4/39
03.くもに捕まれて
雲は蜘蛛。
空を漂いゆく体にまとわりつく。
なぜ大空を遥か高くまで飛ばぬのか、どこまでもどこまでも遠くへと。
それはある種の優しさ。
宇宙と言う広大な地にでたならば、僕らは小さなものだからと、すぐに迷ってしまうからと。
ここに包まれていなさいと揺り籠の繭。
それでも警告に従わなければ、くもが追いついてくる。
八つの足を広げてまとわりつく。体中のありとあらゆるところに。
ヌゥンヌゥンと。
地へ叩き落す勢いで唸り迫り捕まれる。
捕まれたあとは知らない。
誰にも分からない。
だからこう答えよう。
くもに食べられたと。