デトラと名乗る男
暗闇の中、青く映し出された映像は色々な種類の腕輪の上に【trip or battle GAME】と大きく書かれてあった。
茫然と見ていると映像が変わる。
青い映像の中に黒の長髪を背に流したデトラと名乗る男が現れた。
『こんばんは、人間よ。私の名はデトラ。このゲームを作った製作者だ。この映像を見ているのは15歳から45歳の男女。では、ゲームの説明をしようか。trip or battle GAMEとは体ごとゲームの世界にいけるゲームだ。まぁ、ボス攻略と同じように魔王の住む魔界に行き、上の階へと進みながら魔ボスを攻略し進む。この時、武器などは魔界とは違う、人が住む人界で、自然系のダンジョンを進み村や街を攻略し武器を調達する。ゲームの世界に行けば、魔法が使える新感覚ゲームだ。ここで注意事項。体ごとゲームの世界に入るわけだから、そのゲームの世界で傷を負った場合痛みがある。しかし、ゲームの中に入る際に通る魔法陣に入れば、怪我は治る。
限定1500個!命の保証はしない!3日後のテナントビルにて販売だ!それでは、良い夢を…』
デトラと名乗る男がニッコリと笑い映像が途切れ、俺は久しぶりに胸を高鳴らせた。
ダンジョン攻略をし、魔ボスを倒すゲーム。
だが、それだけなら俺の心は惹かれなかった。
俺の心がもっとも惹かれたのは体ごとゲームの世界にいけるということ。
早くこの檻から抜け出したい。
俺はそれだけを切に思い、初めて金持ちに頼んだ。
金持ちはゲームの内容に眉を寄せ、若い執事に映像を出させ頷き、その後すぐに快い笑みを見せ買ってくれた。
ずっとゲームの世界に入ればいい。
こんな所、2度と戻るものか。
3日後、部屋に入ってくる金持ちはシンプルな箱を俺に渡した。
「買ってきてやったぞ」
「ありがとうございます。」
ぺこりと頭を下げ、金持ちは俺の頬を最後に触り仕事に出掛けた。
俺は金持ちに触られた頬を腕で拭い、金持ちから受け取った箱を手に持った。
すると、シンプルな白の箱に文字が綴られて【trip or battle GAME】と箱の上半分を初めに、ずらっと注意書きが浮かび上がった。
注意書きを簡単に読むと、まず初めに
○命の保証はしません。
○必ず箱に入っている腕輪を着用して下さい。
○動きやすい服がオススメです。
○ゲームの世界にある物は持ち帰られません。
○なお、人間同士の殺し合いをした場合、こちらで処分させていただく場合があります。
○プレイヤー名を変えることは出来ません。
と、いうことだった。
ゲームについての説明はプレイヤー名を腕輪に入力しスタート。
詳しい説明はゲームの世界の中に入ってから、という簡潔な説明だった。
俺はすぐにクローゼットに入ってある黒っぽいシャツとジャケットを上に着て、下はジーンズを履いた。
箱を開けて見ると、シルバーブレスレットが入ってあった。
本当にこんな物でゲームの世界に行けるのかと不安になったが、俺はそのブレスを付け目を閉じプレイヤー名を言う。
「プレイヤー名、ユウナギ。スタート」