禁煙日記1
僕、筒針良人は禁煙を決意した。
今年で二十二歳になるが、将来の健康を考えれば早めにタバコを辞めるのが吉というものだろう。
そう僕が禁煙を決意したのが二日前。
つまりは一昨日のことである。
昨日の夜に手元にあった最後のタバコが無くなり、今日の朝から僕の禁煙生活が始まった。
いやしかし…もう気付くとタバコを吸おうとしてしまう。
習慣とは恐ろしい。
食事を済ませた後など特にだ。
無意識にタバコを探してキョロキョロと首を振ってみたり、ポケットに手を突っ込んだりして、禁煙をしていることがすっかり頭から抜け落ちているのだ。
正直辛い。
こんな辛い思いをするなら不健康なままでかまわないかな。と一瞬思ってしまう。
好きなアニメを観ていても全然集中できないし、全然集中できないから、車の運転をしていても気が付くと知らない道を走っているし、髪の毛を掻きむしりながら奇声をあげて帰ったら玄関先で警察に職務質問を受けるし、「これがホントの奇声ラッシュ」なんて言っても警官はクスリともしないし、禁煙することによって様々な弊害に襲われている。
さて、僕は今後もこうして日記をつけていこうと思う。
日記を習慣付けることで今日も禁煙をしたぞ、という気持ちを、つまりは禁煙のモチベーションを維持できるというわけだ。
それになにも禁煙のことだけを書かなくてもいい。
そんな縛りはないし、そもそも日記に書く内容なんてものは自由であって然るべきであろう。
こうして僕は禁煙をきっかけに、生まれて初めて『日記』というものを書くことになったのだ。