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Infinite Justice  作者: 32F°大佐
第1章 "Si Vis Pacem, Para Bellum"
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第四話 "You All Know How Much I love the Vodka!"

 第2等級政府製狙撃銃、ZKSSZ-FXで狙撃場の的を狙撃する。いやあ、軍隊学校にあった5、4等級装備とは違うなぁ。人型の動く的でも全部ヘッドショット。特殊部隊のスナイパーに配属されるような腕前なのに、魔法戦闘では白兵戦担当。なんでも白兵戦ができる人が少ないんだとか。軍隊学校ではスナイパー専門だったのに、少しがっかりした。


「さーて、アイバー曹長の特別レッスンパート2始めるわよぉ!」

気が付くと、隣から声が聞こえて腰が抜けた。いつの間に横にいたの、アイバー!サボろうかなと思ってたのに。

さすが、特殊部隊の隊員...


「やめろ、俺に勉強なんか必要ない!やめろおお!」

抵抗する俺に対して手錠をかけ、銃を突きつけ、引っ張っていく。


「今回は戦術についての勉強なんだから文句は言わない、始めるわよ!」

相変わらずの軍曹の強くはきはきとした声が部屋に響く。

軍事関係だったら、少しはマシか。


「まず、部隊について。部隊の単位を大きい順から言ってみなさい。」

そんなこといきなり言われても...。

「えーと...軍、軍団、師団、旅団、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊、あとは...班か。」

「エクセレント!なんでこんなこと言わせたかっていうと...連合軍とNSC《国家安全保障委員会》の部隊の組み方でかなり違いがあるのよ。連合軍の常備軍の兵力は300万人。師団の数なんて数えたことないけど、たいていは人数通り、10000~20000人を一個師団として組むから、150~300程度師団があることになるわ。」


そんなにいたんだっけ...徴兵すればさらに増えるか...


「NSC《国家安全保障委員会》は違うのか?」

「NSC《国家安全保障委員会》では名前こそ同じだけど実際は人数を2単位落としているわ。」

「おい、それってつまり...ここには4個師団がいるって聞いたけど、もしかして実質4個連隊、つまり人数的には1個師団しかないのか?」

「そういうことになるわね。魔法科学が発達して、人数よりも質が勝る時代になってきたから、仕方ないっていえばそれまでになるわ。実際、80年前に崩壊した魔界にあったTFAP《テルミドール連邦武装警察》では、師団の構成人数が1人の場合もあったわよ。ここでは、4~6人の小隊を中心として作戦に投入するシステムになっているから、チームの結束が重要よね。」

チームワークってことは...

「だから俺にマンツーマンでこんな教育をしてるのか?」

「あんたが思いっきりバカだったから、元帥直々の命令で再教育してるの!わかった!?今日は終わり!私の部屋で酒を飲むわよ!ついてきなさい!」


仕方ない。長いものには巻かれろ、だ。


ついた場所は...曹長用の個室だ。仕事場とは別に用意されたもので、寝たり休憩したりするものだろう。女を野郎と寝かせるわけにはいかない、そういう意味も込められているのだろう。

アイバーが生体チェックで部屋を空ける。


「さあ、入りなさい。」

部屋の中に入ると、畳六畳ぐらいの部屋と押し入れ、シャワールームがある。机の上にはでかい瓶入りの無色透明の酒が20本ほどおいてあった。ラベルには”スピリタス”と書いてある。

「スピリタスって何?」

「あんたが大好きなウォッカの一種よ。アルコール度数は96だけどね。この酒でお互いグラス何杯飲めるか勝負よ。拒否したらねぇ。」

「おい、アルコール度数96でハンパじゃないだろ。たとえウォッカ=水だと断言してても、二日酔いと急性アル中は不可避になるぞ。」

「酔ったぐらいがちょうどいいのよ。あんたが負ければ、あんたは20歳になるまで酒を飲まない。私が負けたら...好きにすると良いわ。」


景品はどうでもいい。とりあえず、拒否したら、本当にこめかみに弾をぶっ放されそうなので、受けてたつことにした。


「鍵はロックしとくからね。あんたが逃げられないように。」


そういって世界最強の酒が2つのグラスに注がれていく。

まずは一杯目、グラスをお互い軽くぶつけ合い、一気飲みした。辛い、火を噴きそうだ。しかし、それを過ぎれば、甘みが来る。そう思っている間に2杯目が注がれているのであった。

そして、口に無理矢理注ぎ込む。焼けそうな口とともに、甘みが来る。そんなことが永遠に繰り返されたのであった。


...お互いもうべろんべろんに酔っている。何杯目だろうか。もうすでに7杯は飲んだろう。

意識が飛びかけていた。アイバーはもう飲めないと宣言したので、ぐびっと一杯震える右手手を左手で添えてのんでやった。勝った!彼女はべろんべろんに酔ったまま、俺に寄り添ってきた。彼女の手がオレの頬をそっと撫でた。

「やめろ...そんなことしたら...」

自分の声が女々しく弱くなっている。


そんな声しか出せない。抵抗しようにも、ふらついて力が入らない。酒の力は恐ろしい。普段、あんなに強気なやつをこんなに簡単に変えてしまう。俺の心拍数がどんどん上がっていく。あいつの顔がオレの顔にどんどん近づいてくる。もうだめだ。唇を奪われる。そう覚悟したが、案外ころりとアイバーは寝てしまった。安心したのか、少し残念だったのか、よくわからなかったが、ほっとしたので、オレも寝てしまった。


朝...

何かあったかいもんに抱きついてる...いい匂い...すぐに抱き着いている物がアイバーだとわかった瞬間、お互い

「おぉぉ!」

「きゃっ!」

と同時に声を上げ顔を赤くしながら、お互い意識を取り戻して離れるのであった。怒られるのかと思いきや、案外普通で、むしろ優しかった。お互いもちろん二日酔いのオンパレード。

「アスピリン、いる?」

「2粒くれ。」

そうしてお互いアスピリンを飲むのであった。もう時間だったので、去ることにしたが、最後に彼女が、

「酒が飲みたくなったらまた来なさい。待ってるからね。」

オレは、

「またやるのか!?」

といいつつ

「まっ、また俺が勝つに決まっているだろ」

そんなことを言ってみるのであった。

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