表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

01.無貌の亡骸

 叩く叩く貌を潰していく消し去っていく。

 顔とは人間を特定するために重要なものだ。言い換えれば人間を区別し個人たらしめるために必要なものだ。

 顔を消し去ってしまう。それは個人を消すのと同じだ。

 念入りに叩く。叩く。叩く。私の目にそうと見えなくなっても誰かには見えるかもしれない。だから叩き続けた。

 最初は音がしなかったが段々と音が鳴り始める。鈍い音がだんだんと可聴域にせまる。

 目がどこにあったか鼻がどこにあったか口がどこにあったか。そんなものはどうでもいい。

 すべてコイツの存在の全てをつぶす。つぶすつぶすつぶす。

 人間は脳のある特殊な部分で顔を認識しているのだそうだ。だから微妙な変化でも分かるという。それだけ顔というのは本人を表しているのだ。

 だから顔を消さなければいけない。顔がなければ存在はない。

 叩け!叩け!叩け!叩け!

 ただただ無心に無言で心のむくままに叩き続けた。

 そうして私の目には赤いものだけが映るようになった。だがまだ足りない。心が叫ぶ。足りない足りない足りない。この赤すら顔なのだと。

 だから叩く。心の叫びにただ無機質に従って。

 叩き叩きつぶした果て。

 アイツもいなければワタシもいなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ