目が覚めて
目が覚めると、眼前に広がっていたのは星が散りばめられた夜空だった。
「ん……え?」
なんで夜空が見えるんだ?確か俺は変なローブの男と話してて、漆黒に巻き込まれて………てか、あの漆黒は何だ?俺の自室もSlsが施されてるから、能力は使えないハズなんだが……
とりあえず体を起こした。すると見えたのは自室の壁ではなく、足元くらいの高さの草原。どこだよここ。
『こことは違う世界に行きたいか?』
ローブの男の言葉が頭をよぎる。いや、まさかな。
「マジでここどこだ?」
見たところ、知り合いも居ないみたいだし……あれ?
暗くて気付かなかったが、少し離れたところに一人の少女が倒れている。
「あ………」
駆け寄ると、それが知り合いだということに気がついた。
透き通るような蒼髪を持ち、綺麗に整った目鼻立ち。絹のワンピースを着ていてどこかあどけない印象の少女は、俺と同じ能力者で“実験”を受けていたセリアだった。
「おい、起きろ」
「ん……なんで白井が居るの?……って、あれ?ここどこ?」
体を揺さぶって起こすと、やはりというべきか、セリアは困惑の表情を浮かべた。
「俺にもよく分からないんだ。気付いたらここに倒れてた」
「そっか。……見覚えないなぁ、こんなとこ」
「俺もだ。俺はこれから建物か何かを探そうと思うんだけど、セリアはどうする?」
「私もついてく。何したらいいのか分かんないもん」
セリアは立ち上がると、体中の土を払った。そういえば俺は土を払ってなかったから、セリアに続いて土を払った。
「んじゃ行くか」
「うんっ」
柔和な笑みを浮かべるセリアと共に、俺はとりあえず、道が整備されていて土が剥き出しになっているところに沿って歩いた。