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「お師匠、戻して。早く、入れ込む。」
「戻す?面倒な事を。」
「ぐずぐず言ってないで、やれよ。あんた、意味なく一般人の人格を剥がしたんだぞ。そんなのさ、いくら、ゴールドマスターでも許されてないんだよ。」
「口の悪い弟子だな、お前は。師匠に対する敬意が無いから、やらんぞ。わしは!」
「あんたは、子供かよ!」
言い争う男と老人。真雪は、立ち上がった。鞄を持つも歩き出す。素早く、男の手が肩を掴む。「待て、ガキ。」
「え、ガキって真雪?」
「他に、居るのなら言ってみろ。」
「あたし、ガキじゃないもん。16歳になってるしい!」
「未成年は、ガキなんだ。分かるか、ガキ!」
「お爺ちゃん、こいつ嫌い!」
見ていた老人は、途端に機嫌が良くなる。味方を見つけたからだ。
「そうだろう、嫌な奴なんだ。師匠を師匠とも思わぬ。偉そうに説教するんだぞ。」
二人は、気があってしまった。紅蓮は、黒眼鏡の下のめを細める。不快そうに舌打ちをした。
「どうだ。スコーンでも、食べないか。わしが、奢るぞ?」
「うん、行くもん。」
師匠、75歳。一般人の女子高生をナンパ。紅蓮は、女の子の素性を知る為に、呪文を呟いた。
「ターゲット、目の前に居る女の子。氏名に住所を検索。」を
すぐさま、機能が動く。女の子の上に、氏名と住所が現れた。これは、要求した術者にしか、見えない検索結果であった。
人気の店の行列に、紅蓮が並ぶ。老人と女の子の身代わりだ。紅蓮の不機嫌、ますますダウン。その間、二人は別の場所に座っていた。
「そうなのかい、真雪ちゃんも大変だな。イジメられてるては。」
「母さんや、お婆ちゃんは知らないんだもん。今、家は大変だし。お姉ちゃんが帰って来ないの。」
「そうじゃ、アルバイトしないかのう。人が居なくて困っておる。」
「それって、真雪にできる?」
「簡単だ、座っていれば良い。」
老人の話に、真雪は目を輝かせた。