05.見知らぬ痛み
朝起きたら顎が痛かった。朝起きたら身体中が凝ったような感覚がした。この正体不明の痛みがたまにやってくる。痛むと身体の方は一日くらいで、顎は数日痛い。そんな日々が続くも寝相の問題だろうと思っていた。
ある日、お酒を飲んだ、両親と。いい気分で飲んで、いい気持になって、少し横になろうと眠りについた。
起きたら、両親がとんでもない顔色で私にしがみついていた。何が何やら分からない。そしていつもの痛み。
「歯を食いしばって痙攣していた」
そう聞いたのは親が落ち着いてからのことだった。
「顎が痛い」
そう問うと、あれだけ食いしばっていたら筋肉痛にもなるよ。と親が答える。
「そう」
軽く答える私にとってそれは軽い答えではなかった。
「もしかしたら今までの痛みもすべて・・・」
いつもと同じように顎は数日痛みに苦しまされた。だからよけいに。
「寝ているとき、自分は自分が分からない」
恐怖がじわりじわりと滲んでくる。知らないうちに自分の身体がどうなっているのか、どうしているのか分からない。対処法もない。分からないのだから。
「痛い」
朝起きて顎が痛かった。あぁ見知らぬうちに何があったのだろう。