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始まりという名の終わり

能力者。

それは異端というべきか特別というべきか。

何万人に一人の確率で生まれる特殊な力を持った人間のことを、人はそう呼ぶ。

能力者は名前の通り“能力を持つ者”のこと。能力は常識を覆す力。魔法とでも言うべきか。具体例をあげるなら、体から炎が出たり、氷が出たりという感じだ。

生後すぐに血を採取し、それに特殊な薬品をつけて、血が黒く染まったらビンゴ。能力者認定された赤ん坊は日本近辺にある隔離島プリズンに運ばれて、10歳くらいまで普通に育ててもらえる。

そしてここからが地獄。

10歳くらいになると大体の奴が能力をコントロール出来るようになるので、大勢の科学者の前で能力を披露させられる。その能力によって、普通の人間には出来ないようなクソみたいな“実験”が始まる。

未知の薬品を体に入れられたり、極限の状態で殺し合わせられたり、能力者は身も心もズタボロにされる。死ぬ奴も珍しくなんかない。

毎日“実験”が終わると自室に帰り、質素な飯を食って寝る。そして朝になると起きて“実験”の繰り返し。

そんな地獄のような日々を、俺含む能力者は過ごしている。

そして今日もクソみたいな実験が終わり、俺は自室に戻っていた。

「ハァ……ハァ……」

プリズン内の建物には能力者の能力を封じるスキルリミテッドシステム、通称Slsが施されていて、建物内では能力が発動出来ない。

“実験”で受けた傷に息を荒げながら、俺は自室のドアを開けた。

「お、やっと来たか。待ってたぜ」

「………誰だお前は」

俺の部屋で、短い白髪に紅い眼をしたローブの男が宙に浮いている。こんな奴、能力者の中に居たか?

「そんな怖い眼すんなよ。聞きたいことがあるだけなんだ」

敵意など全く感じない柔らかな話し方に、自然と警戒心が解けていく。なんだこいつは。

「……聞きたいことってなんだよ」

「お前はこことは違う世界に行きたいか?」

なんだその質問。答えは決まってんだろ。

「行きたい」

俺は迷うことなく答えた。ローブの男はそれを聞くと、穏やかな笑顔を浮かべた。

てか気のせいかもしれないけど、こいつの顔俺に似てるな……

「だよな。よし、その言葉受け取った」

ローブの男が手を数回叩いた。すると、ローブの男の手の中から漆黒が広がり……

「なんだ、こ……!?」

一瞬の動揺の後、俺は意識を失った。

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