好きのカタチ
『マイ・テラー』の番外編です。
本編を見なくてもわかるかもしれませんが、見た後に見ることをお勧めします。
「…悠弥の、バカっ!!」
今まで、声を荒げる事んてしなかった。
自分でもびっくりするくらい、その声は静まり返る部屋に響き渡っていた。
「……。」
怒り? 悲しみ? 寂しさ?
…このよくわからない感情の名前は知らなかった。
それが、悔しかった。
こんなの…私らしくない?
わかってるよ…わかってるんだよっ。
自分でも…。
何も言わない悠弥。
それが何故か彼だけが冷静みたい見えて、また、私の心を掻き乱すんだ。
きっと、あの時、私が冷静になればすぐにわかったんだ。
何も言わないのは、彼の優しさ…。
私が大好きだった彼の良さ。
そんなの、出逢った時から知ってたのに…。
悪いのは私。
頭では、なんとなくわかってた。
でも、大事な言葉ってさ、こういう時だからこそ、見つからないんだよね?
いつものくだらない言葉は、あんなに簡単に出ていたのに…。
一緒に居すぎるとさ、大切な言葉こそ、言わなくても伝わってる気がしちゃって…
わかってる気が勝手になっちゃって…甘えていたんだ。
そんな “慣れ” に…。
二人の距離が近すぎて、当たり前すぎて、その2人を表す言葉が『好き』なのかがわからなくなった。
心では、断言できたよ?
…今でも、出来る。
・・・キミのこと、大好きだった…。
だからね、見透かされたようで、それが少し怖くすら感じた。
君のポツリと呟いた…
「…好きって、なんだろうな…」
って言葉に・・・。
「…そんなの、私だってわかんないよっ…。」
流れ出した涙は、降り出した雨のように冷たく、私の頬を伝った。
別れてしまえばよかった?
もう、会わない2人になればよかった?
忘れればよかったの?
…この、君への感情を…。
でも、君の出した答えはズルかった。
優しすぎで、ズルすぎた。
「…俺たち、また友達に戻らねえ?」
「……え。」
その答えってさ、大人の考え?
…それとも子供の考え?
でも、そのズルさに私も乗っかってしまったんだ。
どんな形でも、君の隣りで笑っていたかったから…。
「おはよ。」
次の日、いつもの場所には変わらないままの君がいた。
私への呼び方も、距離感も、何一つ変わらない。
でも…、
ただ一つだけ、
君の『恋人』という称号がなくなっただけ…。
「・・・、おはよっ。」
だから、私もそう笑いかけた。
相変わらずかっこいい、その笑顔に。
“好き”は形を変えて…
私達の笑顔になった。
…また、その称号が欲しいって思った時…
その時の私達も笑っていればいいね。
彼に聞こえないように、心の中で、そっと呟いた。
。