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第０話

　魔族。簡単にいうと、体内で魔力を生成可能な人族、ないしは亜人族ではない生物の総称。頭から無数の触手が生えていたり、腕が四本あったり、何か明らかにこの世のものではない連中は大体魔族だ。この魔族って連中はかつて魔王軍に組し、混沌と破壊を世界にもたらしたとして、世界中で討伐命令が下っていた。

　もっとも、魔王軍と人類との戦いなんて今じゃおとぎ話だし、誰も覚えていない。そんな昔の話を掘り返して、ある特定の種族を排除するのが正しいかと言われると、そんな難しい話はおっさんには分からない。しかし連中は今でも人やらエルフやらを奴隷にしたり、危ない薬を売りさばいたりしているので、まぁ自業自得といえばその通りだろう。

　とにかく、そんな中でも特に危険と判断された魔族、業界用語でいうところの『忌名つき』って奴らを狩るのが、おっさんたち魔族狩りの仕事さ。

　まぁ、おっさんの場合は奇人変人揃いの魔族狩り業界でも、屈指の変わり種なんだが。