表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

お引越し

三河家康は、異世界へ営業として派遣される異界渡り(ストレンジャー)としてサラリーマンになる事になっちゃいました。

俺生き残れるのかなあ?

「ふっふ〜ふるるる〜。」

先程から鼻歌交じりに引っ越し段ボールを、こしこし開けては中の物を、収納棚に置いたり本棚に置いたり箪笥に入れたり。

パタパタ駆け回って居るのは、俺こと三河家康(みかわいえやす)、22歳だ。

古風な名前なのは、亡くなった両親が、歴史学者で、相当な歴史好きだったみたいだ。

ちょっと恥ずかしいんだけど、まぁ親の愛だと思って耐える事にした。

うん、ガキの頃によくからかわれたよ、将軍様とか変な渾名付きで。

よきにはからへって言い返して笑ってやったけどな。

幼い頃、事故で両親を亡くし。

かなり苦労して、長らく孤児院生活からの苦学生的な大学通学も就活も終わりを告げた。

何せ、保護者が居ない孤児に、なけなしの遺産と保障。

幾ら孤児に手当てが出ると言っても雀の涙。

奨学金確保とか、抜きん出た特待生とかにならないと、下手に進学したらぶっちゃけ借金まみれになる。

孤児手当てとか、無料保障ではない。

あれは就職したら返済しなくてはならないので、だいぶ世知辛いかんじになるのだ。

よく知らないで、質の悪い事でも有名な法人から孤児手当てを借りて使ってしまった先輩達からの苦労話は、まるで奴隷制度のようにやりたい事も出来ず、借金返済で人生過ごす事になる。

俺は取り敢えず、それなりの頭と体力があったから、何とか特待生枠に食い込めた。

お陰で、返済しなくてはならないお金は少なく。

学生時代のバイト代で、何とか片付けられたのは幸運だったかな?と思うよ。

バイトと勉強両立もだけど。

特に大変だったのは就活。

やる事が普段から多いから、就活する時間はかなり一般生徒より少なく。

何より孤児なのが響いて、保証人は孤児院の院長なのもあってか。

なかなかうまく行かない。

孤児なのは、死んだ両親も残った自分も悪い訳では無いのだけれど。

流石にちょっとささくれたよ。

底辺へはどの世界も手ひどい扱いだからね。

俺よく闇落ちし無かったと自分褒めたいですよ、マジで。

だから、何も考えずに孤児院の院長の勧めで行った大手企業が、結構曰く付きと知るのは大分後の事なんだけど。

まあ、そのお陰で大変な目にも合うけれど。

通常ではあり得ない、とても楽しい体験も出来るようなジェットコースターな日常が俺を待っていた。

「三河っち、このお皿は何処に置く?」

明るく可愛いい声が響く。

「長谷部さん、それは台所用の棚の引戸の下でお願い。」

長谷部奈美(はせべなみ)は、孤児院の妹分みたいな子で、今年中学生になった。

その隣で黙々と作業続けるのは、彼女の双子の長谷部里奈(はせべりな)

奈美とは違いとても寡黙で大人しい子だが。

何故か二人には懐かれて居る。

「しかしすっげえマンションッスね。

何すかこの高層ビルの摩天楼は俺の物的な景観と広さ。

セレブリティですか?」

大きな家具や段ボール搬入で、疲れて休憩して居るのは、孤児院の男衆数人と。

クラスメイトの今しゃべった榊衛士(さかきえいじ)がだらけて居た。

ここは格安社員寮だというのに、一等地の高層ビル上階にあった。

榊が騒ぐのも分かる。

下手なホテルより豪華で広く景観も良い。

頼めば掃除や食事も用意して貰えるし。

セキュリティもかなりしっかりしていて。

本来なら、VIP待遇なんじゃ?

と思う程にここは素晴らしく豪華だった。

「俺入り浸っちゃおうかなぁ。」

榊が変な事言い始めたので苦笑する。

「あ、榊悪い。

俺海外部に回されるから、ここにはたまにしか来れないんだ。

俺がいないと入れない声紋指紋認証システムになってるから、入り浸り無理だわ。」

えー?と不満げな榊達野郎共の声の後、長谷部双子が寂しげに此方を見ていた事に、俺は気付かなかった。

引っ越し作業が済み、皆が帰った後、部屋の静かになった椅子に座る。

明後日からは入社式と新人講習が始まる。

それを思って溜息をついた。

「ねえねえ、皆居なくなったね。

家康あそぼ、あそば。」

楽しそうな声が小さく響く。

顔を上げると、ふよふよ緑色に光る蛍のような物が、家康の周りを飛び交う。

目を凝らすと、小さな妖精が、蜻蛉みたいな羽根をキラキラはためかして飛んでいる。

ああ、これが見えたから、俺はここに採用されたんだっけ。

通常なら見えな妖精の姿と声。

面接のあの日、大きな水晶玉に触れた途端見えるようになった。

魔法の無い世界で妖精が見えるのが、この会社の最低入社条件なのだそうだ。

さっきいった海外部は正確に言うと違う。

色んな異世界への営業として派遣されるのだそうだ。

異世界へ、この街は時空の歪みで繋がりやすく。

他の異世界へ空間がいきなりつながり、異世界へ転がり落ちるように転移する事故や、ファンタシーによくある異世界召喚とかそう言う事象が多発するため。

繋がった異世界の神々との約定違反をする者達や、召喚者を通常とは違う戦争道具にしたり、奴隷扱いする違反者を摘発したり。

細かな突破的な時空の歪みを埋めたり、安定させたり。

異世界の者同士による文化交流や、商業交流など。

部署によってやる事は様々だ。

俺はまだ新人なので、潜在能力を測り。

沢山の事を遣らせてから、飛ばされる部署が決まるそうだ。

出来れば穏便な文化商業交流部署か事務がいいけど。

ダメかなぁ?

ダメだろうなぁ。

あぁでも、冒険者的なのは少し憧れる。

体力はある方なのが、前線フラグビンビンなんだけど。

まぁ、頑張って生き残るぞ!




家康君は名前通りの、鳴くまで待とう苦労人です。

基本面倒見が良い優しいお兄ちゃん気質。

あとフラグ踏み抜く鈍感タイプです。

顔立ちは悪くないけど美形では無いです。

悪く言えば、誰とでも良いお友達ポジションになり易いけど、深入りした付き合いは少なめです。

生きる事に精一杯過ぎて、ちょっと恋愛感覚枯れてます。

では又気が向いたら書きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ