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異世界にて

異世界に渡りました。

「おらおら、そんな雑魚にチンタラちんたらなにやってやがる!

新人(ルーキー)しっかりついて来んか。」

髭面の屈強な、いかにもなジジイが。

大剣を軽々と振り回してモンスターを倒す。

場慣れた冒険者ならば、確かに雑魚だろうゴブリンを討伐する依頼は、彼では無くドヤされる新人、家康が受けた物だ。

「は、はい!」


現在俺家康は、異世界に来ている。

簡単な新人研修とたらい回しが終わり。

丁度半年が経過した。

俺の向いて居る部署候補が二つに絞られた。

一つは異世界現地派遣の商会営業。

もう一つは、近隣異世界での冒険者補佐。

どちらも危険が伴う為、最終戦闘実地訓練に突入したのだ。

ノォォォォォォ!

穏便な方では無さそうな結果で有る。

マジ辛い。

訓練は受けている。

剣術も魔術も合格点だった。

VR(バーチャルリアリティ)映像でも対応出来て居た。

けれど、平和な日本から来た家康は、どうしても上手く立ち回れない。

モンスターとは言え、本当の生き物を切り捨てる事への忌避感や、感触や血の臭いに中々慣れなかった。

腰がまず引ける。

見た目が怖くてクリーチャーなグロいモンスターに怯える。

落ち着かないと死や怪我に直結すると分かって居るのに。

平静を欠いて錯乱し、パニくる。

倒したら倒したでグロさに吐く。

情け無い事に、最初はチビりかけた。

残念ながら、ファンタジーなアニメや創作物の主人公の様な、スマートな順応性は低かったと思う。

幸運な事に、新人にはベテラン補佐がつく。

俺の場合、一人は榛名さん、もう一人は現地のトリスタンと言う現地社員兼ベテラン冒険者さんが付いてくれたから命の保証は問題なかった。

榛名さんもスパルタだけども、トリスのおっちゃんもっと厳しくてマジ泣ける。

あー、初めの頃トリスたん、とか脳内で萌えキャラ扱いしたからバチが当たったのかね?


ガッ!

キーン!

ザシュッ。


榛名さんの剣技が冴え渡る。

いや冴え過ぎて速くて見えない。

おかしい、訓練の時見えてたよ。

俺そんなに手抜かれてたの?!

そのわりに鬼コーチだったけど。

「何?」

じろりとこちらを睨んでくる。

「ナンデモゴザイマセンヨ?」

やめて?!なにこの勘の良さ。

怖い怖い怖い。

はふー。

落ち着く為に深呼吸。

状況確認。

周囲に視線を巡らす。

良い具合にベテラン勢がゴブリンをバラけさせてくれた。

有り難くも俺は一点集中に転じられるって事だ。

まず二本足歩行する敵は足を狙って機動力を下げる。

魔法系には効果は薄いが、気を反らせるのにも有効だろう。

弱点はモンスター事に変わるのだが。

コブリンあたりの低級モンスターなら然程問題ない。

足の付け根や足首やアキレス腱など、関節や腱を狙えるなら狙う。

かすめただけでもよろけてくるし、当たれば歩けなくなった。

後は、首や頭や心臓辺りを凪切るか一突きする。

慣れないから一撃ではないけれど、それなりな成果を出すことが出来たと思う。

ただ、血生臭くてグロいのは慣れないけれど。

そんなこんなで、なんとかゴブリンを倒してリヒナという小さな町へと戻る。

ちなみに、ナークルという異世界に来ていた。

世界で言えば剣と魔法のファンタジーで、中世になりかけくらいの文明らしい。

だから自然は豊かで、生水が飲める程度には環境汚染がされておらず。

その代わり移動は庶民は徒歩か、ダチョウやリザードンみたいな竜種の動物が馬代わりに馬車、いやこの場合は竜車を引いたり、騎竜として走ったりする。

これが上位種になるペガサスやユニコーンや、属性龍とかに乗ったり空飛べたり水上渡れたりとか色々出来るのだが。

まぁ、お互い同意の契約獣という形になるので、かなりの素質がなければ扱えない。

地球と同じ様な惑星系なのだが、違うのは太陽がニ連星だろうか。

次元移動して異界渡りするのに、一番地球に近くて比較的安全で。

なおかつ魔王とか魔神などの、よくある異種族戦争は今のところないそうだ。

なので、ここは冒険者ギルドと国と提携し、極秘で我が社の新人研修を紛れて行う一種の異世界交流をしている。

条約で、お互いの世界破綻しかねない文明や発明の持ち込みは禁止とされているが、祖国でもこちらでも、異界渡りや冒険者というリスクが大きな仕事に就きたがる者は、だいたい曰くありだ。

幸せな家庭で生きる者ほど、成功例に憧れてもなりはしない。

平凡でも平穏安全で安定収入程、魅力的なものはないからだ。

夢を見る事と、夢を実現する事の違いや難しさは大きく。

波瀾万丈な人生は、創作物なら楽しいがリアルならとんでもない。

成功と失敗の落差が激しい。

何処か心の病、躁鬱の繰り返しに似ているのだ。

人生で理屈なしに掛けられなければドラマチックな成功は得られない。

あぁ、うん。

俺は失うものが少なくて、こういう博打にはうってつけなんだと思う。

それでも、失うものが無いわけではないから。

異世界で足掻いて生きてみようと思う。


やっとストレンジャースタート?

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