--いやもうアレはクリーチャーと言った方がいいだろう--が4体程。

 そしてそれを操っているであろう、白を基調とした制服を来ている学生が5人だ。

 周りからはやれ『逃げるな!』だの、『正々堂々戦え!!』だのと五月蝿いヤジ。


 これらから分かることは?

 ご想像通り、それが正解だ。


 だが俺の説明が下手すぎて分からなかった人もいるかもしれんから答え合わせと行こう。


 ここはグロスロッド国。 ルーシュ学園に併設されているコロシアム。

 今ちょうど俺vs学校の精鋭チーム5人との変則マッチの最中だ。


 全く1vs5でヤジられるとは……随分と嫌われたものだな俺も。


 俺は--大森林をモチーフにしたフィールドの中でもかなり端の方にある--川の中に潜りながらどうしてこんな面倒な事になったのか。

 その元凶が笑いながら見ているであろう方向を静かに睨みながら、あの一通の手紙の内容を思い出そうとするのだった。


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