謎の女
三人称になっています。
ーーー眼帯をしているプレイヤーがいる
ーーー凄く強いらしいな
ーーー俺は闇プレイヤーって呼んでるよ
「どうして?」
口々に人々が言っている中、長い茶髪を一つに括っている女の子が割って入ってきた。
口々に言っていた男は戸惑いながらも、その女の子に話して聞かせる。
「闇みたいに底無しの力を持ってて、モンスターと戦う時に闇を抱えているような顔をしていたからだよ」
「闇……、本当に眼帯はしてたの?」
女の子がそう問うと、その場にいたもう1人の男が話し出した。
「俺は直接見たことあるんだ。左眼に眼帯をしてた」
「左眼…、貴方は左眼を見たことある?」
「いや、」
女の子がぼそりと言う。
「確信はない…か。」
周りの男達はお互い顔を見合わせて首を傾げる。そんな男達を放っておいて、女の子はレベル70はいる50層の魔界ダンジョンへテレポートした。
「おい、さっきの女の子…」
「あぁ、50層に行ってたな。ほら、もう彼処(50そうの入口)にいるよ。可愛い顔してめちゃくちゃ強いのかな…」
遠くの上の方にいる可愛い女の子を見ながら溜息を男達がつくと、1人の男が怒鳴る。
「そうじゃねぇよ!魔法石も無しにテレポートしたんだぜ?」
「あ!」
怒鳴られたおかげで、ある重大で凄いことに気がつけた2人。そこにさっきから座っていた亜麻色の髪に碧の瞳を持っている浮世絵離れした小柄な男は思ったことを口にした。
「…僕は見たことないね、魔法石も無しにテレポートした人間なんて」
「俺もだ…だって、俺の魔力結構ある方って言われたけど、地面から15cmしか浮かばないんだぜ?」
「いや、魔力は結構ある方だよ。魔力検査に言った時に言ってただろ?『人が地面から離れるのはあってはいけないこと。それなのに、抗っている力はお前さんの魔力が強いからじゃ』っていかつい顔したおじいさんが」
そう真面目な顔で浮世絵離れした小柄な男が言うと、地面から15cm浮いていた男は少し照れた。
「だから、地面から離れてあんな50層まで一瞬で行くのはどんだけの魔力が必要なんだろうね」
そう言った浮世絵離れした小柄な男は男でもキュンとしてしまう憂いを帯びた顔で、もう50層のダンジョンへ入って行った女の子の背中を眺めると、女の子が行っていた同じところへ魔法石を使い、テレポートした。
「え?おい!ユーリ!」
「ごめん、ちょっと僕、遊んできます」
それを言うや否やユーリと呼ばれた浮世絵離れした小柄な男はテレポートで50層まで行ってしまった。
「あーあ、行っちゃったな、ユーリとはこれでお別れか」
悲しそうに目に涙を溜めた男が、それでも笑って50層に向かって手を振る。
「仕方ないさ、あんなもんを目の前で見ちゃったら付いて行きたくなるんじゃね?」
「50層とか、夢のまた夢だ。」
ティッシュで鼻水をとりながらぶわりと涙がこぼれてしまう男。
「何もユーリが死ぬわけじゃないさ。あいつは小柄だけど、とっても強いのは知ってただろ?」
優しく背中を叩く男にコクリと頷く男。
「本当はとっくに50層へ行ける力を持ってた。それでも俺達といてくれたんだからさ」
そう言う男にも少し涙が見える。
このゲームが始まって5ヶ月が経った頃だった。




