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SLAYERS STRUT ~魔族狩りのお姉さん(おっさん)~  作者: 水茄子
お姉さん(おっさん)、女の子と出会う。
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第5話

「助けて……もぐもぐ、いただき……もぐもぐ」

「いや、お礼は良いからちゃんと噛んで食べな? でないと喉に詰まるから」

 

 結論を言うと、おっさんの射撃の腕は自分が思っていたより良かったらしい。

 女の子に寄生していた肉の蔦、その本体を見事に撃ち抜いておっさんは女の子を助けた上、見事に賞金五十万ルクスを手に入れたのである。

 そして鎧の中から救い出した女の子の第一声が「お腹が、減りました」だったので、おっさんと女の子は報酬である五十万ルクスを貰うや否や、近くにあったハンバーガー屋へと駆けこんだのだった。


 でもって、現在に至る。

 元々脂っこいものが苦手で、チキンバーガーを一個食べ終えてコーヒーを飲むおっさんの対面で、女の子はテーブル一杯にハンバーガーの包装紙をまき散らしていた。

「この……もぐもぐ、ハンバーガーという物は……ごくん。食べやすい上に、美味しいですね! ジャンクな感じがとっても新鮮です!」

「そう、それは良かった。ところで、尋常じゃないくらい食うね君。もうハンバーガーの包装紙で千羽鶴が折れそうだよ」

 最近の子ってみんなこうなのかね。しかもこの子が食ってるのって、エビバーガーとかてりやきバーガーとかの絶妙に高い商品なんだけど。おっさんの財布への配慮が、まるで見られないんだけど。

 まぁ、これだけ食べる元気があるなら大丈夫って事だろう。魔族狩り専属の医者も、魔力を吸われていたから衰弱している以外は言わなかったし。

「すごいですね! 千羽鶴折れるんですか!? 手先が器用なんで……もぐもぐ」

 こら、そこ。せめておっさんへの賛辞を述べてから、そのカニクリームバーガーを食べなさい。

「うん、褒める所そこじゃないよね。今褒めるべきは、おっさんの支払い能力の高さだよね」

 

 ――あっ、しまった。つい、ツッコミに夢中になってボロが。


「おっさん……?」

 しかもこんな時に限って鋭いな、おい。

「今、おっさんって言いましたよね?」

「いやぁ失敬、失敬。お姉さんだよ~?」

 さっきまで流れ作業みたいにハンバーガーを口へ運んでいた手を止め、女の子はジッとおっさんの方を見てくる。おっさんは目を逸らして、女の子の視線を回避。

「……年頃のこんなに美人なお姉さんが、普通おっさんなんて言い間違えないはず。それに、何よりも怪しいのは……」

 

 突然、女の子はテーブルから身を乗り出したかと思えば、おっさんの顔を間近で凝視してきたのだ。

「出会った時から、アナタの身体には異様な魔力が漂っているんです。自然から生み出されたものではない、極めて濁った魔力が」

 エルフは人間と違って魔力を体内で生成できる分、魔力の質や流れに敏感だと聞いた事がある。しかしまさかこんなに小さな女の子まで、その素養があるとは。

 白い肌にくりっと丸い目。瞳は綺麗な黄緑色で、宝石の様だった。そんな目がついた小さな顔に、人間ではあり得ないほど綺麗な金髪と尖った耳。良くできた人形かと錯覚してもおかしくないほど、整った容姿だなぁ。

「しかし、アナタはどう見ても人間……。体内で魔力を生成する事は不可能となると……、何らかの術式や薬品の類を使用しているのですか?」

 何より、この子は怖い物知らずだ。これがただのお姉さんの皮を被ったおっさんだからいいものを、人間に化けている魔族の手先とかだったならどうする気なのだろう。

 とにかく、別に隠しておく必要もないし、これ以上不審がられて民警でも呼ばれたら厄介だ。早めに説明しておこう。


「――えぇ!? 旧魔王軍の最高幹部を倒した時、その場にあった薬品を偶然浴びてこんなお姉さんになった!?」

「うん、声大きいねぇ君。別に聞かれて困る話でもないけど、ちょっと声のトーンを下げよっか」

 おっさんに指摘され、女の子は慌てて口を塞ぐ。まぁ、本当に聞かれて困る話じゃないから良いけどさ。一応、おっさんは警戒してそれとなく周囲を見ておいた。こういう稼業を続けていれば、どこでどんな恨みを持たれているか分かったものではない。特に、おっさんの場合は。

 うん。多分、問題ないでしょ。


 若干一名、いそいそと店から出て行ったフードのヤツがいたけど。


 ハンバーガーとか千羽鶴とかが出てきて、ますますカオスな世界観となってしまいましたが、

「これは地球に似ているけど、違う星なんだぁ」

という感じに、生温かい目でご覧ください。架空の度量衡などもこの先登場しますが、大体は現実のメートルやリットル、グラムなんかと同じです。名前が違うだけです。

 そこを変えると、えらく複雑になるので。

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