3ページ
昴から見えない場所まで行くと、真雪は突き飛ばされる。地面に倒れる真雪に、女生徒たちは笑う。
「いい?もう、昴くんと付き合うなんて考えないでよ。」
「あんたなんか、釣り合うはず無いんだからね‼」
真雪は青ざめて何も言い返せない。
(嫌だ、わたしって何も言い返せない。どうして、こんな子なの。母さんや、お姉ちゃんの事を馬鹿にされても怒れないなんて。)
神さま、お願い。わたしを強くして。こんな弱いのは、耐えられない。誰にも負けない強い女の子になりたい。
それから、数時間あとの事。
泣いていたら、知らないお爺ちゃんが話しかけて来た。
「お嬢ちゃん、何をしてるんだね?」
「・・・・・・・・。」
「そんなとこに居ないで、出ておいで。ほら。」
女の子の隠れている茂みの中に、手が差し込まれる。女の子は、捕まれた。いや、捕まれたと思った。
ベリベリーーー。
激しい痛みに、女の子は悲鳴を上げて動けなくなった。いったい、何をしたの。何をされたんだろう。
「お師匠。あんた、何やってんですか。一般人に手をだしたりして!」
側に立った若い眼鏡の男に、老人はムッとする。
「紅蓮よ。その言い方は無いだろ。わしは、この可哀想な女の子を助けてやったんだぞ。人助けじゃ。」
「何が、人助けだよ。ほら、皆が、あんたを変態みたいに見てんぜ。現場処理しないと、警察を呼ばれるぜ。」
「お?そうなのか。無かった事に!」
現場処理、終了。不思議な事に、見ていた人達は忘れて歩き出す。紅蓮は、倒れている女子高生を揺り動かした。
「おい、起きろ。大丈夫だから。」
真雪は、目を開く。そして、起き上がった。
「酷いもーーん。痛かったしい。」
男と老人を見て、聞く。「何で?」
「何が、何でなんだよ。お前、助詞を付けろ。小学生か。」
男は、口が悪かった。でも、叱られても、真雪は笑う。どうしてだろう。何時もなら泣くのに。ぶるぶる震えるのに。全然、平気なんだもの。
「なんか、生まれ変わったみたいだよ。真雪は。」
願いが叶ったのかな。