第二十七話 "解"
そのころ、すみれは...
「くそっ、間に合うか...Phxモードになってかっ飛ばしたとしてもせいぜい出せるスピードなんてたかが知れてやがる...
ECSが干渉してるあたり相当大きいECS兵器配備しやがったな、あのクルクルパーの軍人ども。さっさとくたばっておけってんだ。」
あんまり使いたくないが...限界突破しか手はない。
使うか...
後45秒....
後15秒...
すみれ:
「ぎりぎり...間に合えぇぇぇぇぇ!」
アイバーは...
「くっそおおおお、うごけええええええええええ!」
「Drei(3), Zwei(2), Eins(1)....」
終わりか...時代遅れのシックなアナログの時計が、タイムリミットを指そうとしている。
...時間が一瞬から無限に引き延ばされる
よく瀕死から回復した人々に言われる言葉だ。
...龍河もこんな風に死んでいったのかなぁ
普段だったら数秒かかる思考も...周りの世界では刹那の時間なんだろう。
冷たい金属の上で横たわって死んでいくのか...
いや、何回も死ぬ寸前で助かってるから...
目の前の人工知能兼ECSのバケモノに目をやる。
「さーて、爆破しちまえばいいかなぁ?こんな(ピー)なんか一瞬で(ピー)にして(ピー)」←女の子とは思えない暴言ですw
あれ?スミレさん!?羽生えてる!しかもトランスで右腕に大砲って...できたんだっけ?
「ADIOS!」
閃光弾を撒き散らしたような色の極太レーザーが巨大な金属の塊を襲う。
「大丈夫ですか?」
やっと動けるようになったが、うまく力が入らない。
「いったい何を得てしてあんな火力使えるようになったのよ...」
「PHOENIXモードで身体能力を強化しつつ、戦闘継続可能なエネルギーをECSにバックアップして、永久魔法動力機関で限界突破を仮想的に
再現してみました。永久魔法機関は壊れてしまいましたが、ベンチマークには十分でした。」
「永久魔法機関ってなに?オーバークロックって何?」
思わず聞いてしまう。
「魔法と妖術は1を1に変える。
黒魔法は1を0に変える。
...永久魔法機関は1を2に変える。
オーバークロックに関しては、あなたも今使ったでしょう。
いわゆる、魔法使いの戦闘力の一時的な暴発ですよ。代償として一定時間生命維持に最低限必要な器官以外全く機能しなくなりますが。」
まだ、知る由もなかった。これからの敵は、0から1を生み出す能力を有することを。
「そうかこういうことか...」
すみれが呟く。
「どうしたの?」
「なんでもありません。さあ、帰りましょう。」