第十三話 "You're Not My Father!"
この前の心肺停止事件の後、病院に行きしばらく戦闘行為はするなと言われ、レーダーで侵入者確認という雑用を任されてしまった。もうぴんぴんしているのだが。明日、明後日辺りに、新しい入隊者が入るから、アイバーも出張から速く帰ってくるっていってたなぁ。あんなことをされても彼女を憎めない自分がいた。
ぴぴぴぴぴと、音を立て、レーダーがすごく反応した。急いで、画面に目を向ける。屋上のゲート1の前で大量の爆発性飛来物?まさか...?ミサイル!
急いですみれを呼び出し、刀とAUGUSTAを持ち、防弾チョッキを着てゲートに向かった。
委員会は外に続く連絡口すべてににいくつかゲートが設けられている。例えば...地上に出るゲートは10mおきに15個、今から行く屋上のゲートは15mおきに7個ある。
ゲート2に差し掛かったとき...オレの横2mで何かが貫通した。さすがにゲート3は貫通しなかったようだが...これって...矢じゃねえか!てことは...急いでゲート1をあけ、見たものは...アイバーと中年の男が戦っていた。今度入隊するやつだろう。まあ、若く見えるが。魔法の杖を使っていることから、多分魔法使いだろう。屋上のゲートは薄いからと言って、矢がゲートの分厚い装甲板2つも貫通しちゃって良いのか?
「結界魔法とは、また高度な魔法使ってますねぇー。」
すみれが横から話しかけてきた。
「結界魔法って何だ?」
「結界を張ることで、大魔法が簡単に使えるんですよぉー。でも、結界から、一定以上離れると、魔法が発動できないので、ある意味スナイパーみたいなものですかねぇー。」
知らなかった...軍隊学校に言ってても、そんなこと習わなかったぞ。まあ、所詮、習っても、覚える気はなかっただろうが。それにしても、2人とも傷だらけだ。早くとめなくては。
「おーい、アイバー!戦いをやめろおー!」
「うるさいわね!引っ込んでて!」
完全にご機嫌斜めのようだ。おまけに、こっちに矢を千本ほど飛ばしてきやがった。仕方がない、強硬手段に出ようと覚悟した。
「医者を先に呼べ!」
すみれに相伝えた後、
「零式波動波!」
戦っているちょうど真ん中に駆け込み、刀を地面にさした。
「はぁ、はぁ。」
2人とも傷だらけになり、倒れていた...
それにしても、こいつら、似ているなぁ。
―――翌日。
病室のベッドにいくと、アイバーがベッドにいた。相手方はもう、退院したらしいが。やっと面会が許された。名目は任務の確認となっているが。
「よぉ。元気か?」
「………」
しかし、彼女はしかめっ面をして、無言で、何も反応しなかった。
「どうした?何かあったのか?」
俺もむきになる。
「うるさいわね!あんたには関係ないでしょ!」
そういって息を荒くして、拳銃を突きつけてきた。なぜ、病室に拳銃があるのか不思議だが。
「久しぶりだな、シルビア。派手にやられているな。」
入ってきたのはあのときの男だった。どこか紳士のようなイメージだ。シルビア?誰だそれ?
「あたしをその穢れた名前で呼ばないで!」
汚れた名前...?
アイバーは、銃口を男に向けた。安全装置は解除されている。俺もとっさに彼女にAUGUSTAを突きつけた。
「...親に銃を向ける気か?」
親?まずまずなぞが深まる。
「あんたを0.1秒たりとも親と思ったことはない!ふざけないで、人殺し!」
パーンと銃声が鳴り響く。弾は男の首をかすめて、後ろの壁にめり込んでいた。
「だが、任務中はそんなこといってられない。」
そういって男は立ち去った。
アイバーはいきなり泣き始めた。
「出てって!」
「あぁ...」
「いいから出てって!」
俺は病室から追い出された。
いったい、何が...?